2012年5月11日、社長 大坪文雄が、グループ社員に向けて「2012年度事業方針」を発表しました。その要旨は以下の通りです。
1.これまでやってきたこと
- 環境貢献と事業成長を一体化し、持続可能でより豊かなくらしの実現に貢献することをめざすとした、創業100周年ビジョン「エレクトロニクスNo.1の『環境革新企業』」を発信。その第一歩として、中期経営計画「Green Transformation 2012(GT12)」を策定。既存から新規へ、日本中心からグローバルへ、単品からソリューションへ、3つのパラダイム転換を図り、成長力溢れるパナソニックの実現を追求。
- パナソニック電工と三洋電機を100%子会社化した上で、2012年1月、5セグメント14ドメインの事業を、お客様を起点としたビジネスモデル別の3事業分野9ドメインの新体制に再編。
- 事業再編によって、グローバルにお客様と直結する体制を確立。コンシューマー分野では、マーケティング部門を集約しグローバルに前線機能を強化。
- 「まるごとソリューション」推進に向け、横串の総合力が発揮できる体制・仕組みを導入。
- 環境・エナジー関連の事業を中心に、電工、三洋とのシナジーが最大化できる体制を構築。一方で、事業重複を解消し、スリム化を推進。
- 景気減速・円高進行・タイの洪水などによる厳しい経営環境の中、業績悪化を受けて「課題事業の固定費圧縮・構造転換」、「三洋電機事業ののれん減損」、「グループ全体でのスリム化」を実施。構造改革費用は7,671億円を計上したが、将来に向けた収益の「足かせ」要素を一気に排除した。
- 経営数字という面では成果を上げることができず、GT12の数値目標達成はあきらめざるを得ない状況となったが、「環境革新企業」実現に向けて、体制や基盤は構築できた。課題に対してしっかりと手を打ち、再出発して、今度こそ、成果を伴いながら前進していく。
2‐1.2012年度の取り組み(位置づけと経営見通し)
- 2012年度は「成果が問われる年」。新事業体制の真価を発揮して、V字回復をめざす。
- 2012年度の経営見通し
売上高 | 8兆1,000億円 | 103% |
---|---|---|
営業利益(率) | (3.2%) 2,600億円 | +2,163億円 |
純利益(率) | (0.6%)500億円 | +8,222億円 |
ROE | 2.6% | − |
フリーキャッシュフロー | 1,000億円 | +4,399億円 |
CO2削減貢献量 |
05年度基準で 4,100万トン |
+63万トン |
2‐2.2012年度の取り組み(基本指針と主要施策)
[1] 課題事業の再建
- テレビ事業については、昨年度実施した大規模な事業構造改革の成果をしっかり刈り取る。セット事業は、不採算モデルの絞り込みや、原価構築の徹底によるコストダウンの徹底で黒字化をめざす。パネル事業は、固定費の低減、医療やタブレット、電子黒板など非テレビ分野へのシフトで収支の大幅改善をめざす。
【ソーラー事業】
- 高効率な「HIT」の特長が生きる住宅市場にターゲットを絞り、今年度、急成長を見込む日本市場で、グループの販売網をフル活用して大増販を図る。
- 目標は、前年比1.6倍の450メガワット以上、国内シェアNo.1。12月には、マレーシアの新工場を立ち上げ、コスト力と供給力を一気に強化。
- 創蓄連携システムなど、機器連携で新たな価値提案を行い、パワーコンディショナーや蓄電池を含めた、ソーラー関連システム全体の国内売上で約1,100億円を見込み、収益を伴った高成長を継続する。
- 民生用では、「中国・韓国への部材シフトによる原価力の強化」、「独自技術を生かした高容量化」、「顧客対応スピードの強化」に注力。その上で、薄型・高容量が求められるウルトラブックやスマートフォンなど、成長市場への提案を重点強化。
- 車載用では、自動車メーカーに対して全方位に積極展開し、環境対応車へアプローチ。先行する強みを生かし、生産能力最大化とコスト力強化を図り、売上を5倍以上に拡大する。
- 民生用・車載用ともに黒字化をめざす。
- 2012年度は、全世界・全商品で成長機会を追求し、海外で前年比120%の売上をめざす。
- グローバル増販実現のため、「生活研究に基づく地域密着商品の創出」、「エコナビの世界展開」、「スモールアプライアンス商品の群展開」を推進。
- グループの安定的な収益源として、アプライアンス事業をグローバルに拡充。
- 航空機用AVシステム(アビオニクス)事業のように、顧客とつながり続け、商品・サービス両面でより高い価値を提供し続ける、ソリューション型ビジネスモデルを数多く構築する。
- ドメインを超えて価値創出を実現する、「まるごとソリューション」事業を展開。「強い単品」をベースに、それらを「そろえ・つなげ」、さらには「メンテナンス・サービス」までを行うことで、グループとしてお客様に最大の価値を継続的に提供。
- 具体的な事業モデルを100個つくる「100本の矢」の取り組みを、全社をあげて推進。2012年度は、すでに事業化の段階にあるものを含め50本の「矢」を創造。これら合計で1,700億円以上の売上をめざす。
- 本社を含むグループ全体でコスト削減を徹底し、収益体質を再構築。グローバル最適調達などによるコスト合理化、構造改革効果の刈り取りや全社的な緊急経営対策による固定費の圧縮などにより、今年度は、損益分岐点比率を7%引き下げ、2010年度並みに経営体質を良化させる。
[1] さらなる「現地発」の追求
- 白物家電においては、生活研究に当社の「環境コア技術」を融合し、中国をはじめ新興国で、エアコン、冷蔵庫、洗濯機など環境性能No.1のボリュームゾーン商品を連打していく。
- テレビにおいては、ビエラのスマート機能に、現地コンテンツを掛け合わせ、現地ならではの価値を生み出す提案を、インドを皮切りに順次展開。
- デバイス社において、デバイスアプリケーション本部により、「市場ニーズやトレンドを迅速に把握」、「お客様の構想・設計プロセスに積極的に入り込む」といった先回りの情報収集・提案を強化。スマートフォン向け、環境対応車向けといった急成長中の分野から実践していく。
- 機器同士を連携させる技術力や、ラインアップの幅広さなど当社の強みが生きる差別化ポイントを強化。例えば、レシピをスマートフォンでダウンロードし、調理設定ができる電子レンジなど、スマート化した家電商品群を2012年度から日本市場に導入。
[1] 壁を超える
- 従業員一人ひとりが壁を超えるバイタリティーを発揮していくことを求める。例えば、大型空調の開発において旧HA社と三洋から集まったメンバーが、ドメインに残っている内なる壁を超えて技術を融合し、画期的な商品が開発される体制・基盤を構築した。
- インドとブラジルで推進している大増販プロジェクトや、地域発の新規事業創出などは、現地が主導してドメイン・職能を牽引し、変革を進めていく。
- 「小さな本社」、「戦略・投資家型本社」をめざし、その実現に向けて、本社職能の再編・シンプル化とグループ経営の仕組みを再構築。2012年度中に本社機能改革をやり遂げる。
[1] コンシューマー事業分野
【AVCネットワークス】
- 黒字化の必達、テレビ事業の収支大幅改善。
- 非テレビ・非コモディティ事業へのリソースシフト。
- 次世代の柱となる事業の創出。
- BtoC事業(セット商品)のグローバル成長加速。
- BtoB事業(大型空調・コールドチェーンなど)の拡大。
- 商品の付加価値向上とコスト力強化。
- アプライアンス・新興国を中心とする海外増販。
- 大型白物・ミラーレス一眼・小物家電を成長の柱に。
- 海外でのプルマーケティング、「群訴求」強化。
【システムコミュニケーションズ】
- 統合ネットワーク事業強化(セキュリティ、クラウド)。
- モバイル事業のスマートフォン徹底集中。
- ソリューション事業のグローバル展開加速。
- LED、ソーラーを中心とする環境・エナジー増販
- 海外拡大へのシフト加速。
- まるごとソリューション事業の具体化と成果創出。
- 販路を持つ事業を核とした成長加速。
- 医療・介護の顧客接点からのマーケティング強化。
- 新規事業の拡大と成長市場への積極展開。
- 地産池消に向けた海外モノづくり力強化。
【オートモーティブシステムズ】
- マルチメディア事業の収益力強化・新規市場開拓。
- EV関連事業のビジネスモデル確立。
- BCPの再構築と品質力の強化。
- 販売に依存しない強い経営体質の構築。
- モバイル・環境(車・インフラ)分野を重点強化。
- 課題事業(半導体・光事業)の赤字脱却。
- 黒字化の必達、儲かる経営体質への転換。
- 重点事業(ソーラー・イオン電池)への戦略投資。
- 基盤事業(乾電池など)の収益力回復。
3.「環境革新企業」に向けて
- 2018年の「エレクトロニクスNo.1の『環境革新企業』」実現に向け、2012年までグループ事業再編などの基盤づくりを実行。次期中期計画(2013〜2015年)では、その基盤の上に収益構造を再構築し、環境革新企業への道筋をつける。
- 成長の源泉を「人材」におき、人材育成方針や幹部層を対象にした人事制度・仕組みをグローバル&グループで統一・共有する。一人ひとりには、自主性をもって入り交じり、衆知を集め、前例のないものをつくることを求める。
- 経営理念実践を念頭に、力をあわせV字回復をめざす。
以上
◎ご参考・・・事業方針発表会 概況
日時 | : | 2012年5月11日 15:00〜15:55 |
場所 | : | パナソニック(株) 人材開発カンパニー/大阪府枚方市菊丘南町2番10号 |
参加者 | : | 本会場約600名 中継会場約42,000名(国内 290会場、海外 16会場) |
本プレスリリースには、パナソニックグループの「将来予想に関する記述(forward-looking statements)」(米国1933年証券法第27条Aおよび米国1934年証券取引法第21条Eに規定される意味を有する)に該当する情報が記載されています。本プレスリリースにおける記述のうち、過去または現在の事実に関するもの以外は、かかる将来予想に関する記述に該当します。これら将来予想に関する記述は、現在入手可能な情報に鑑みてなされたパナソニックグループの仮定および判断に基づくものであり、これには既知または未知のリスクおよび不確実性ならびにその他の要因が内在しており、それらの要因による影響を受ける恐れがあります。かかるリスク、不確実性およびその他の要因は、かかる将来予想に関する記述に明示的または黙示的に示されるパナソニックグループの将来における業績、経営結果、財務内容に関してこれらと大幅に異なる結果をもたらすおそれがあります。パナソニックグループは、本プレスリリースの日付後において、将来予想に関する記述を更新して公表する義務を負うものではありません。投資家の皆様におかれましては、米国1934年証券取引法に基づく今後の米国証券取引委員会への届出等において当社の行う開示をご参照下さい。
なお、上記のリスク、不確実性およびその他の要因の例としては、次のものが挙げられますが、これらに限られるものではありません。かかるリスク、不確実性およびその他の要因は、当社の有価証券報告書等にも記載されていますのでご参照ください。
● | 米国、欧州、日本、中国その他のアジア諸国の経済情勢、特に個人消費および企業による設備投資の動向 |
● | 多岐にわたる製品・地域市場におけるエレクトロニクス機器および部品に対する産業界や消費者の需要の変動 |
● | 為替相場の変動 (特に円、米ドル、ユーロ、人民元、アジア諸国の各通貨ならびにパナソニックグループが事業を行っている地域の通貨またはパナソニックグループの資産および負債が表記されている通貨) |
● | 資金調達環境の変化等により、パナソニックグループの資金調達コストが増加する可能性 |
● | 急速な技術革新および変わりやすい消費者嗜好に対応し、新製品を価格・技術競争の激しい市場へ遅滞なくかつ低コストで投入するパナソニックグループの能力 |
● | 他企業との提携またはM&A(パナソニック電工および三洋電機の完全子会社化後の事業再編を含む)で期待どおりの成果を上げられない可能性 |
● | パナソニックグループが他企業と提携・協調する事業の動向 |
● | 多岐にわたる製品分野および地域において競争力を維持するパナソニックグループの能力 |
● | 製品やサービスに関する何らかの欠陥・瑕疵等により費用負担が生じる可能性 |
● | 第三者の特許その他の知的財産権を使用する上での制約 |
● | 諸外国による現在および将来の貿易・通商規制、労働・生産体制への何らかの規制等(直接・間接を問わない) |
● | パナソニックグループが保有する有価証券およびその他資産の時価や有形固定資産、のれんなどの長期性資産および繰延税金資産等の評価の変動、その他会計上の方針や規制の変更・強化 |
● | 地震等自然災害の発生、感染症の世界的流行その他パナソニックグループの事業活動に混乱を与える可能性のある要素 |
● | 東日本大震災が、パナソニックグループの部品調達・生産・物流、個人消費を含む日本の経済情勢および海外での販売活動に与える影響、その他パナソニックグループに直接または間接に与える影響、ならびにタイで発生した洪水がパナソニックグループの部品調達・生産、その他パナソニックグループに直接または間接に与える影響 |