2020年12月21日

第52回市村産業賞功績賞受賞 低損失材料で車載ECUの高性能化、小型化に貢献

低損失磁性材料を用いた車載用パワーチョークコイルを製品化

車載用パワーチョークコイル

パナソニック株式会社 インダストリアルソリューションズ社は、排ガス規制やCO2低減目標により燃費の改善が求められる内燃機関(エンジン)搭載のガソリン車やディーゼル車、ハイブリッド車などの車載ECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)の電源回路に適した、低損失、高耐電圧、高耐振の面実装タイプ車載用パワーチョークコイル[1](12.5 mm角サイズ)を製品化、2021年2月より量産を開始します。

環境規制がグローバルで厳しくなるなか、エンジン搭載車の排ガス規制が強化されています。排ガス特性の向上には、燃料を効率よく可能な限り完全燃焼をさせる必要があり、シリンダー内に高圧で直接噴射する直噴噴射方式[2]による高効率化が進んでいます。完全燃焼には、インジェクターの高圧化や多段噴射により燃料を微粒化してきめ細かく噴射する必要があります。それには、インジェクター昇圧駆動回路において噴射後の昇圧復帰時間を短縮するために直噴エンジンのインジェクター昇圧用コイルの低損失および昇圧駆動に耐えうる高耐電圧の特性が不可欠です。加えて、車載ECUのエンジンルームへの搭載や機電一体化[3]が進んでおり、より厳しい振動条件かつ高温環境での設置と大電流化への対応が求められています。当社は、業界最高の低損失、高耐電圧の磁性材料を独自開発し、車載ECUの高性能小型化を実現する面実装タイプの車載用パワーチョークコイルを製品化しました。

【特長】

1. 業界最高※1の低損失、高耐電圧の磁性材料で、損失電力を従来品比半減と2倍の高耐電圧を実現※2

  • ・損失電力:1.5 W(当社従来品※3:3 W)
  • ・高耐電圧:125 V以下(当社従来品※4 60 V以下)

2. 小形化と高性能化による搭載員数減でECUの省スペース化に貢献

  • ・サイズ:12.5 mm角(従来同等品14 mm角)

3. 実装工程における耐振補強が不要で、ボンディング(接着)剤での補強工程を削減

  • ・高耐震:30 G以下
  • ※1:2020年12月21日現在、面実装タイプ車載用パワーチョークコイル(10-12.5 mm角サイズ)として(当社調べ)
  • ※2:13Ao-p、周波数75 khz、Duty35%の三角波電流の場合
  • ※3:当社従来品:14 mm角サイズ車載用ダストパワーチョークコイル(PCC-D1413Hシリーズ)
  • ※4:当社従来品:10 mm角サイズ車載用パワーチョークコイル(PCC-M1054Mシリーズ)

【用途】

ガソリン車、ディーゼル車、ハイブリッド車の昇圧DC/DCコンバータ回路[4]、
高機能車載ECU電源回路、機電一体型車載ECU回路

【特長の詳細説明】

1. 業界最高の低損失、高耐電圧の磁性材料で、損失電力を従来品比半減と2倍の高耐電圧を実現

環境規制に伴い、自動車の内燃機関は更なる排ガス規制/CO2削減に対応する必要があり、直噴噴射方式のインジェクションの高圧化、多段噴射化やリーンバーン制御[5]などが導入されており、インジェクター駆動昇圧回路はそれに伴い大容量化、昇圧復帰時間短縮が進んでいます。車載ECUに搭載されるパワーチョークコイルは低損失化、小形化、また昇圧回路に使われるために高耐電圧特性が求められます。従来は損失や耐電圧に課題があり、また大電流化に対応できませんでした。当社は独自の金属磁性材料を用いたメタルコンポジット材料[6]をベースに、大電流、低損失かつ高耐電圧の磁性材料を新たに開発し、損失電力を従来品比で半減の低損失、2倍の高耐電圧のパワーチョークコイルを製品化しました。これにより、車載ECUの高性能、小型化に貢献します。

低損失、大電流化(新製品、従来品、直噴用コイル)グラフ

2. 小形化と搭載員数減でECUの省スペース化に貢献

自動車の電子化が急速に進むなかで、エンジンルーム内や直接エンジンに搭載されるECUが増加しておりECUの小型化が求められています。当社は独自の磁性材料による低損失且つ絶縁技術と高精度にコイルを形成しコイルの周りに磁性材を均一化可能な一体成型する技術によって高性能パワーチョークコイルを開発しました。サイズは従来同等品(14 mm角)と比べて小形(12.5 mm角)となり、体積が当社従来品の直噴用パワーチョークコイルと比べ40%減少します。加えて、高性能化による搭載員数の削減によりECUの省スペース化に貢献します。

直噴用ダストパワーチョークコイル(従来品、新製品 体積減▲40%)イメージ

3. 実装工程における耐振補強が不要で、工程合理化に貢献

従来、車載ECUの基板実装工程では、耐振動性能を確保するために、ボンディング(接着)剤を用いて部品を固定する補強が必要でした。本製品は、独自の巻線および成型技術により、端子の引出し位置の高さを当社従来品比1/2に低減し、実装基板に近い位置に配置することで優れた耐振性を実現しています。これにより、振動補強が不要となり工程の合理化に貢献します。

<構造比較>

構造比較イメージ(当社従来品、新製品 高耐振動品)、端子の引き出し位置の高さを低減することで、優れた耐振性を実現

【仕様】

シリーズ 形状
W×D×H(mm)
インダクタンス
[7](*1)
直流抵抗
[8]20℃
定格電流(*2) 定格電圧
PCC-M1280MS 14.0×12.5×8.0 40 uH 41.0 mΩ 5.9 A 125 V
  • (*1):100 kHzにて測定
  • (*2):温度上昇値が40度となる電流値
    今後は、インダクタンスレンジの拡大および小形サイズの追加により、ラインアップの拡充を図り、
    市場ニーズに対応していきます。

【用語説明】

  • [1]パワーチョークコイル
    DC/DCコンバータ回路などに使用される電子部品で、エネルギーの蓄積やノイズを除去するフィルタの役割を持つ。
  • [2]直噴噴射方式
    燃料であるガソリンをシリンダー内に、高圧で直接噴射する方式。
  • [3]機電一体化
    機械駆動部分と車載ECUを一体化すること。従来、駆動部と車載ECUは離れて設置されていたため配線で結ばれていたが、制御の高精度化、設置場所の自由度向上、省線化などの目的で導入が進んでいる。
  • [4]DC/DCコンバータ回路
    ある電圧の直流電流を異なる電圧の直流電流へ変換する回路。
  • [5]リーンバーン制御
    理論空燃比よりも燃料が少ない状態で燃焼すること。
  • [6]メタルコンポジット材料
    金属磁性材(鉄族)をベースとした粉末を、樹脂により絶縁し圧縮成型した磁性材料。
  • [7]インダクタンス
    コイルの性能を表す指標のひとつ。コイルに変化する電流を流すと、その電流変化を妨げる方向に電流を流す電圧が発生する。この発生する電圧の度合いをインダクタンスという。
  • [8]直流抵抗
    巻線(銅線)の抵抗成分。これが低いほど電力の損失が小さくなる。直流抵抗が低いほどロスが減り、電源効率を改善できる。

【商品のお問合せ】

インダストリアルソリューションズ社 デバイスソリューション事業部
https://industrial.panasonic.com/cuif/jp/contact-us?field_contact_group=2162&field_contact_lineup=766&ad=press20201221

【商品の詳細情報】

低損失パワーチョークコイル車載用(金属コア)MC
https://industrial.panasonic.com/jp/products-inductors/automotive-inductors/automotive-inductors/low-loss_pcc?ad=press20201221

以上