【要旨】
松下電器産業(株)は、デジタルテレビ向けUniPhier®※1システムLSI(品番:MN2WS0052)を開発し、2008年 7月上旬よりサンプル出荷を開始します。本製品は、新世代UniPhier®※1(ユニフィエ)プラットフォームを活用し、高圧縮な画像コーデック方式MPEG-4 AVC/H.264[1]や、低ビットレートで高音質な欧州オーディオ規格(HE-AAC[2]等)の再生機能を実現することにより、全世界の主要な放送方式への対応を可能にしたものです。
【効果】
本製品を使用することにより、主要な映像・音声符号化方式に対応できるとともに、低消費電力かつ大幅な部品点数の削減が可能となり、世界各国・各地域のHDTV[3]用デジタルテレビの普及加速に貢献します。
【特長】
本製品は以下の特長を有しております。
- 映像はMPEG-4 AVC/H.264を始めとする3方式に対応、音声はHE-AACを始めとする5方式に対応することにより、デジタルテレビのグローバル市場展開が可能
- マルチプロセッサと、高品位ユーザインタフェースを実現する高速グラフィックスエンジンの搭載により、ネットワーク対応デジタルテレビの普及加速が可能
- 最先端微細プロセスを採用し、映像信号処理部の1チップ化で、所要部品点数の削減を実現し、機器での実装面積と消費電力を約2分の1※2に削減可能
【内容】
本製品は以下の技術によって実現しました。
- MPEG-4 AVC/H.264やVC-1[4]、MPEG-2の各種映像再生、および、HE-AACやDolby®※3 Digital Plusなどの低ビットレートで高音質な音声再生に対応した、UniPhier®※1プロセッサ技術
- 対称型マルチプロセッサと、大画面でも高画質のフルHD対応高速グラフィックスエンジンにより、高速ネットワーク受信と映像/音声メディア処理とを両立する、ネットワーク対応システム制御技術
- 45ナノメートル プロセスの採用により映像信号処理部を構成するAVデコード回路と高画質化回路とを1チップに統合するとともに、外付けメモリ数を2分の1以下※2にできる、システムLSI統合技術
【従来例】
従来、MPEG-4 AVC/H.264対応のテレビを実現するには、映像信号処理部として、AVデコード用と映像処理用の専用LSIが必要であり、さらにこれらのLSIには多くの外付けメモリが必要でした。今後の世界各国・各地域におけるHDTV用デジタルテレビの普及促進には、高画質で、低消費電力、省部品化を実現可能なLSIが求められていました。
【実用化】
サンプル出荷開始 : 2008年 7月上旬サンプル価格 : (数量応談)
※1 | 「UniPhier」は、松下電器産業株式会社の登録商標です。 |
※2 | 当社従来比。 |
※3 | 「Dolby」は、ドルビーラボラトリーズの登録商標です。 |
【照会先】
半導体社 企画グループ 広報チーム 中小路 陽紀 TEL:075-951-8151 E-mail: semiconpress@ml.jp.panasonic.com
【特長の説明】
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映像はMPEG-4 AVC/H.264を始めとする3方式に対応、音声はHE-AACを始めとする5方式に対応することにより、ネットワーク対応デジタルテレビのグローバル市場展開が可能
世界の主要なデジタルテレビ規格で用いられる、MPEG-4 AVC/H.264やVC-1、MPEG-2の映像符号化方式に対応します。
また、HE-AAC、Dolby®※3 Digital Plusは欧州デジタルテレビ規格で必要となる音声符号化方式で、従来の約半分のビットレートで従来と同様の音質を確保できる音声符号化方式です。その他、日本で使用されるMPEG-2 AAC、MPEG-1/2及び北米Dolby®※3 Digitalなどの5方式に対応しています。現在予定されているものを含め世界各国・各地域のデジタルテレビの約98%をカバーし、デジタルテレビのグローバル市場展開が可能になります。さらには、複数の符号化方式に対応しているため、ネットワーク上にあるコンテンツの再生が可能です。 -
マルチプロセッサと、高品位ユーザインタフェースを実現する高速グラフィックスエンジンの搭載により、ネットワーク対応デジタルテレビの普及加速が可能
マルチプロセッサを搭載し、映像/音声のメディア処理中も、高速ネットワーク受信データを安定に表示させることが可能です。また、高速グラフィックスエンジンの搭載により、快適なユーザインタフェースを実現できます。 -
最先端微細プロセスを採用し、映像信号処理部の1チップ化で、所要部品点数の削減を実現し、機器での実装面積と消費電力を約2分の1※2に削減可能
従来、MPEG-2方式などで符号化された映像信号を復号処理するLSIと、復号化された映像信号を鮮明に表示するための高画質化処理LSIがそれぞれ必要でした。
今回、最先端45nmプロセスを採用することにより、これらのLSIをさらに高性能にしながら統合1チップ化しました。外付けメモリ数の削減も行い、映像信号処理部として、機器への実装面積と消費電力を当社従来比で約2分の1に削減することが可能になりました。
【内容の説明】
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MPEG-4 AVC/H.264やVC-1、MPEG-2の各種映像再生、および、HE-AACやDolby®※3 Digital Plusなどの低ビットレートで高音質な音声再生に対応した、UniPhier®※1プロセッサ技術
新世代UniPhier®※1に搭載の「マルチ規格対応AVデコーダ」を、デジタルテレビ向けに改良することにより、高性能と高品質を実現しました。映像再生に関しては、制御ソフトウェアの変更でマルチ規格に対応可能なAVデコーダを実現しました。また、音声再生に関しては、高性能なUniPhier®※1プロセッサの命令並列プロセッサにより、高性能なメディア処理能力を必要とする低ビットレートで高音質な音声再生に対応しました。 -
対称型マルチプロセッサと、大画面でも高画質のフルHD対応高速グラフィックスエンジンにより、高速ネットワーク受信と映像/音声メディア処理とを両立する、ネットワーク対応システム制御技術
2個の32ビットCPUにより、ネットワーク処理とメディア制御処理を行いますが、処理の負荷は常に一定ではなく、動作状況により負荷に偏りが生じることがあります。対称型マルチプロセッサ構成により、状況に応じて2個のCPUに負荷を分散させることが可能です。
また、フルHDに対応したグラフィックスエンジンを搭載しているため、ネットワーク上のアプリケーションやユーザインタフェースを高精細なフルHDで表現することが可能です。 -
45ナノメートル プロセスの採用により映像信号処理部を構成するAVデコード回路と高画質化回路とを1チップに統合するとともに、外付けメモリ数を2分の1以下※2にできる、システムLSI統合技術
45ナノメートル プロセスの採用により1チップに統合する際に、従来のAVデコード処理LSIと高画質化処理LSIにそれぞれ必要であったメモリ制御部を統合し、データ格納用の外部メモリ数を削減できるシステム構成を新規に開発しました。
【暫定仕様】
品番 | MN2WS0052 | ||||
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機能 | CPU | AM34-SMP(32bit対称型マルチプロセッサ) 2CPU構成 動作周波数: 300MHz、 MMU、FPU搭載
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ビデオデコード | MPEG-1、MPEG-2 (MP@HL)、MPEG-4 AVC/H.264 High Profile/Main Profile、 VC-1 Advanced Profile、JPEG Baseline |
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オーディオデコード | HE-AAC、MPEG-1/2 Layer2、MPEG-2 AAC、Dolby®※3 Digital、 Dolby®※3 Digital Plus (SPDIF互換出力のためのトランスコーダ機能搭載) |
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グラフィックス機能 | 2D/3Dグラフィックス | ||||
ストリーム処理 | 国内(BS/CS/地上波)、米国(Open Cable/地上波)、欧州(衛星/地上波)のトランスポートストリームに対応 最大 3ストリーム同時処理(〜180Mbps) |
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アナログTV機能 | 3D Y/C分離、NTSC/PAL/SECAM デコーダ 、VBI デコーダ | ||||
ビデオ入出力 | デジタルビデオ入力2系統、LVDS映像出力1系統(フルHD出力対応 ) アナログビデオ出力1系統( 2ch 12bit DAC ) ビデオエンコーダ(NTSC/PAL/PAL-M)、Macrovision®※4対応 2画面表示機能、IP変換、フォーマット変換、高画質エンジン |
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オーディオ入出力 | 出力:PCMx2、SPDIFx1 入力:PCMx1( I2S ) | ||||
周辺機能 | PCI-Bus(33.3MHz、32bit)、ICカードI/F、SDカードI/F、CableCARD I/F、 階調フォントエンジン、シリアルI/F、パラレルI/F、I2C I/F、 Flashメモリ(NOR/NAND)I/F、スマートカードI/F、リモコンI/F |
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外部メモリ | 32bit DDR2-SDRAM DDR2-800に対応、最大2Gbit | ||||
動作周波数 | 300MHz (Max) | ||||
電源電圧 | 3.3V (I/O) / 1.8V (DDR2インタフェース) / 1.2V (内部) | ||||
パッケージ | 641ピン BGA |
※4 「Macrovision」は、Macrovision Corporation の登録商標です。
【用語の説明】
- [1] MPEG-4 AVC/H.264
- 2003年5月にITU(国際電気通信連合)によって勧告された、動画データの圧縮符号化用国際標準規格の一つです。従来広く用いられてきたMPEG-2と比較し、同程度の画質の場合、概ね1/2〜1/4の符号量で圧縮符号化が可能です。
- [2] HE-AAC(High Efficiency Advanced Audio Codec)
- 2003年3月にMPEG-4によって標準化されたオーディオ圧縮方式です。従来広く用いられてきたMPEG-2 AACに対し、帯域拡大技術を適用することによって、32kbps/ch程度の符号量で良好な圧縮符号化が可能です。
- [3] HDTV(High Definition TV)
- HDTVは、走査線数がインタレース方式の場合1125本以上、プログレッシブ方式の場合750本以上、の高精細度テレビの総称です。
- [4] VC-1
- SMPTE(Society of Motion Picture and Television Engineers)により規格化された画像データ圧縮規格です。
以上