パナソニック株式会社 エコソリューションズ社は、大阪府および公立大学法人大阪府立大学、地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所との四者間で、「おおさか生物多様性パートナー協定」を2013年11月8日に締結します。
私たち人間の暮らしには、食料、きれいな空気や水など、生物がもたらしてくれる恩恵が数多くあります。しかし、地球温暖化などの環境変化により生態系が影響を受けてバランスを崩し、生態系から十分な恩恵を享受できなくなると、人間は存続できなくなるかもしれません。
国内では、2012年9月、「生物多様性国家戦略2010-2020」が閣議決定され、生物多様性保全の重要性と今後の課題、取り組みの方向性が示されました。その中で、2020年までの国の重点施策のひとつとして、「地域における人と自然の関係を見直し、再構築する」ことも明記されました。
これらの背景から、当社門真構内の土地利用として、ビオトープ(※2)を中心に、生物多様性の保全を図ってきました。その結果、ビオトープを活用した大阪府の絶滅危惧種や地域の生物多様性の保全活動が大阪府より認められ、「おおさか生物多様性パートナー協定」を締結する初めての民間企業として選出されました。
当社は、大阪府の絶滅危惧種であるカワバタモロコ、ミズアオイ、地元メダカ(※3)の保護、および多様な生物種の生息確認を、ビオトープを中心に行います。これらの活動を通じて、持続的に人間と生物が共生できる地域社会の実現に貢献していきます。
また、従業員ボランティアを中心とした生態調査や観察会の活動を通じて、従業員の生物多様性に対する意識向上を図ります。
■調印式の概要
協定名 | おおさか生物多様性パートナー協定 |
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目的 | 生物多様性保全活動に取り組む企業に対して、大阪府および大学・試験研究機関などが連携して、企業の自主的な生物多様性保全活動を支援、促進し、企業価値向上を図る |
協定者 | 大阪府、公立大学法人大阪府立大学、地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所、パナソニック株式会社 エコソリューションズ社の四者 |
日時 | 2013年11月8日(金)13時30分〜14時45分 |
場所 | パナソニック株式会社 エコソリューションズ社 多目的ホール |
出席者 | ・大阪府 副知事 小河 保之 ・大阪府立大学 副学長 石井 実 ・大阪府立環境農林水産総合研究所 理事長 大河内 基夫 ・パナソニック株式会社 エコソリューションズ社 常務 木村 規久男 ・来賓:環境省近畿地方環境事務所 所長 水谷知生 大阪生物多様性保全ネットワーク 代表 谷田一三 |
- ※1生物多様性:生態系の多様性、種における多様性、遺伝子の多様性など、各々の段階でさまざまな生命が豊かに存在すること
- ※2ビオトープ:生き物の生息空間のこと。人工的に「作られた」場所もビオトープという
- ※3地元メダカ:大阪府立環境農林水産総合研究所 水生生物センターが保護している北河内地域のメダカ(在来種)のこと
エコソリューションズ社 生物多様性のサイト
ホームページURL:http://panasonic.co.jp/es/environment/biodiversity/
■エコソリューションズ社のビオトープの概要
【当社門真構内にあるビオトープ】
- 設立年月:2009年3月
- 場所/面積:当社門真構内はんえいの広場(※4)(11,000m²)の一角300m²
- 設立目的:従業員が自然とふれあい、生物多様性への意識向上につながる場の提供
- コンセプト:鳥、チョウ、トンボなどが集まるような生物に優しく、かつ美しく管理されたビオトープ
- 設計指導・監修:大阪府立大学 石井教授
- 維持管理:緑地管理担当と従業員ボランティア
- ※4はんえいの広場:当社創業90周年記念事業として造成した緑地帯
【ビオトープの特長】
1. 大阪府の絶滅危惧種の保護
当社のビオトープでは、大阪府の絶滅危惧種(大阪府レッドデータブックに記載)を大阪府立環境農林水産総合研究所 水生生物センターから導入し、保護しています。
・大阪府レッドデータブックの絶滅危惧II類(絶滅の危険が増大している種)に該当
カワバタモロコは、山際のため池などに生息していましたが、外来魚の侵入や、河川・ため池改修などにより、えさとなる水草帯が消失し、減少しています。
当社は、2012年6月、ビオトープにカワバタモロコを40尾放流。2013年9月現在、約1,500尾の生育を確認しました。 |
・大阪府レッドデータブックの絶滅危惧I類 (絶滅の危機に瀕している種)に該当
ミズアオイは、河川などの浅水域や水田に生育する一年生の植物で、河川改修、除草剤などにより激減しています。
当社は、2012年6月、ビオトープに 25株を移植し、2013年9月現在、自生したミズアオイの開花を確認しました。 |
2. 多様な生物種の生息
大阪府立大学の協力のもと、水生生物の学術調査を定期的に実施しています。
当初2種類だった水生生物が、累計50種まで増加。
都市部では珍しいトンボやチョウなども確認しています。
毎年春から夏にはカルガモが営巣し、愛くるしいカルガモ親子の姿も見られます。
2009年3月〜2012年12月の4年間における 水生生物の累積種数の増加(大阪府立大学 昆虫学研究室による) |
■エコソリューションズ社の生物多様性に関する取り組み
生物多様性を保全するため、「土地利用」「商品」「調達」面から取り組みを進めています。
1. 「土地利用」:事業所の緑地活用
事業場の緑地は、地域の生物多様性保全に貢献できる大きな可能性を持っています。特に都市域では野生生物が生息・生育できる自然環境がほとんど残されていないため、たとえ小さくても、その地域に本来あった植生や水辺などを備えている場合、事業所の緑地はさまざまな生き物にとって、とても大切な場所となります。
生物多様性の視点で事業所の緑地に期待する主な役割は、「エコロジカルネットワークの強化」と「地域の希少な動植物の保全」です。
2. 「商品」:生態系のかく乱低減に寄与する照明器具の開発・販売
光の波長や配光を制御することで、動植物の生息環境に配慮する照明器具を開発・販売しています。
具体的には、照明の光に集まる昆虫への影響を小さくしたり、殺虫剤や農薬の使用量を光の力で低減することができる照明器具を開発・販売しています。
・生態系のかく乱低減に関係する製品
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3. 「調達」:木材グリーン調達の取り組み(パナソニックグループ)
生物多様性の保全と持続可能な利用を目指した「木材グリーン調達ガイドライン」をWWF(世界自然保護基金)ジャパンと協議を重ねて策定。調達排除に努める区分3の削減を進めています。2012年度の調査結果では、木材・木質材料の総調達量は約39万m³。区分ごとの内訳は、区分1が79%(前年度差+4ポイント)、区分2が21%(前年度差-4ポイント)、区分3が0.3%(前年度差-0.3ポイント)でした。
なお、区分3の木材は調達の見直しを進めており、2013年度中になくす見通しです。また、区分3の木材調達がなくなった後も、その状態を継続するよう取り組みを推進していきます。
〔木材グリーン調達の考え方〕
以上