パナソニック液晶ディスプレイ株式会社(以下、PLD)では、「広視野角で低消費電力を実現したIPS方式液晶パネルの開発」で3名が平成27年度科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞(開発部門)を受賞しました。表彰式は4月15日に文部科学省(東京都千代田区)で行われ、受賞者3名が出席しました。受賞内容は以下のとおりです。
【受賞内容】
テーマ:広視野角で低消費電力を実現したIPS方式液晶パネルの開発
受賞者:
小野 記久雄(おの きくお) PLD 商品開発センター 顧問
城 育子(いまじょう いくこ)PLD 戦略事業統括部 商品設計部 第2商品設計課 課長
桶 隆太郎(おけ りゅうたろう) PLD 商品開発センター 先行開発部 次世代LCD開発課 課長
開発内容:
視野角及び画素の透過率(開口率)性能を向上することにより、IPS(インプレーン・スイッチング)方式液晶パネルの高性能化を実現しました。これにより、液晶パネル搭載商品の市場拡大と性能向上に貢献。開発技術は、モバイル機器や高精細モニター用途を中心に、世界的なデファクトスタンダードになり、液晶パネルを用いたフラットパネル産業の発展に貢献しています。
(参考)
文部科学大臣表彰は、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた功績を讃える制度。その中で、科学技術賞(開発部門)は、我が国の社会経済、国民生活の発展向上等に寄与し、実際に活用されている画期的な研究開発若しくは発明を行った者を対象としています。
本開発に含まれる発明技術は平成25年度の全国発明表彰(主催:公益社団法人発明協会)において、発明賞を受賞しており、今回の受賞は発明協会の推薦によるものです。
【開発の背景】
IPS(インプレーン・スイッチング)方式液晶パネルは広視野角が特徴であり、1990年代に20型以下の液晶モニターへの採用からスタートしました。しかし、より大型・横長のテレビや高精細モニター、あるいはスマートフォン、タブレット端末などのモバイル機器への搭載に向けては、横方向のさらなる広視野角化、低消費電力を実現する高透過率(開口率)化が求められていました。
【開発技術の内容】
本開発では、広視野角化のために、棒状液晶分子を画面横方向に配置、これを画素内で相殺するように2つの回転方向を持たせる平面構造を開発しました。さらには、高透過率化のために、配線からのノイズ電界を透明電極でシールドする断面構造を開発しました。
【開発技術の成果】
本開発により、左右45°から見た時と正面から見た時の色変化差を半減※1し、更には透過率を1.5倍※2に高める効果が得られました。
本成果は、2005年に販売を開始した32型テレビ用液晶パネルを筆頭に、現在までに発売されたIPS方式のモバイル機器(特にスマートフォンやタブレット端末)や高精細モニターなど多数の機器へ適用されています。
- ※1:液晶分子を画面と平行に縦方向に配置していた従来のIPS液晶パネル比
- ※2:配線へのシールド構造を使用していないIPS液晶パネル比
【パナソニックグループの取り組み】
当社では、上記で述べた開発技術を用い、8Kなどさらなる高解像度の液晶パネルを開発中です。また、様々な用途向けに新たなパネルの開発を行い、事業を展開しています。この度の文部科学大臣表彰科学技術賞(開発部門)受賞を機に、より一層のIPS方式液晶パネル事業の拡大、発展に向け取り組んでいきます。
以上
表彰式にて(左から城・小野・桶)
8K解像度画像を映し出した本受賞技術をベースとして開発した「IPS方式液晶パネル」
2015インターナショナルCES パナソニックブースにて展示の状況