パナソニックグループコミュニケーションマガジン
幸せの、チカラに。

2024.08.02
Talking with Group CEO Kusumi
グループを挙げてお客様に寄り添い お困りごとの解決につなげる技術イノベーションを
パナソニック ホールディングス株式会社 グループCEO 楠見 雄規

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パナソニックグループは技術を通じて、お客様や社会にどのような「お役立ち」を果たしてきたのでしょうか。これまでの歩みと今後に向けた思いを、グループCEOの楠見に聞きました。

他社を凌駕するスピードと
徹底した「お客様視点」を取り戻す

パナソニックグループにとって、技術は競争力の重要な源泉の一つです。その技術は大きく二つに分類されると考えています。一つ目は、これまでできなかったことを可能にする技術。当社で言えば、初めて表面実装部品で回路を構成し、1977年に発売した超薄型ラジオ「ペッパー」が象徴的です。また、私自身も関わっていたので手前みそですが、2007年に発売したブルーレイDIGAは、45nmプロセス システムLSIの搭載で、デジタルハイビジョンの長時間記録を他社に先駆けて実現しました。

もう一つは、これまでにない価格で製品やサービスを普及させる技術です。古くは、高品質と低価格の実現という強い思いで発売し、コストダウンを重ねて優良国産品にも指定された「スーパーアイロン」があります。詳しくは後で述べますが、直近では中国の家電や電子部品、車載機器などの事業でも、当社が保有する技術力を生かしつつコスト競争力を高める取り組みを進めています。

このように、歴史的にも、現在においても、競合に負けないシェアを獲得している事業、つまりお客様の「幸せの、チカラに。」なっている事業は、お客様に満足いただける機能や性能、価格を実現する高い競争力の技術を有しています。中でも圧倒的な競争力を持つ事業は、お客様の未来のお困りごとや潜在課題をも見通し、技術を進化させてきました。アビオニクスの「Astrova」はその典型的な例だと思います。こうした技術を生むポイントは、徹底してお客様のお困りごとに寄り添いながらも、長期にわたって諦めずに根気良く技術を愚直に進化させ続けることだと思います。

一方でこうした技術を生み出すために、当社の先人たちは実践していたが今はできていない、すなわち取り戻すべき強みもあります。例えば、かつて当社は後追いで市場参入しても、研究開発、設計、調達、製造からマーケティングに至るあらゆる面で、他社を凌駕する圧倒的なスピードで勝ち抜けるだけの強さがありました。時が経ち昨今では、中国企業が進んだ取り組みをしています。これに対して近年、当社も「チャイナコストはグローバル標準コスト」と位置付け、お客様価値からの逆算や競合からの学びをもとに、商品企画・開発を変革する取り組みを、中国の家電事業などを皮切りにグローバルで展開しつつあります。こうした取り組みを、設計・調達・製造の連携でさらに進め、グローバルで伍して戦えるコスト力を付けるなど、「誰にも負けない競争力」を取り戻さなければいけません。

もう一つは徹底した「お客様視点」です。成熟した領域では、お客様のニーズを想定はするものの、結局プロダクトアウト的な発想で新機能を開発してしまう傾向があると感じています。そうではなく、徹頭徹尾お客様に寄り添い、ニーズが限定的な機能は時に引き算することで、本当に納得いただけるものに仕上げることが大切だと思います。

守るべきを守り、既存の概念に縛られない
「UNLOCK」で新技術の開発と活用を加速

現在の技術はハードウェア中心ではなく、生成AIなど新たな領域で急速に進化と普及が進んでいます。ただ、こうした新たな領域での技術には時として大きなリスクが内在しています。例えば、AI活用における倫理的な問題、著作権などのコンプライアンスのリスクがあります。私たちの技術を社会やお客様の「幸せの、チカラに。」生かすには、絶対に守るべきものと、古くて時代遅れになった慣習ややり方、既成概念、壊すべき制度を正しく見極め、それらに縛られず変革してゆくことが大切です。

既成概念を捨て、社員一人ひとりのポテンシャルを解き放ち、創意工夫で挑戦と改善を重ねる・・・これこそ、このグループコミュニケーションマガジンの前号のテーマでもあった「UNLOCK(解き放つ)」です。先ほど申し上げた、他社を凌駕するスピードと徹底した顧客視点、そして今申し上げた、一人ひとりのポテンシャルの「UNLOCK」、これらを実践することで、お客様への本当のお役立ちを果たせると考えています。

若い技術人財へ――原理原則×殻をやぶり、
世界をリードする技術者になってほしい

――パナソニックグループを含む、若い技術者の皆さんに対する応援メッセージを

私も技術者出身ですので、2つのポイントでメッセージをお伝えしたいと思います。

一つは、自分の向き合う領域において、その「原理原則」、すなわち基礎や本質を理解していただきたいと思います。例えば、先ほどもお話ししたAIの活用でも、「仕組みを理解してプログラムコードが書ける」「どのような処理が行われているか分かる」など、ソフトウエアやプログラミングの基礎をしっかり理解した上で活用しないと、何か起こったときの原因究明や説明もできなくなります。このように原理原則をおろそかにして、自分が向き合う技術に対して深い理解ができないと、お客様のお困りごとへの対処力が弱くなる。さらには基礎を知らなければその応用も、新技術への適応もできませんよね。ぜひ若い時に、自分の領域の原理原則を深く理解し、その技術を極め、世界レベル、あるいは世界をリードするような技術者になっていただきたいと思います。

もう一つは、外に目を向けていただきたいということ。技術イノベーションの多くは、既存の技術同士の掛け合わせや、異分野の技術アプローチを取り込むことで生まれます。パナソニックグループの場合、創業から100年以上を経て、実にさまざまな技術の蓄積があり、さらにどんどん進化しています。一方で、私たちが関わる多くのパートナー様においても、技術をどんどん進化させておられます。よって、それらの技術を掛け合わせれば、無限のイノベーションの可能性があるということです。一方で、自分の技術が本当に世界をリードするレベルなのかどうか、あるいは自分の技術にとって代わるような新たな技術の出現にも常に目を向けて、時々刻々、客観的かつ厳しく自分の技術を見極めて判断することも必要です。

だからこそ技術者の皆さんは、自身の開発に閉じこもることなく、殻をぶち破って周りや外の世界に貪欲に目を向けてほしいと私は思います。もちろんそれ以前に、自身の技術を活用した商品やソリューションのお客様を第一にすることが大切なのは、言うまでもありません。

パナソニックグループも、技術者にそのような活躍をしてもらうことで、お客様の笑顔につながるイノベーションを数多く生み出せる企業でありたいと思っています。

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