パナソニックグループコミュニケーションマガジン
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2024.08.08
パナソニックグループのひと
需要予測機能のチューニングを重ね、精度を向上 
お客様の在庫削減と 競争力アップに貢献:ニコ・バートマン

シリーズ:

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SCMソリューション

AI・機械学習の進化で
予測機能の精度・信頼性を向上

ビッグデータの解析・活用で
SCMソリューションを磨き上げる

ニコ・バートマン

Blue Yonder
プロダクト開発部門

ドイツの大学・大学院で情報科学を専攻後、2021年に入社。同国南部のカールスルーエのオフィスで、Blue YonderのSCM(サプライチェーンマネジメント)ソリューションに搭載される、在庫管理システムのデータ管理やその活用、機械学習のアルゴリズム(計算ロジック・考え方など)の構築を担当する。現在はシニア・データサイエンティストとして、需要などの予測機能のファインチューニング*1に従事。
1 事前学習した訓練済みモデルの一部もしくは全体を、再トレーニングし、新しいタスク向けにモデルのパラメーターを微調整すること

​SCMを革新するデジタルソリューションを、世界中に提供するBlue Yonderは、2021年からパナソニックグループの一員です。世界中で3,000を超える小売店やメーカー、物流業者が同社のソリューションを活用、計画からフルフィルメント(商品の受注から決済に至るまでの業務全般)に至るまでのSCMを最適化しています。
日本法人はこちら。https://blueyonder.com/jp/ja/

SCMソリューションの「心臓部」
予測機能でユーザーに貢献

Blue Yonderの最新SaaS*2ソリューション「Cognitive Demand Planning」などの心臓部とも言えるのが、予測機能です。これは、人工知能(AI)や機械学習を活用しながらソリューションを導入いただく企業様が、取り扱う商品の需要などを予測するもの。何百もの変数を取り込み、ビジネスへの影響やリスクも計算しながら、データを算出します。ユーザー様は正確で信頼性の高い予測データを基に、発注・仕入れ管理などを迅速に行えます。これにより、売り上げの拡大や在庫の最適化、廃棄削減への貢献に加え、よりレジリエント*3なサプライチェーンの構築も期待できます。
2 Software as a Service。クラウドサーバーにあるソフトウェアを、インターネットのネットワークを経由してユーザーが利用できるサービス。
3 「強靭な」を意味する英単語。変動などにうまく対応できる状態を示す。

こうした「心臓部」に携われることは、とてもエキサイティングです。私たちのソリューションを活用するユーザー様は、他社との競争で一歩先んじていただけると確信しています。実際に最近、英国の大手小売チェーンのSainsbury's様が、業績の大幅な伸長を発表しました。オンライン会見では同社のCEOから、増販や在庫の適正化、タイムリーな配送に、私の携わったソリューションが寄与している点に言及いただき、とても感激しました。

「お決まり」の手法は存在しない
データに潜む「パターン」を徹底追究

私は予測機能のファインチューニングのため、ユーザーのデータサイエンティスト*4や計画担当者、ユーザー様と連携しながら、算出データの精度の確認・検証を行っています。数値が導き出された過程や、それらがどのような機械学習モデルに基づくかも明示。先方のフィードバックを踏まえながらチューニングを行います。
4 新商品・サービスの創出や業務プロセス改善などのため、ビッグデータを分析する技術者。

私は「データマニア」を自負する(笑)だけに、データを分析して掘り下げ、そこに潜む特徴や傾向といった「パターン」を見いだす作業を、楽しみながら進めています。それらを基に、機械学習モデルの追加学習や強化を行い、ソリューションで機能させることで、より正確な予測につなげているのです。

とはいえ、近年は市場や消費者の行動が常に変化しています。例えば、同じ企業の店舗ごとのデータを見ても、そこに潜むパターンは常に異なります。こうした状況において、新たなパターンを見つける「お決まり」の手法など存在せず、作業が困難を極めるのも事実。それだけに、パターンを見いだせた時の喜びはひとしおです。ユーザー様に満足いただけるよう、立ち止まることなく、アップデートを継続していきます。

私は、2022年にBlue Yonderとパートナーシップを構築した、米国・シリコンバレーのSnowflakeが提供するデータクラウド*5に、大きな期待を寄せています。Snowflakeとの提携で、Blue YonderはSnowflakeのデータ機能をBlue Yonderのプラットフォームに統合できるようになります。これにより、小売りや製造、物流サービス業のユーザー様は、Blue Yonderのデータクラウドを活用して、リアルタイムの管理データや業界固有のデータセット、データサービスへのアクセスや、共有・活用を大規模に行うことが可能となります。一方、データクラウドの活用で、私が携わる機械学習モデルの構築・ファインチューニングも、より確実に行えるようになります。まさに、お客様とBlue Yonder 双方にとって「ゲームチェンジャー*6」なのです。こうしたメリットをフル活用しながら、より良いソリューションの構築に貢献していきます。
5 大量のデータを、インターネットを通じて複数のサーバーに分散して保存、必要に応じて取り出しやすくする技術。
6 業種を超えた画期的な事業展開で従来の流れやルールを破壊し、社会に変化を生み出す存在。

工数を要する作業を自動化
需要予測機能をより高速・アジャイルに

正確な予測のためにファインチューニングがとても大切ですが、システムを最適化するためにはその作業を数十回、時には100回以上も繰り返す必要があります。簡素化は大きな課題でしたが、最近になって、その解決に向けた飛躍的な一歩を踏み出しました。

Blue Yonderは社員が、ユーザー様や社員の体験を向上するための独創的なアイデアを披露する「Crystal Ball」を開催しています。私は今年の5月に開催された、北米および欧州・中東・アフリカ地域のコンペに、予測のファインチューニングを自動化するアイデアを同僚と共に応募し、優勝を果たしたのです。

今後の目標は、いち早くこのアイデアを実用化することです。実装に当たっての具体計画は策定済みで、現在、このソリューションのための資金を確保しようとしているところです。こうした取り組みを通じて、より高速かつアジャイル*7な予測機能の構築を加速していきます。
7 状況の変化に対して素早く対応すること。

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