国立大学法人千葉大学、三井不動産株式会社、パナソニック株式会社、株式会社みらいによる「街中植物工場コンソーシアム 柏の葉実証部会」(以下、コンソーシアム)は、2012年9月より柏の葉スマートシティの住民モニター5世帯を対象に実施しているネットワーク型家庭用植物工場の実証実験の中間成果を公開しました。
本実証実験では、パナソニック㈱が試作し千葉大学工学部が外観デザインを行った家庭用植物工場を自宅に設置した住民モニター5世帯が日常的に野菜を栽培・収穫しています。栽培する野菜は、千葉大学監修の基で㈱みらいが開発した家庭用栽培レシピ(苗・栽培条件など)を使用しています。実証実験は2012年9月から2013年8月まで行い、本装置の実用化に向けた検証を行います。
コンソーシアムは、実証実験を通じて大きく2つのポイントを検証しています。
- 家庭における小型植物工場の使用検証
- 家庭用植物工場のネットワーク化による付加価値の検証
1で検証する事項は、提供する家庭用栽培レシピによる野菜の育成状況や装置の操作性、実際の生活空間での使用状況などです。空調などを完全にコントロールできる大規模植物工場ではなく、温度や湿度などが異なる家庭用植物工場という環境で、野菜の収穫頻度や品質の状況を検証します。
2では、モニター間や専門家(みらい、パナソニック)をネットワークで繋いだ専用WEBサイト「みらい畑スマートネットワーク」を通じ、日常的な栽培情報や料理レシピの交換、リアルの場での試食会の開催など、交流を促進することで生まれる「食のコミュニティ」の有用性や商業性を検証しています。
以上の検証を通じて、家庭用植物工場においては、(1)生長のスピードが速く安定して収穫可能、(2)栄養の含有量が高い、(3)ネットワーク化によって栽培意欲向上・コミュニティ形成が進む、ことが確認されました。
なお、本実証実験結果、家庭用植物工場及び取り組みの詳細は、2013年5月29日から5月31日まで東京ビッグサイトで開催する「スマートコミュニティJapan 2013」内、「植物工場・スマートアグリ展」にて展示します。
WEBサイトURL http://www.nikkan.co.jp/eve/smart/agri.html
1. 家庭における小型植物工場の使用検証について |
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収穫状況について
品質状況について
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2. 家庭用植物工場のネットワーク化による付加価値の検証について |
モニター間の交流について
モニターの意見
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実証実験に関する考察
千葉大学
千葉大学環境健康フィールド科学センターは、柏の葉スマートシティにおいて、植物工場の技術を還元していくと共に、意識の高い市民の暮らしの中で具現化することで、生活者中心の研究を行っている。今回の実証実験でも極めて有意義な結果を得られており、引き続き植物工場のある暮らしの実践につながる「植物環境デザイニングプログラム」を進めていく。
三井不動産
柏の葉スマートシティはICT技術を基盤に豊かなコミュニティを目指しているが、みらい畑スマートネットワークは、食の安全にとどまらず、農と食を通じた、新たなライフスタイルや交流を生み出す可能性を実感しており、引き続き実証実験を進めていきたい。
パナソニック
今回の実証実験を通じて、家庭内で野菜を育てるだけではなく、鑑賞する楽しみ、収穫の喜び、コミュニティとしてのつながる喜びを提供できることを認識した。引き続き柏の葉の街づくり構想実現に向けて、実証実験に協力していきたい。
みらい
家庭用植物工場と、大規模な植物工場を同じ地域の中で展開し、家庭内での野菜栽培を苗の供給を通じて支援していく。国内と海外において、植物工場のネットワークを広く形成していきたい。
街中植物工場コンソーシアムの今後の展開
コンソーシアムは、これまで駅前の商業施設ららぽーと柏の葉内に広さ約2坪の小型植物工場「みらい畑」を設置したほか、スーパーでの植物工場産野菜の販売、商業施設内の飲食店でのサラダ提供など生活シーンの中で植物工場に触れることができる機会の創出を進めています。将来的には、住宅、学校、商業施設、病院など街の中のあらゆるところに植物工場を設置しそれらをネットワークで繋いで地域での最適利用を行う「みらい畑スマートネットワーク」の構築を目指しています。
【お問い合わせ先】
- 国立大学法人千葉大学環境健康フィールド科学センター事務室
- TEL: 04-7137-8000
- 三井不動産株式会社 広報部
- TEL:03-3246-3155
- パナソニック株式会社 エコソリューションズ社
- (一般)ソリューション営業推進部 TEL:03-6218-1483
- (報道機関)東京広報チーム TEL:03-6218-1166
- 大阪広報チーム TEL:06-6909-7187
- 株式会社みらい 事業企画推進部
- TEL:03-4334-8192
<添付資料1 家庭用植物工場について>
機器詳細 | |
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使用機器 |
<外寸法> 約60cm(幅)×約38cm(奥行)×約85cm(高さ) <光源> LED照明(赤色、白色<青色成分含む>) *自動ON/OFF機能付き <栽培可能株数> 5〜7株 |
栽培品目 | 全30種(モニターは、自由に選択して栽培)
<野菜類>
レタス、ロメインレタス、グリーンリーフ、サンチュ、水菜、からし水菜、ミツバ、葉ネギ、春菊、シソ、チンゲンサイ、スープセロリ、エンダイブ、空心菜、小松菜、コカブ <ハーブ類>
ルッコラ、バジル、ミント、クレソン、マスタードグリーン、セージ、レモンバーム、マジョラム、ディル、セルフィーユ、ヒソップ、イタリアンパセリ、パセリ、コリアンダー |
専用WEBサイト「みらい畑スマートネットワーク」について | |
<みらい畑スマートネットワークとは>
柏の葉キャンパスエリアに設置する植物工場を一元管理し、地域全体で野菜の最適利用を進めるための仕組みの総称です。現在、千葉大学では大規模な植物工場拠点を整備し、駅前の商業施設「ららぽーと柏の葉」では2坪の中規模タイプの植物工場を展開しています。家庭用の実証実験では、各植物工場をつないだ専用WEBサイト「みらい畑スマートネットワーク」を立ち上げ、ネットワーク構築に向けた実証を行っています。
<WEBサイトの主なコンテンツ>
●住民モニター同士の交流支援機能
各モニターの栽培状況をネットワークで見える化(共有)し、WEBサイトを通じて簡単に収穫野菜の生育情報やレシピの情報を交換することができます。専門家への質問やアドバイスも行い、交流を促進します。 ●カメラによる野菜の24時間記録・確認機能
家庭用植物工場には野菜を24時間記録するカメラが設置されています。WEBサイトを通じてパソコンやスマートフォンから野菜の栽培状況を確認したり、生長の記録をシェアしたりすることができます。 |
【参考(1) 柏の葉スマートシティと植物工場】
■柏の葉キャンパスエリアでは、2011年12月に内閣府より指定された「環境未来都市」と「総合特区」の両制度を活用し、規制緩和や財政支援を受けながら大規模な「スマートシティ」としての街づくりを進めています。
■柏の葉の目指すスマートシティとは単に技術に頼った省エネ都市ではなく、緑地保全や都市と農業との共生を含めた「環境共生都市」、市民の食・運動・生きがいを地域ぐるみでサポートし高齢になっても健康で豊かな生活を実現する「健康長寿都市」、未来社会を支えるテクノロジー・ベンチャー企業や新産業の創出を地域連携で進める「新産業創造都市」の3つをキーワードとした総合的なスマートシティです。そしてこのスマートシティは、地域の「公」(行政)、「民」(市民・企業)、「学」(大学)が連携し、自律した都市経営を行っていきます。
■植物工場を通じた「みらい畑スマートネットワーク」の構築は、地産地消により「地域の食の自律」を進めるための取り組みです。野菜は市民の食生活を支える重要な資源であり、気候や天候に左右されず、高品質で安心安全な野菜を安定的に栽培できる植物工場は、従来農法の不足点を補完する技術として着目しています。
■柏の葉キャンパスエリアでは、地域のエネルギーである「電力」を一元管理する「エリア・エネルギーマネジメントシステム(AEMS)」の構築を2014年春に予定しています。将来は、AEMSとみらい畑スマートネットワークを統合し、さらに「交通手段」や「人的ネットワーク」なども合わせて地域の資源(リソース)を管理する「エリア・リソースマネジメントシステム(ARMS)」への発展を構想しています。
【参考(2) 千葉大学の植物工場研究と「街中植物工場コンソーシアム」】
■千葉大学では、環境健康フィールド科学センターを開設した当初の1990年頃から、継続的に植物工場の研究に取り組んできました。2010年8月には、農林水産省の実施する「植物工場 実証・展示・研究事業」に参加し、大規模な実証実験施設を整備しました。同時に、他の学術機関や企業と協力して、生産コスト削減や一般認知拡大、普及策など様々な視点から植物工場の研究開発に取り組む9つのコンソーシアムを組織しました。その一つが、一般市民にとって身近な施設に小型植物工場を設置することでその普及を進める「街中植物工場コンソーシアム」です。
■千葉大学をオーガナイザーに複数企業が集まり研究を進めてきた当コンソーシアムですが、今後はより実践的な取り組みの段階へ移行するため、コンソーシアムメンバーの再編成を進めています。今回組織した「街中植物工場コンソーシアム 柏の葉実証部会」は、活動範囲を柏の葉キャンパスエリアに定め、研究段階よりも実証・普及段階に特化した活動を展開していきます。千葉大学もオーガナイザーではなくリーダーとしてメンバーに参加し、実証・普及に向けた取り組みを一層強化していきます。
- ※本資料は、国土交通記者会、国土交通省建設専門紙記者会、農政クラブ、農林記者会、大阪機械記者クラブに配布しております。