【要旨】
パナソニック株式会社は、電子部品の基板搭載において、1回の加熱で、はんだ付けと同時に樹脂で補強できる、補強材技術を開発しました。これまでの補強材は、はんだが接合されるより低い温度で硬化するため、240℃でのはんだ付け後、後工程と呼ばれる製造ラインで、補強材の塗布、熱加熱が必要でした。本技術は、当社独自の樹脂配合設計により開発した補強材を用いることにより、当社保有の樹脂強化型低温はんだと併用することで、160℃でのはんだ付けと補強材の硬化を、同時に行うことができる画期的な技術です。本技術により、商品の耐落下特性や耐温度サイクル特性を向上することができ、スマートフォンやタブレット等のモバイル機器に展開できると考えています。
【効果】
軽・薄・小型化が進むモバイル機器は、持ち運びが便利な反面、ユーザー使用時の落下等により、はんだ接合部にクラックなどの故障が発生し、機器が使用できなくなることがあります。本技術は、商品の耐落下特性・耐温度サイクル性の向上を実現します。
【特長】
本技術は、以下の特長を有します。
- 本技術は、樹脂強化型低温はんだとの併用で、1回の加熱で、電子部品のはんだ付けと補強材の硬化が可能です。
- 本技術は、160℃の低温加熱であるため、基板の反りを抑制することができます。また、耐熱が低い部品の実装装置を用いての基板への搭載を可能としました。
- 本補強材は、硬化後再加熱すれば軟化する特性を持っており、製造不良発生時やユーザー故障時に、搭載した部品を基板から取り外し、容易に修理をすることができます。
【内容】
本技術は、以下の材料・プロセスで実現しました。
- 本技術は、当社保有の樹脂強化型低温はんだ(樹脂と錫、ビスマスからなる材料)との併用で使用が可能です。補強材は、樹脂強化型低温はんだと同時加熱で、はんだ付け後に、補強材の硬化が開始・完了する独自の配合設計技術となっています。
- 本材料は、160℃の低温で、はんだ付けと同時に補強材の硬化が可能であるため、耐熱が低い部品や、薄い基板への実装が可能となりました。また、補強材の塗布効果で、高い耐落下特性を商品に付与することができます。
- 本材料は、硬化が完了した樹脂を再加熱することで軟化する樹脂の特性を利用し、製造時の不良発生時やユーザー故障時は、容易に修理を行うことができます。
【従来例】
従来の補強材は、錫と銀と銅を組成とするはんだ材料を用いて、240℃加熱で、はんだ付け後、別ラインで補強材を塗布、硬化させる必要がありました。
【特許】
国内19件、海外12件(出願中を含む)
以上