2024.09.27
一人ひとりのエコアクションが社会を動かすチカラに~World Actionが始動
シリーズ:
パナソニックグループは、長期環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT」の下、より良いくらしと持続可能な地球環境の実現に向け、自社の事業活動におけるCO2の排出削減と、お客様や社会のCO2の排出削減に貢献する取り組みを加速している。そのような事業による貢献に加え、2024年6月5日から8月30日まで、世界中のグループ社員が一丸となって日常生活で環境保全に取り組む「World Action」を展開。このプログラムを世界各地に働きかけたパナソニック オペレーショナルエクセレンス株式会社 企業市民活動推進部の渡辺 美紀子(わたなべ みきこ)に、企画の意図や成果、今後への思いなどを聞いた。併せ、プログラムを現場で推進した各国・地域の担当者や、参加者のエコアクション事例も紹介する。
World Actionを通じ、全世界の社員を一つに
――World Actionとは、どのような活動なのですか。
渡辺:パナソニックグループでは、企業市民活動の一環として、各国・地域に根差した環境保全活動を行う「パナソニック エコリレー(※1)」を2008年から開始し、植樹や清掃、環境教育などを実施しています。
※1 2010年に「パナソニック エコリレー・フォー・サステナブル・アース」に改称
一方、World Actionは、日常生活での環境保全活動(エコアクション)を世界中のグループ社員が国や地域を超えて共有し合い、共に実践するものです。インターネットに特設サイトを開設し、各地域のエコアクション数、自身のエコアクションを写真と共に紹介する「Eco Runner」および「Daily Action List」を掲載しています。これにより、活動状況が一目で分かるだけでなく、参加者同士の一体感を醸成し、新たなエコアクションの習慣を身に付けたり、仲間を増やしたりすることに役立っています。Daily Action Listでは、マイボトルやエコバッグの使用、フードロスの削減、環境に配慮した食品や製品の選択など、日常生活の身近なエコアクションをカテゴリー別に整理して紹介していますので、ぜひご活用いただければと思います。
――このプログラムに込めた思いをお聞かせください。
渡辺:パナソニックグループでは、一人ひとりの“ACT(アクト/行動)”の積み重ねが地球環境に大きな効果をもたらすと考え、グループ社員による日常生活での環境保全を積極的に推進しています。世界中に約23万人いるグループ社員が地球環境に関心を持ち、どんな小さなことにも取り組むことで、スケールメリットが発揮できると考えています。そうした中、World Actionでは、共通の目標に向かって全員が一緒に取り組むことで、お互いに刺激を受けて意識を高め合い、グループの一体感を醸成し、ひいては社員エンゲージメントや企業価値の向上につなげることを目指しました。
社会課題は世界のさまざまな事情が絡み合って存在しており、一つの国・地域だけで解決できることは限られています。そのような中では、国や地域を越え、グローバルに一体となって取り組むという意識を高め合うことこそが、社会を大きく動かすためのキッカケになります。そのことをグループ社員一人ひとりが実践を通して強く実感できる機会を提供できれば、グループとしてより深く社会課題を考える契機にもなります。グループの企業市民活動を推進する私たちが、そのプラットフォームをWorld Actionを通じてグローバルに築き上げることで、全世界のグループ社員を一つにしたい、それが事務局を務める私のたっての思いです。
――初めての取り組みですが、苦労や印象に残ったエピソードなどがあれば、教えてください。
渡辺:取り組みを始める数カ月前から、世界各地の担当者と数回にわたり打ち合わせを行い、各国・地域の社員に参加してほしいと訴えました。私たちが企画に込めた思いをベースに、その意図を丁寧に伝え、「自分事」として捉えてもらうことが何より重要でした。全世界同時に取り組むのは、本当に難しいことだと感じました。
徐々に共感を得られましたが、各国・地域独自の活動にWorld Actionをどうひも付けるかが課題でした。そこで、事務局で検討を重ねた末、グローバルとローカルの掛け合わせによる相乗効果を狙いたいと伝えました。さまざまな議論を経て、ようやく賛同を得られた過程を通じ、各国・地域の事情や担当者の思いをくんだ双方向のコミュニケーションが非常に大切だと気付かされました。
――8月30日に初年度の取り組みが終了しましたが、どのような成果があったのですか。
渡辺:35の国・地域から多くのグループ社員が参加し、エコアクション数は56,022に達しました。当初掲げた通り、100アクションにつき1本の植樹を行い、累計で560本の植樹を実施します。実施エリアなどの詳細は、10月頃に案内する予定です。一方、Eco Runnerは15の国・地域から144人に上る参加申し込みがありました。8月30日までに58人を掲載し、その後も随時更新を続けています。
各国・地域の推進担当者が現場で奮闘
渡辺からの働きかけに応じ、各国・地域でWorld Actionを推進した担当者は、それぞれこのプログラムにどう取り組み、どのような成果をもたらしたのか。中国、欧州、タイ、日本の推進担当者に話を聞いた。
――それぞれの国・地域で、どのような活動をされたのですか。
金:中国・北東アジア地域では、World Actionと連動し、6月から8月までの3カ月間を推進強化月間と定め、環境保全活動に取り組みました。8月までに15社が地域独自の活動に取り組むとともに、World Actionにも参加しました。Eco Runnerに参加申し込みをした社員も10人います。各社が社員に提供した植樹や清掃、環境教育などの機会の様子は、社内報を通じて共有され、社員と会社の一体感の醸成につながりました。
ゾエ:欧州では、6月の環境月間に「特別ランチ&ラーニング」を開催しました。各国からCSRの推進リーダーや社外の専門家が集まり、日常生活の草の根活動から会社主催のプログラムに至るまで、各30分間のセッションを4週間にわたり10回実施しました。約23万人のグループ社員の一員である私たちも、World Actionと連動し、一人ひとりが行動を起こして模範を示せば、社会に影響力を持つことを学びました。
ブサコーン:タイでは、企業市民活動「Panasonic Cares」を2023年から実施しています。初年度はチャリティマラソン「HERO RUN」や学校への当社製品の寄贈、病床不足解消のためのベッドの寄贈など、7つの活動を行いました。活動内容は、FacebookやYouTubeなどで社外にも公開し、社内・社外双方で環境意識の向上に貢献しています。World Actionは、パソコンを起動するたびに参加を促すメッセージが表示されるようにしました。
前川:日本では、環境保全を目的に、本社地区の社員食堂で日本初のサステナブル・シーフードの導入や、プラントベースフード(※2)、ベジエコ(※3)など、さまざまな取り組みを進めています。食堂でのWorld Actionポスターの掲示や卓上POPの設置、プラントベースフードの新たな説明パネルの作成など、World Actionと連動したさまざまな発信も行いました。
嶋澤:日本では、他にも、本社地区の全部門でペットボトル容器の利用を抑制するため、2021年から「マイボトル持参運動」を推進しています。最近では、各フロアへの浄水器の設置やWorld Actionと連動した運動を行うなど、活動を加速しています。
※2 環境破壊や地球温暖化に影響を与えると言われている畜産物の代替品として、大豆ミートを一部のメニューで使用
※3 通常であれば捨ててしまう野菜の皮などを味噌汁や副菜などに利用し、フードロスの削減に貢献(Vegetable + eco)
――World Actionに取り組んで、良かったことは何ですか。
金:参加した社員は、地球環境への自身の貢献を実感し、活動に参加する楽しさや達成感を味わいました。その結果、多くの社員が今後もより多くの活動に参加したいと希望しています。社員の考え方が変わり、環境保全の実践に関心を持つようになったと言えるでしょう。この変化は、社員一人ひとりの責任感を高めるだけでなく、持続可能な社会に向けたグループの環境ビジョンの達成にもつながると思います。
ゾエ:特別ランチ&ラーニングは、広報や人事、IT部門をはじめ、ヨーロッパ中のスタッフから大きなサポートを得られました。この企画を通じ、社員にボランティア活動を促進したり、環境保全に興味のある社員を多数見つけたりしたことは、大きな成果です。World Actionと連動しつつ、独自の活動に取り組んだことで、今ではヨーロッパ中で、地球環境に対する社員の意識と関心が高まっています。
ブサコーン:社内コミュニケーションの強化に役立ちました。独自の活動とグループの方針の一致を示す意味でも、非常によいタイミングで実施されたと言えます。World Actionを通じ、全社員が環境保全に関心を持っていることが分かりましたし、社員同士のネットワークも育めました。ブランドへの愛着と誇りも醸成できました。グループの環境ビジョンの達成に向け、今後も推進力の一翼を担えるよう、前進し続けます。
前川:社員食堂を通じた環境保全を強化できました。グループ社員が日常生活でも環境に配慮した食材を選び、環境負荷の少ない方法で調理を行うなど、さまざまなエコアクションにつながるよう、今後も一緒に推進したいと思います。
嶋澤:マイボトルは、世界中のEco RunnerからWorld Actionサイトに利用事例が投稿されるなど、世界的な潮流として利用者が増加していることを大変うれしく思います。今後も引き続き、マイボトルの啓発に努めます。
グループ社員が自身のエコアクションを写真と共に紹介
World Actionサイト内に「Eco Runnerサイト」を設置した渡辺。各国・地域のグループ社員から自身のエコアクションを写真と共に紹介してもらうことで、その国・地域で暮らす他の社員の興味を喚起し、積極的な参加を促した。ここでは、インド、欧州、タイ、日本のEco Runnerとその取り組み事例、環境保全に対する思いを紹介する。
パナソニック ライフソリューションズ インド株式会社 プージャ・カーン
私のエコアクションは、木を守ることやごみをルール通りに捨てること、エネルギーや食料、水などの資源を無駄にしないことです。私はEco Runnerとして、Panasonic GREEN IMPACTが目指す方向性に基づき、植樹活動や環境教育による環境意識の向上、貴重な資源である水の節約、その他多くのプログラムに積極的に参加することで、私が暮らすインドから地球環境問題の解決に貢献したいと思います。
パナソニック コンシューマー ヨーロッパ アレックス・フェルナンデス
環境への負荷を減らすこと、その大切さを子どもたちに教えることは、私にとって本当に重要なことです。ここ数年、私たち家族はプラスチックの使用をできるだけ減らしてきました。また、自分たちで野菜を育てたり、ヨーグルトを作ったり、食品を缶詰にしたり、オーガニックのせっけんや洗剤を作ったりしています。自転車通勤も心掛けています。これらのエコアクションは、今では私たち家族にとって当たり前の日常となっています。
パナソニック ソリューションズ タイ株式会社 ナンタパット・ターフー
私は会社の活動に参加する一方、日常生活では自転車に乗ったり、食料を寄付したり、動物園で生物多様性を学んだり、不要になった電気電子系廃棄物(E-waste)は適切に廃棄またはリサイクルされるよう、専用の回収箱に入れたりしています。自然は地球環境をもっと大切にするよう求めており、World Actionは、そのための変化を私たちにもたらす出発点となります。期間中、さまざまなエコアクションに挑戦しましたが、どれもワクワクする体験でした。プログラムは終了しましたが、今後も活動を続けるつもりです。
パナソニックITSフレンドシップユニオン 磯村 智治
私は地域の方や職場の仲間、家族を巻き込んで、マイボトルを使ったり、河川の保全活動に参加したりしています。小さなきっかけで環境保全に関心を持った方が多いと思いますが、私もその一人です。World Actionを通じ、社員一人ひとりがさまざまなエコアクションを知り、興味を持ってそれらを実践したり、自身の取り組みを共有したりすることで、世界中でエコアクションが湧き起こる、その起爆剤にこのプログラムがなることを願っています。
小さな変化の積み重ねが、大きなチカラに
――Eco Runnerや各国・地域の推進担当者へのメッセージをお願いします。
渡辺:世界中のグループ社員に新たな気付きや行動変容のキッカケを与えてくれたEco Runner。期間中、さまざまな国・地域から参加申し込みがありましたが、「私のエコアクションは、いつ掲載されるの?」「早く掲載してほしい!」といった、掲載を待ちわびるコメントが多数寄せられました。こんなにも心待ちにしてくれるなんて、と驚くとともに、感謝の気持ちでいっぱいになりました。植樹の経験があるフィリピンやベトナムの推進担当者からは、「植樹の実行プロセスに協力するよ」と声を掛けてもらいました。私たちの思いに世界中の仲間が共感してくれ、一緒に盛り上げようと奮闘してくれたことに深く感銘を受けた数カ月でした。
――最後に、今後に向けた思いをお聞かせください。
渡辺:良い習慣を身に付けるには、何度も繰り返すことが必要です。日常生活の身近なエコアクションに一人ひとりが取り組むことで、家族や友人、知人など、周囲の人々にも環境に配慮した行動を促すことができます。このプログラムのゴールは、世界中にいる約23万人のグループ社員一人ひとりが、事業活動に加え、日常生活でも地球環境について当たり前に考え、行動を起こすことです。当社のグループ社員を起点にエコアクションを世界の隅々まで広げていくことで、小さな変化が積み重なってうねりとなり、社会を動かす大きなチカラになると信じています。
社会課題に強い関心を持ち、熱い思いで解決に取り組む多くの仲間が世界中にいることが、今回のWorld Actionの推進を通して分かりました。地球環境問題、ひいては世界共通のさまざまな社会課題の解決に向け、引き続きグループ社員一人ひとりが一丸となって取り組んでいきます。
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