プレスリリース

2012年3月29日

ハーバード大学と共同で帯電微粒子水(※1)による細菌抑制メカニズムの可視化を実現

パナソニック株式会社は、ハーバード大学 公衆衛生大学院 環境衛生ナノサイエンス研究所(※2)(所長 Philip Demokritou博士)と共同で、水に高電圧を加えることで生成されるナノサイズの帯電微粒子水「ナノイー」の曝露による細菌抑制のメカニズムの可視化を実現し、エアロゾル研究(日本エアロゾル学会誌)にて発表しました。(※3)

これまで、帯電微粒子水「ナノイー」の作用として、衣類・カーテンに付着したニオイの脱臭効果やウイルス、細菌、真菌、花粉・ダニのアレル物質の抑制効果を実証してきましたが、新たに抑制効果のメカニズムを解明するため、細菌の一種であるセラチア菌を用いて形態観察を実施しました。セラチア菌は自然界の土や水の中、および動物や人の腸の中などに存在しています。院内感染症や日和見感染症を引き起こす原因菌で、病原性は低いものの重大な院内感染事例も報告されています。(※4、5)

今回パナソニック株式会社では、帯電微粒子水「ナノイー」によるセラチア菌への抑制効果を検証するとともに、透過型電子顕微鏡(TEM)での形態観察で、セラチア菌の細胞膜の著しい損傷を確認しました。この結果から、帯電微粒子水「ナノイー」による細菌抑制のメカニズムは、細胞膜の損傷であると考えられます。

■検証対象と検証協力先
  • Serratia marcescens(セラチア マルセッセンス):細菌
  • ハーバード大学 公衆衛生大学院 環境衛生ナノサイエンス研究所
    (所長 Philip Demokritou博士)

■帯電微粒子水「ナノイー」の発生原理
霧化電極をペルチェ素子で冷却し、霧化電極に空気中の水蒸気を結露させて水をつくり、霧化電極と対向電極間に高電圧を印加することで、約5〜20nm(ナノメートル)の大きさの帯電微粒子水「ナノイー」が発生

  1. ※1:水に高電圧を加えることで生成されるナノサイズの帯電した水微粒子
    http://panasonic.co.jp/company/r-and-d/technology/nanoe/index.html
  2. ※2:ハーバード大学 公衆衛生大学院 環境衛生ナノサイエンス研究所
    http://www.hsph.harvard.edu/nano/
  3. ※3:エアロゾル研究(日本エアロゾル学会誌)Vol27 No1 pp.78-80(2012)
  4. ※4:横浜市衛生研究所 セラチア菌による院内感染、日和見感染について
    http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/eiken/idsc/disease/serratia1.html
  5. ※5:医科細菌学 改訂第4版 南江堂 p245、p363

【お問い合わせ先】

アプライアンス社 技術本部 HA開発センター
TEL:06-6908-1131(大代表)
受付(平日のみ9:00〜17:30)

■検証結果まとめ

【検証概要】

Serratia marcescens(セラチア マルセッセンス)に対し、帯電微粒子水「ナノイー」を曝露して抑制効果を確認し、形態変化を観察した。

・検証協力先 ハーバード大学 公衆衛生大学院 環境衛生ナノサイエンス研究所
・検証時期 2011年8月〜10月
・検証対象 Serratia marcescens(セラチア マルセッセンス)
・検証装置 ナノイーデバイス
・検証方法 抑制効果検証は45Lボックス中で、セラチア菌溶液を滴下したステンレス板に、帯電微粒子水「ナノイー」を曝露。試験後、セラチア菌を抽出、培養して、生菌数を測定。
形態観察は、90分曝露ありとなしのセラチア菌をTEM観察用に処理を行い、観察した。

【検証結果】


図1.セラチア菌抑制効果

曝露なし 曝露あり
図2.セラチア菌形態観察結果

■ハーバード大学 公衆衛生大学院 環境衛生ナノサイエンス研究所
(所長 Philip Demokritou博士)のコメント

今回の研究報告で示されるように、帯電微粒子水「ナノイー」はセラチア菌の細胞壁と細胞膜を損傷し、抑制効果もあることがわかりました。
今後、帯電微粒子水が菌・ウイルスを抑制する可能性や、空気滅菌・食品業界・院内感染予防の分野における帯電微粒子水の応用について、パナソニック(株)と共同研究が進むことを期待しています。

■ハーバード大学 公衆衛生大学院 環境衛生ナノサイエンス研究所の紹介

ハーバード大学公衆衛生大学院のナノテクノロジーおよびナノ毒物学中核の研究所
  • 環境系および生物系の両方におけるナノ媒質相互作用の特性解析や粒子合成のための装置をすべて保有
  • 工学的に加工されたナノ粒子およびナノテクノロジーの環境への適用や影響に着目
    粒子生成方法や粒子の生体内外での毒物学的な特徴ならびに粒子の物理化学的な特性評価ための粒子サンプリング手法とシステムを数多く開発
  • これらの方法とシステムは世界的に使用され、粒子の環境衛生学的な影響の評価や、粒子に対して敏感な人々に対する影響の評価に貢献