パナソニック株式会社 AVCネットワークス社は、高速電力線通信「HD-PLC」(注1)を実現するシステムLSIにおいて不可欠である、アナログ回路IP(intellectual property core)(注2)と従来から提供をしていたデジタル回路IPのライセンスを併せた統合コアのライセンスの提供を2015年1月から開始します。
「HD-PLC」は、家庭内等に張り巡らされた電力線を電力輸送として用いるだけでなく、LANケーブルの様に通信線としても用いるもので、「HD-PLC」対応機器の電源ケーブルをコンセントに差し込むだけで、新たにLANケーブルを張ることなく、有線による安定したネットワーク通信を可能にします。
一般的にシステムLSIは機能回路ごとにブロック化されており、これらの回路情報をIPと呼びます。「HD-PLC」は電力線を使った通信であるため、これをワンチップ化する場合、電力に関係したアナログ回路IPと通信に関連したデジタル回路IPを持つシステムLSIが必要です。
デジタル回路IPに関しては、当社はLANの通信規格であるIEEE 1901(注3)対応の「HD-PLC」Completeを2010年、シリアル通信対応の「HD-PLC」insideのデジタル回路IPのライセンス提供を2013年より行っておりました。
この結果、デジタル回路に対応したシステムLSIと、アナログ回路に対応したシステムLSIが別々に必要となっていましたが、今回の両IPを統合した統合コアのライセンス提供により、「HD-PLC」向けワンチップ・システムLSIの開発が容易になります。
「HD-PLC」向けシステムLSIがワンチップ化されたことにより、従来に比べ小型・軽量化と省消費電力化が実現できるため、従来に比べ多くの製品へ導入が可能になります。この結果、現在に比べネットワーク上に多種多様な「HD-PLC」対応製品が存在させることができ、それぞれの製品の間で連携・協調した動作が可能になり、より高度なサービスの提供が可能になります。
今後は更なる通信の広域化を目的として、通信の長距離化や接続機器の台数の増加に対応した産業用機器向けのライセンスの提供を目指します。
- 注1:「HD-PLC」:パナソニック(株)が提唱する高速電力線通信方式の名称で、日本及びその他の国での登録商標もしくは商標です。
なお、PLCはPower Line Communicationの略称です。 - 注2:システムLSIは機能ごとに回路がまとめられており、その回路情報を示しています。「IPコア」と称することもあります。
- 注3:IEEE 1901:米国電気電子学会(IEEE: Institute of Electrical and Electronics Engineers)傘下の通信規格に関する標準化委員会
【お問い合わせ先】
- AVCネットワークス社
- PLC事業推進室 荒巻、宮崎 電話:092-477-1671
- コミュニケーショングループ 荒田 電話:092-477-1395