
2025年6月2日
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2025年大阪・関西万博が開幕し、「ノモの国」のパビリオンは連日満員御礼です。小学生や中学生が多数訪れ、その輝く笑顔が私たちのチカラになっています。今回の万博は国内開催では過去最多となる158の国・地域が参加する国家行事であり、夢洲会場には国内外からさまざまなお客様が訪れています。日本として、またパナソニックグループとして、当社の経営基本方針である「お客様大事」の精神を胸におもてなしをお届けしています。
今回の万博に私が直接関わったのは、2018年11月にパリで行われた大阪・関西万博誘致の最終プレゼンテーションでした。万博開催地として、国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)の達成に寄与するという確固たるメッセージを伝えるため、以前CSR・社会文化活動の責任者をしていた経験を評価され、スピーチの依頼を受けたのです。当時、万博とは異なる世界にいたため戸惑いましたが、私は大阪で育ち、大阪ゆかりの企業であるパナソニックの一員としても、大阪への誇りを持っています。自らの体験を語ることで貢献できるのであればと決意し、お引き受けしました。さらに、子どもの頃に1970年の大阪万博で感じた、未来への明るい希望。その原体験を、今度は次の世代へ伝えたいという思いも、私の背中を押してくれました。
大阪での万博開催誘致に成功した後、一度は万博のことから離れていました。しかし、2021年4月に、パナソニックグループの万博担当として再び関わることに。これは天から与えられた使命だと感じました。グループCEOの楠見をオーナーとして、グループ横断の万博推進委員会を立ち上げ、万博への向き合い方を議論しました。国際博覧会条約に基づく万博の理念、「将来の展望を示す」との定義は、創業者・松下幸之助が掲げた「物と心が共に豊かな理想の社会の実現」というパナソニックグループの使命と、非常に親和性が高く、私たちはその精神をパビリオンという形で体現し、世界に発信していく決意を全会一致で固めました。
パビリオンの具体的なコンセプトを固めるため、私たちは、「いのち輝く未来社会のデザイン」という大阪・関西万博のテーマから、理想の未来がどうあるべきか、時間をかけて丁寧にコミュニケーションを重ねてきました。そして、たどり着いたのが、物も心も、サステナブルもウェルビーイングも、全てがつながりあう「循環」という考え方です。ひとの営みと自然の営みは作用し合ってひとめぐりする「720度の循環」でつながっています。
この循環の中で、自分自身の存在に気付き、心を解き放ち、周囲と共に協力し合うことで、一人ひとりが持つ天分*や個性が存分に発揮される。そして、その積み重ねが、世界規模の社会課題の解決や、理想の社会の実現へとつながっていくのです。未来を担う子どもたちが、こうした原体験を通して自信を持ち、勇気ある一歩を踏み出せる場所―それが私たちの目指すパビリオンです。
*生まれつき備わった性質や才能。
パビリオンでは、体験だけでなく建築そのものに「循環」の考えを反映しています。使用済み家電から取り出した鉄や銅などのリサイクル材を主要部材として使用したり、工場から出る端材や廃材を新たな価値のあるプロダクトにアップサイクルして活用するなど、パナソニックグループの事業の中で育まれてきたさまざまな資源循環の取り組みを実装しました。
「循環」を表現した外装のモックアップを建設予定地の近くに組み立てて検証を実施。左が建築家・永山祐子氏。(2023年11月1日撮影)
建築家・永山祐子氏の提案による外観デザインは、心を解き放ち、循環の中に自分自身を重ね合わせる体験を提供します。具現化にあたっては、「720度の循環」をイメージした立体的なモチーフ1400個でパビリオンの外装を形づくり、その鉄製フレームに特殊なオーガンジー(細い糸を使った平織物を加工した生地)の膜を装着。風で揺れ動き、まるで生き物のように常に姿を変える、一瞬たりとも同じ表情をしない今までの建築の概念にはないものとなっています。
「物と心が共に豊かな理想の社会の実現」という哲学的な深い思いを世界中の子どもたちに分かりやすく届けるため、私たちはパビリオンでの体験をベースにしたアニメーションを制作しました。映像表現を通じて「こころの持ちようによって、モノの捉え方、見方が変わる」というメッセージ、ノモの国の世界観を心に残るものにしたいと考えています。デジタル上でアニメーションの世界を楽しんでもらい、実際のパビリオンでは「ノモの国」のアナザーストーリーも体験できる、バーチャルとリアルをつなぐ試みです。デジタルとアナログ、バーチャルとリアルが融合する時代。日常と非日常をつなぐ循環の一つとして、来場者にさまざまな可能性を感じてもらいたいと思っています。
ぜひ来場して、たくさんのことを感じてください。楽しく面白く、自分の知らない世界が広がっています。スマホで全てを済ませる時代と言われるかもしれませんが、実際に体験することでしか感じられない感動があります。来て、感じてほしい。それが私の願いです。
オリジナルアニメーション「ノモの国」イメージ
「オーガンジーが風に揺らぐ様子を見たり、モチーフを通して空を見上げたりすることで、いろいろなソウゾウをしたり、自分たちも自然に包み込まれる一部であることを感じてほしい」
おがわ みちこ:パナソニック ホールディングス株式会社 執行役員。1986年、松下電器産業株式会社(現 パナソニック ホールディングス株式会社)に入社後、音響機器の研究開発、新規事業推進、CSRなどに従事。2015年に同社の役員に就任。2021年から万博推進担当となり、大阪・関西万博に出展するパナソニックグループのパビリオン「ノモの国」館長に。
その他、各界にて公職歴多数。万博誘致に際しては、2018年11月23日にパリで開かれた博覧会国際事務局総会で最終プレゼンテーションにサプライズプレゼンターとして登壇した。2021年に公益社団法人 関西経済連合会 国際委員会 交流担当委員長に就任、同年に公益社団法人 2025年日本国際博覧会協会 理事に就任。
記事の内容は発表時のものです。
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