パナソニック デバイスSUNX株式会社(本社:愛知県春日井市、社長:荒谷 悦司)は、業界最高レベル(※1)の計測精度 有効電力0.5% を実現し、新たに歪みなど電力品質の計測機能を搭載した「KW9Mエコパワーメータ®[1]アドバンスドタイプ」を製品化しました。生産設備や配電盤に設置し省エネに貢献する「電力の見える化」と工場の生産効率を落とすことなく設備トラブルの予防保全に貢献する「電力品質監視」を1台で実現できる簡易電力計として2013年8月1日から受注を開始しました。
(※1)2013年8月5日現在 省エネを目的とした簡易電力計として(検定対応電力計・電子式マルチ指示計器類を除く)(当社調べ)
製品名 | KW9Mエコパワーメータ® アドバンスドタイプ |
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シリーズ名 | KW9Mシリーズ |
品番 | AKW92112 |
受注開始 | 2013年8月1日 |
社会のあらゆる分野で省エネの取組みが加速する中、工場、オフィス、店舗などでは、電力使用量を細分化し、工場、フロア、設備ごとに計測、把握してさらなる省エネにつなげたいという要望が高まっています。さらには省エネ活動の中で、数パーセントの電力量削減を目標としているお客様も多く、電力計の僅かな誤差を限りなくゼロにしたいという、高精度な計測が要求されています。また電力品質の悪化により設備トラブルが発生し工場の生産効率が落ちる場合があるため、設備トラブルが発生する前に予防保全を行いたいというニーズもあります。今回、当社では業界最高レベルの高精度計測と、新たに電力品質の計測機能を搭載した「KW9Mエコパワーメータ®アドバンスドタイプ」を製品化しました。
【特長】
- 高精度計測で、数パーセントの電力量削減の積上げ、省エネ活動推進に貢献
業界最高レベル(※1) 電流/電圧:0.2%、有効電力:0.5%の高精度計測
(当社従来品(※2) 電流/電圧:0.5%、有効電力:1%) - 電力品質計測により生産効率を落とすことなく設備トラブルの予防保全に貢献
(1)新たにTHD(全高調波歪み)[2]、電圧・電流不平衡度[3]など電力品質の計測に対応
(2)電力品質トラブルを事前に察知する警報機能を搭載
(3)万一の設備トラブル発生時でも、不具合箇所の特定が容易で早期解決を実現 -
ピークデマンド[4]の抑制にて、電力料金の低減に貢献
国内外の電力デマンド計算方式に対応したデマンド計測機能を搭載
(※2)当社従来品:KW9Mエコパワーメータ®スタンダードタイプ(品番:AKW91110)
【用途】
省エネを目的とした電力使用量の見える化、および電力監視[工場、オフィス、店舗、インフラ(高速道路、鉄道)、テーマパーク、電力設備、その他公共施設など]高調波、不平衡電圧による影響の対策[マイコン内蔵機器を使用する施設、モータを使用する製造メーカ]
【特長の詳細説明】
1. 高精度計測で、数パーセントの電力量削減の積上げ、省エネ活動推進に貢献
従来から電力計としては、検定対応電力計[5]、電子式マルチ指示計器[6]などがありますが高価であり、一方、安価な簡易電力計では、計測精度が1〜2%程度であり、電力計の僅かな誤差を限りなくゼロにしたいという要求にはお応えできていませんでした。本製品は、当社独自の電力計測技術を用い、高速演算処理・高容量処理を行うことで、IEC(国際電気標準会議)が定めた電気・電子機器に関する国際標準のIEC規格に準拠した瞬時有効電力[7] 0.5%(IEC62053-22:Class0.5S準拠)、電流/電圧0.2%の高精度計測を実現しました。本製品を採用いただくことで、より正確な電力計測が可能となり数パーセントの電力量削減の積上げ、さらなる省エネ活動推進に貢献できます。
2. 電力品質計測により生産効率を落とすことなく設備トラブルの予防保全に貢献
2-(1)新たにTHD(全高調波歪み)、電圧・電流不平衡度など電力品質の計測に対応
工場では電力品質の悪化により設備トラブルが発生し生産効率が落ちる場合があるため、設備トラブルが発生する前に予防保全を行いたいというニーズがあります。電力品質に伴う設備トラブルには、省エネ目的によるインバータ機器や半導体制御機器の導入、太陽光発電システム導入による電源ラインの変動や歪みが主な原因です。例えば、インバータ機器から発生する高調波は電源ラインに流入し、パソコン、医療機器などマイコン内蔵機器の誤動作や停止といった不具合を及ぼす場合があります。また、三相電源の各相に接続された負荷の偏りなどで、電圧・電流の不平衡状態が発生し、モータの発熱・劣化、トルク不足などの不具合を引き起こします。このような設備トラブルは発生頻度が低く管理・監視が後回しになりがちな傾向にあります。本製品は、簡易電力計でありながら電力品質の計測機能を搭載、THD(全高調波歪み)や電圧・電流不平衡を常時監視・ロギングすることができます。電力品質の傾向を常に把握し設備トラブルの予防保全ができ、設備トラブルの未然防止に貢献できます。
2-(2)電力品質トラブルを事前に察知する警報機能を搭載
電力品質トラブルを事前に察知する警報機能を搭載。出力は2点装備しており、THD(全高調波歪み)や電圧・電流の不平衡率など電力品質の計測項目に連動した警報出力に使用できます。これにより、人による確認忘れを防ぎ、設備トラブルの予防保全に貢献。また入力も2点装備しており、生産量、流量計の流量パルス、さらに内蔵時計の時刻同期が行え、より正確な電力計測を実現できます。
2-(3)万一の設備トラブル発生時でも、不具合箇所の特定が容易で早期解決を実現
電力品質異常は、いつ頃から変化を生じ、いつ不具合が発生したか、常時監視し計測データを蓄積していなければ把握できず、不具合が発生した後では、どこで発生したかの追跡調査は困難です。本製品は電力、電流、電圧、力率、周波数、電流不平衡度、電圧不平衡度、ピークデマンドの計測データを最大、最小の12か月分ロギングし、瞬時停電、不足電圧、過電圧、過電流を最大10レコード分ロギングすることが可能です。これにより設備トラブルが発生時、不具合箇所の特定が容易で早期解決に貢献します。
3. ピークデマンドの抑制にて、電力料金の低減に貢献
電気料金を低減するには、使用電力量の料金以外に、基本料金の抑制も視野に入れる必要があります。日本では、契約電力50kW〜500kW未満の高圧小口需要家向けの場合、電気料金の基本料金は過去1年間のピーク電力に基づいて決まるため、電力のピークを抑えるためのデマンド管理[8]が重要とされています。このデマンドを計測する時間の区切りをデマンド時限と呼び、日本国内の場合、30分間の区切りで計測します。本製品は、30分間区切りのデマンド計測機能を搭載しており、電力使用量を細かく把握、ピーク電力の抑制にて電力料金の低減に貢献します。一方、海外の場合、デマンドの計算方式は各国によって異なりますが、様々なデマンドの計算方式に対応出来るよう、IEC規格に準拠した計算方式[9]も選択することができます。企業のグローバル展開が進む中で、施設・装置の海外移設の際にも、それぞれの国に対応したデマンド計測が可能です。
【用語説明】
- [1] エコパワーメータ®
- 電力使用量を測定、表示する機器。生産設備や配電盤に設置し「電力の見える化」が可能で、省エネに貢献できます。「エコパワーメータ」はパナソニック株式会社の登録商標です。
- [2] THD(全高調波歪み)
- 電圧または電流の歪みの程度を表す値で、高調波成分全体の基本波成分に対する値(%)で表します。THDの値が低いほど歪みが小さいことを表します。
- [3] 不平衡度
- 負荷の不平衡に起因した、各相の電圧または電流が互いに異なる度合いのことです。
- [4] ピークデマンド
- デマンド(最大需要電力)は、あるデマンド時限(30分間)で計量される電力量の最大値で、ピークデマンドは全デマンド中のピーク値です。
- [5] 検定対応電力計
- 通称「検定メータ」。計量法で定められた基準適合検査・検定に合格し、電力の取引に使用することができる電力計です。
- [6] 電子式マルチ指示計器
- 一つの計器で電流・電圧・電力などの電力量計に合わせて指示計器・トランスデューサ(変換器)などの計器を1台で対応する多機能計器のことです。マルチメータとも呼ばれます。
- [7] 瞬時有効電力
- 「有効電力」とは、交流回路における負荷で消費される電力のことで、特定の瞬時の値を「瞬時有効電力」といいます。
- [8] デマンド管理
- デマンドとは30分間(デマンド時限)の電力使用量のことです。
- [9] IEC規格に準拠した計算方式
- IEC規格で定められた電力量の計算方式には、スライディングブロックインターバル、固定ブロックインターバルなどがあります。スライディングブロックインターバルは、定められた時間毎に時限を開始し、デマンド計測を行う方式です。固定ブロックインターバルは、定められた時限終了後に次の時限を開始させ、デマンド計測を行う方式です。
以上