パナソニック システムネットワークス株式会社 システムソリューションズジャパンカンパニー(本社 東京都中央区、社長 片倉達夫)は、太陽光発電所向けに、初期導入のみならず、発電開始以降でも"後付け"可能な、『太陽光発電所向け無線型ストリング(※1)計測システム』を2014年12月から販売開始します(価格は個別見積)。
近年、太陽光発電所の普及が高まりつつありますが、メガソーラーにおけるパワーコンディショナー(※4)単位での管理は、太陽電池モジュール数が多くなり、万が一の不具合等の発見が遅れ、発電ロスや現場での点検工数の負荷も大きいという課題がありました。そこで本システムは、ストリング(※1)単位に絞りこむことが可能となり、故障した太陽電池モジュールの早期特定、影や雑草等の外的影響のスピーディな異常発見により、保守・メンテナンス作業の効率化に貢献します。また、発電開始以降にストリング単位で計測したいという後付けニーズにも、DECT(※2)無線を活用することで実現、取り付け作業負担が軽減できます。
本システムは、株式会社NTTファシリティーズ様の協力を得てF尾道太陽光発電所(※5)における様々な実証試験の結果、商品化に到りました。また、ストリング計測器の製造はパナソニック デバイスSUNX株式会社が行います。
なお、本システムの紹介を目的に2015年1月に太陽光発電所における運用・メンテナンスに関するセミナーをパナソニックセンター東京(東京都 江東区)にて開催予定です。また、2015年2月25日~27日に東京ビッグサイトで開催される「国際スマートグリッドEXPO 2015」に出展予定です。
【主な特長】
- DECT(※2)無線方式によるデータ収集~後付け対応が可能、簡単取り付け
- フィールド実証を踏まえた異常検知機能の開発~多くの異常検知事例の確認、誤報も軽減
- 保守・メンテナンス作業の課題を解決するソリューションを提供~ネットワーク対応による遠隔監視で効率運用
- ※1:太陽電池モジュールを複数枚並べて、直列接続した一つのブロックのこと。
- ※2:Digital Enhanced Cordless TelecommunicationsはETSI(欧州電気通信標準化機構)が策定したデジタルコードレス電話規格。日本では電波産業会(ARIB)が2011年3月に標準規格を策定。1.9GHzの専用周波数で、干渉が少なく、全世界(110カ国以上)で普及している無線通信方式。
- ※3:特許出願中です。
- ※4:発電した直流電流を交流に変換する装置のこと。
- ※5:株式会社NTTファシリティーズ様が、平成25年1月より広島県尾道市にて運用する約1.5MWの太陽光発電所。
【お問い合わせ先】
- パナソニック システムお客様ご相談センター
- 電話 0120-878-410(受付:9時~17時30分)<土・日・祝日は受付のみ>)
【特長の詳細】
1. 無線方式のため後付け対応・簡単取り付けが可能
- 無線方式のため新規設置はもちろん、後付け対応も可能。
計測子機には太陽電池モジュールから電源を供給し、接続箱への収納や新たな電源工事が不要なため、取り付けが簡単。 - 各ストリング単位のデータは、計測子機から親機へ無線によるデータ収集のため、太陽光発電所内への新たなケーブル敷設が不要となり、施工コストダウンに貢献。
- DECT無線は、グローバルスタンダードな無線通信方式で、通信飛距離は見通しで約150mと広範囲をカバー可能、さらに1.9GHz帯を採用し、他の無線機器の影響を受けにくく、電波干渉を軽減します。
2. フィールド実証を踏まえた異常検知機能の開発
- 約1年半にわたり、気候・温度・影等の各種環境変化を受けながら、フィールドで実証実験を実施。
パワーコンディショナーのノイズ耐性の確認と、各種データを取得し、多数の異常検知事例を確認済。
独自の異常検知アルゴリズムを開発(特許出願中)し、誤報等を軽減し、効率的な運用を可能とします。
3. 保守・メンテナンス作業の課題を解決するソリューションを提供
- ストリング単位のデータ計測・収集と異常検知に加え、遠隔監視のためのネットワーク構築や、幅広いネットワークカメラのラインアップとクラウドサービスにより、太陽電池モジュールの状態や不正侵入者等、安価な監視サービスを提供。
さらに、堅牢型タブレットの利用により、現場における巡視点検の効率化を実現。現場ニーズに応えるソリューションを提供します。
【システム構成例】
【画面イメージ】 ※製品とは異なります。
(1)時間経過と共にストリング単位での発電状況を色別に分かりやすくマップ表示
※実際のシステム画面とは異なる場合があります。
(2)異常検知の履歴一覧表示で監視業務効率向上
※実際のシステム画面とは異なる場合があります。
【仕様概要】
1. DECT無線仕様・データ収集親機・計測子機の仕様概要
DECT無線仕様 | ||
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規格 | ARIB STD-T101準拠(DECT) | |
使用周波数範囲 | 1.9GHz(1895.616~1902.528MHz) | |
チャネル数 | 5チャネル | |
無線通信距離 | 最大150m(見通し) | |
電波出力 | 10mW以下(1チャネルあたり) | |
接続台数 | 子機128台(親機1台に対して) | |
データ計測/収集周期 | 計測周期 | 10秒 |
データ収集周期 | 10分(1システムにつき) |
データ収集親機 仕様概要 | ||
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DECT無線通信 | 1.9GHz帯無線通信/計測子機との双方向通信が可能 | |
定格動作電圧 | DC12V | |
動作電圧範囲 | DC12V±10% | |
消費電流 | 無線通信時:100mA(DC12Vにおける最大値) 無線待機時:50 mA(DC12Vにおける最大値) | |
動作環境※ | 動作温度範囲 | -30~+70℃ |
保存温度範囲 | -40~+85℃ | |
動作湿度範囲 | 20~90%RH(結露なきこと) | |
保護構造 | IP65 | |
最大ケーブル延長距離 | 500m | |
質量 | 約400g |
計測子機 仕様概要 | ||
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DECT無線通信 | 1.9GHz帯無線通信/データ収集親機との双方向通信が可能 送信データ:センサ種別、センサ番号、収集データ(太陽電池モジュールの電圧、ストリング電流、RSSI値等) | |
計測項目 | 電圧 | 計測範囲:12~55V ※太陽電池モジュール1枚の電圧 |
電流 | 計測範囲:1~10A | |
測定精度 | 電流、電圧:±2%F.S.(温度範囲:-30~+70℃の時) | |
システム電圧 | ストリング電圧:1000Vまで | |
動作電圧範囲 | DC12V~55V(太陽電池モジュールより供給) | |
消費電流 | 無線通信時:80mA(DC12Vにおける最大値) 無線待機時:20mA(DC12Vにおける最大値) | |
動作環境※ | 動作温度範囲 | -30~+70℃ |
保存温度範囲 | -40~+85℃ | |
動作湿度範囲 | 20~90%RH(結露なきこと) | |
保護構造 | IP65 | |
質量 | 約600g |
2. 異常検知の種類
- 断線
ストリング電流が流れていないことを検出し、ケーブル断線の可能性を検知することが可能。 - 故障・固定影/時変影
他のストリングと比較してストリング電流値の低下で、ストリングの異常を検知可能。影の影響は時間的に変化するため、故障・固定影の影響と区別して検知することが可能。 - 温度異常
子機には温度センサが内蔵されており、一定時間以上の間+70℃以上となった場合は、子機の温度異常(高温動作)と判断し、検知することが可能。