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2023年3月15日
製品・サービス / プレスリリース
パナソニック オートモーティブシステムズ株式会社(以下、パナソニック オートモーティブ、本社所在地:神奈川県横浜市、代表取締役社長 永易正吏)は、自動車のソフトウェア開発に新プロセスを、マツダ株式会社(以下、マツダ)との共創で確立し、開発工数の大幅な削減を実現しました。
この新プロセスは、マツダの国内向け「MAZDA CX-60」に搭載のコネクティビティマスタユニット(車載情報制御系システム)の一部に適用されています。
新プロセスは、従来は実機で行っていた開発を、シミュレーションで検証するMBD(Model-Based Development、モデルベース開発)の手法で実現しました。MBDには、実機の試作にかかるコストや人員数、開発期間の削減といったメリットに加えて、シミュレーションで構成するモデルをさまざまに組み替え、多くのアイデアを容易に試せるなど、大きなメリットがあります。
本開発プロセスの適用範囲の拡大により、両社はそれぞれ、さらなる開発効率化を目指すとともに、MBD推進センターなどと連携し、他自動車メーカー、自動車部品メーカー、ツールベンダーなどを巻き込んだ、業界における標準化活動を推進していきます。これにより、モデルを用いた高度なすり合わせ技術を実現し、日本の自動車産業の国際競争力の向上に貢献してまいります。
共創先であるマツダは、美しい地球、心豊かな人・社会の実現を使命と捉え、クルマの持つ価値により、人の心を元気にすることを追究することで、誰もが活き活きと暮らす「愉しさ」と「生きる歓び」を届けていくことを目指しています。
これは、パナソニック オートモーティブのミッションである、「一人ひとりのより良いくらしの実現のため、持続可能なモビリティ社会を創造する」と深く共鳴するものです。
パナソニック オートモーティブは、あらゆる移動にともなう社会課題、環境問題、渋滞問題、交通事故などの問題が解決され、一人ひとりのくらしに「こころ動かす出会い」があり続ける社会の実現を目指します。
自動車業界では、近年、車載情報制御系システムを中心として、ソフトウェアの大規模化が進み、抜本的な開発の効率化が求められています。これに対し、両社では、モデルベース開発による開発効率化に取り組んできました。マツダでは、モデルベース開発をSKYACTIVエンジンの制御に適用し、品質で約10倍の効果が得られています(1)。また、先進安全運転支援システムであるi-ACTIVSENSEなどにも適用を拡大しています。パナソニックグループでは、電気自動車の電動パワートレイン開発に適用した例があります(2)。
しかしながら、自動車のソフトウェア開発において、自動車メーカーと自動車部品メーカーのやり取りは、人の手で文章や図表を記載した仕様書を用いており、記述のあいまいさや不足などから、不具合や設計のやり直し等が発生する可能性がありました。
両社は、文章や図表で記載された従来の仕様書のやり取りではなく、仕様の振る舞いをシミュレーション可能な電子データを仕様書とする「モデル」でのやり取りによる開発に取り掛かりました。個社で開発効率化を図るだけでなく、自動車メーカーの要求仕様の定義から、自動車部品メーカーにおける詳細な設計段階での設計、商用ソフトウェアへの自動コード生成までを、共同で、一気通貫で実施するための開発プロセスを策定しました。モデル化により、従来の課題である、あいまいさを排除した仕様の記述や設計段階でのシミュレーション検証が、両社間にまたがって実施可能となります。一連の取り組みにより、設計の手戻りを回避し、開発工数を2割程度削減できる見通しです。
①マツダ:要求仕様をモデルで設計・検証し、要求モデルとして自動車部品メーカー(パナソニック オートモーティブほか)に提示
②パナソニック オートモーティブ:マツダから要求モデルを入手し、自社開発ツールでモデル変換・検証
③パナソニック オートモーティブ:モデルの詳細設計・自動ソフトウェアコード生成
上記の開発をサポートする共通基盤として、下記の2点を構築しています。
マツダは要求仕様をモデルで設計する際に、モデル交換仕様書に記載されたガイドラインにしたがって記載し、パナソニック オートモーティブが使用するツールでの動作を保証します。
パナソニック オートモーティブは、実物で動作するようにモデルの詳細設計を実施するとともに、その設計段階で、共有シミュレーション環境を用いて検証します。これらの活動により、会社間にまたがる開発の手戻りを抑止し、高品質のソフトウェア開発を目指します。
(1) 今田, 小森:エンジン制御システム開発技術, 計測と制御, Vol.53, No.8, pp.702-709, 2014
(2) パナソニック株式会社/AZAPA株式会社, ”車載用途でのモデルベース開発に関する協業について”, https://news.panasonic.com/jp/press/data/2017/05/jn170508-1/jn170508-1.pdf, 2017/5/8.
記事の内容は発表時のものです。
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