パナソニック株式会社エコソリューションズ社は、やわたメディカルセンター、北陸体力科学研究所と共同で酸素微細気泡入浴により、普通入浴と比較して、交感神経の緊張を抑えながらも温浴効果が認められることを検証しました。
家庭内における不慮の事故のうち、65歳以上の高齢者の浴槽内での事故は31%(※1)を占めています。この事故を防ぐためには、比較的低い湯温で安全に入浴することで、自律神経反応から身体に及ぼす影響を抑えることが求められています。
今回、当社では、酸素を飽和濃度以上に溶かし込み、マイクロバブルを多く含んだお湯に入浴する酸素微細気泡入浴と、通常のお湯に入浴する普通入浴の比較実験を行うことにより、酸素微細気泡入浴は普通浴に比べて2℃低い湯温でも同程度の温まりを得ることができることと、交感神経を刺激せずに温浴効果が期待できることが検証できました。このことから、酸素微細気泡入浴により、ぬるめの温度でも温かく入浴できるので、身体的な緊張状態を抑えることがわかりました。
なお、今回の研究成果は2012年6月8日〜9日に秋田県田沢湖にて開催された、第77回日本温泉気候物理医学会総会にて発表されました。
■検証協力先
・公益財団法人 北陸体力科学研究所 (石川県小松市)
■検証方法
・被験者 | : | 41〜50歳の健康な男女各6名 |
・入浴条件 | : | 39℃酸素微細気泡入浴、39℃普通入浴、41℃普通入浴 室温 26.5〜27℃ 入浴時間 10分 |
・測定方法 | : | 1日1回同じ時間に入浴していただき、入浴前から入浴終了40分後までの皮膚表面温度、体温、心電図、血流、血圧を測定 |
・評価方法 | : | 温浴効果は皮膚温、リラックス状態については、心拍のゆらぎの周期性を周波数分析し、HF(※2)にて副交感神経活動、LF/HF(※3)にて交感神経活動を評価(※4) |
■検証結果
(1) | 39℃の酸素微細気泡入浴と39℃の普通入浴との比較結果 ・皮膚血流や皮膚表面温度の上昇が持続し、かつ交感神経活動が抑えられた。 |
(2) | 39℃の酸素微細気泡入浴と41℃の普通入浴との比較結果 ・酸素微細気泡入浴は普通入浴と同程度に皮膚温度が高く維持できた。 ・酸素微細気泡入浴は交感神経活動を抑制し、副交感神経活動が高くなった。 |
- ※1:人口動態統計年報(H21年)第18表 家庭内における主な不慮の事故の種類別にみた年齢別死亡数及び百分率 より
- ※2:HFは心拍のゆらぎの高周波成分で、副交感神経活動を反映します。
- ※3:LFは心拍のゆらぎの低周波成分で、交感神経活動と副交感神経活動の双方を反映するため、LF/HFで交感神経活動を把握します。
- ※4:副交感神経活動が高いとリラックス状態、交感神経活動が高いと緊張状態を示します。
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■検証内容の詳細
39℃の酸素微細気泡入浴で皮膚血流が促進・維持され、これが平均皮膚表面温度の上昇につながり、39℃の普通浴よりも皮膚表面温度の上昇効果が持続しました。
また、HF(副交感神経活動)では顕著な差は見られませんでしたが、LF/HF(交感神経活動)では、39℃の酸素微細気泡入浴が39℃の普通入浴と比べて緊張状態が抑えられました。
これらの結果から、39℃の酸素微細気泡入浴は、39℃の普通浴と比べて、温浴効果は持続し、かつ、リラックス効果があることが認められました。
39℃の酸素微細気泡入浴は41℃の普通入浴と比べて、皮膚血流量では上昇が小さく抑えられましたが、皮膚表面温度の上昇効果は高く持続しました。
LF/HF(交感神経活動)は、39℃の酸素微細気泡入浴が41℃の普通入浴と比べて緊張状態が抑えられ、また、HF(副交感神経活動)は39℃酸素微細気泡入浴は41℃普通入浴と比べて高くなりました。
これらの結果から、39℃の酸素微細気泡入浴は、41℃の普通浴と比べて、温浴効果は同じ程度持続し、かつ、リラックス効果があることが認められました。
《ご参考》
■医療法人 社団勝木会 やわたメディカルセンター(石川県小松市) http://katsuki-g.com/
開設:昭和43年11月(加賀八幡温泉病院)
平成13年10月「やわたメディカルセンター」に名称変更
2次救急指定、労災指定、特定疾患治療研究医医療機関指定、7対1入院基本料取得、
日本医療機能評価機構認定病院、日本静脈経腸栄養学会認定NST稼動施設、DPC対象病院
■公益財団法人 北陸体力科学研究所 (石川県小松市) http://www.sc-dynamic.com/
開設:昭和59年5月20日
厚生労働省認定/労働者健康保持増進サービス機関
厚生労働大臣認定/健康増進施設・厚生労働省/指定運動療法施設
以上