2011年4月28日、社長 大坪文雄が、グループ社員に向けて「2011年度事業方針」を発表しました。その要旨は以下の通りです。
震災後1ヶ月半を経て
- 被災した当社の拠点は着実に復旧が進む一方、サプライチェーンの混乱による影響は依然として継続。
- 復旧・復興に向けては、被災地支援の継続と同時に、事業復旧の加速と次のリスクへの備えに取り組む。売上の変動に見合った経費・投資削減を進めつつ、本業である商品・事業で復興に貢献していく。
- 具体的には、電力不足や停電の対策へのニーズに対しては、LEDなど省エネ機器の普及促進と、創エネ・蓄エネ・エネルギーマネジメントを組み合わせた提案をしていく。本格的な復興に向けては、エネルギーに安心・安全を加えた「家・ビル・街まるごとソリューション」で貢献を果たし、「環境革新企業」のコンセプトを実践していく。
1.GT12の進捗と課題
(1)トランスフォーメーション指標の進捗
指標 | 2010年度実績 | 2012年度目標 | ||
新領域 | 6重点事業売上比率 | 35% | 42% | |
エナジーシステム事業売上高 | 5,508億円 | 8,500億円 | ||
グローバル | 新興国売上高※1 | 5,051億円 | 7,700億円 | |
海外売上比率 | 48% | 55% | ||
ソリューション ・システム |
システム・設備事業売上高 | 2.27兆円 | 2.6兆円 | |
うち、海外比率 | 32% | 39% |
- ※1: BRICs+V・MINTS+Bのパナソニック市販/システム販売
- GT12初年度である2010年度の成果としては、6重点事業のうち、冷熱コンディショニング・LED事業が順調に拡大。また新興国売上高は、インド・ベトナムの販売が全体を牽引し、前年比で120%の成長を実現。
- また、CO2削減貢献では省エネ商品の販売増と生産におけるCO2削減が進み、計画を大きく上回る。
- 目標どおりの成果を出した事業や地域はあったものの、全体としては新領域や海外で大きく販売を伸ばすことができなかった。
2.グループ再編と新成長戦略
- 「お客様接点の強化による価値創出の最大化」「スピーディで筋肉質な経営の実現」「大胆なリソースシフトによる成長事業の加速」を基本の考え方とし、共通技術基盤をベースとした5セグメントから、お客様を起点とした「コンシューマー」「デバイス」「ソリューション」の3つのビジネスモデル別の事業分野に再編。
- 3事業分野のもと、9ドメイン・1マーケティング部門を設置し、各事業分野で最適なビジネスモデルを構築、グループシナジーを最大限に発揮することをめざす。
[1]コンシューマー事業分野
- 「AVCネットワークス」「冷熱アプライアンス」の2ドメインと、「グローバルコンシューマーマーケティング」の1部門。
- AVCネットワークス…生活シーンに根ざした使いやすいネット接続商品の拡大と、新しいビジネスモデルの構築により、新規事業を創造・拡大する。あわせて開発・生産の現地シフトによる新興国攻略で、2012年度の売上目標2.1兆円(2010年度比113%)以上をめざす。
- 冷熱アプライアンス…三洋との事業重複解消などによる売上減があるなか、セット商品の海外展開の加速、調理小物・美容健康商品のグローバル増販、三洋の強みをベースにしたBtoB事業の拡大により、2012年度の売上目標1.2兆円(2010年度比94%)以上を確保。思い切った海外シフトと体質強化により、2012年度以降に成長を加速。
- 「オートモーティブ」「デバイス」「エナジーデバイス」の3ドメイン。マーケティング・技術一体で顧客の潜在ニーズを先取り提案し、社内用途に依存しない自立した事業として拡大。
- オートモーティブ…純正マルチメディア分野のボリュームゾーン創出や、国内市販ナビの圧倒的なトップシェア確立で、2012年度の売上目標7,000億円(2010年度比105%)規模をめざす。
- デバイス…環境・エネルギー分野やスマートフォン向けなどの伸びる領域でグローバルに展開し、高い成長性と収益を追求。2012年度の売上目標は、1.8兆円(2010年度比117%)以上。
- エナジーデバイス…リチウムイオン電池については、事業構造の革新と商品力強化のため中国シフトとグローバル最適調達を推進。中国では蘇州新工場建設を含めて2012年度までに550億円規模の投資を行い、極板・セル・パックの一貫生産を拡大する。ソーラー事業では、世界最高水準のセル変換効率を誇る「HIT」太陽電池のコストダウンに加え、多結晶型モデルの買い入れでラインアップを拡充。2012年度の売上目標は7,600億円(2010年度比115%)以上。
- 「システムコミュニケーションズ」「環境・エナジーソリューションズ」「ヘルスケア・メディカルソリューションズ」「ファクトリーソリューションズ」の4ドメイン。環境・エナジーソリューションズの中に、グループの「まるごと事業推進」機能を設置。
- システムコミュニケーションズ…セキュリテイとコミュニケーションの分野で商品を強化するとともに、クラウドを活用したソリューションを創造。さらにグローバル顧客の攻略を加速、2012年度の売上1.2兆円(2010年度比129%)以上をめざす。
- 環境・エナジーソリューションズ…照明事業では、LEDラインアップを大幅拡充し、LED比率・海外比率いずれも2015年40%以上を目標に、海外販売に取り組む。電材については、アンカー社も活用し、インドを中心にアジア事業を拡大。「まるごと事業」については、幅広い商品を「そろえる」、それらを「つなぐ」、さらに保守・メンテナンス、サービス事業まで行う、といった総合的な提案を「まるごと事業推進本部」が主体となって推進し、2012年度1,055億円以上、2015年度3,000億円以上の新事業創出をめざす。全体で2012年度売上1.6兆円(2010年度比108%)規模の販売をめざす。
- ヘルスケア・メディカルソリューションズ…院内業務支援・早期診断・在宅ヘルスケアなどの成長事業を展開し、2012年度1,400億円(2010年度比117%)以上の売上をめざす。
- ファクトリーソリューションズ…実装分野を核としつつ、生産プロセスの新領域を開拓。既存領域では新興国への開発・製造・販売リソース投入や北米での販売提携の積極活用などを進め、2012年度には1,900億円(2010年度比116%)以上の売上をめざす。
[1]新しい本社の姿
- パナソニック・パナソニック電工・三洋電機の本社部門と、6地域本部の地域統括機能を統合し、より小さな「グローバル&グループ本社」を構築。
- このグローバル&グループ本社は、グローバル本社と「中国・北東アジア」「北米」「中南米」「アジア・大洋州・中近東・アフリカ」「欧州・CIS」の5つの地域統括で構成し、筋肉質かつスピーディ・グローバルなオペレーションを追求する。
- 生産関連職能(環境、技術品質、生産革新、調達、ロジスティクス)において、調達・ロジスティクスと、生産革新の一部の本部機能をアジアに移転し、その他の職能でも、アジアのサテライト拠点を大幅に強化。これらの職能を「グローバルマニュファクチャリング部門」と位置づけ、強い生産拠点づくり・現地調達の強化・戦略的な外部活用など、グローバルモノづくりのレベルアップを加速。
- 三洋電機は、ドメインと競合関係にある商品のOEM事業や海外の合弁事業など、新ドメインに統合できない事業の運営や、資産の運用管理などを行う。
- パナソニック電工の事業は、新ドメインへ完全に統合され、一体となって運営を行う。
- 企業としての発信に用いるコーポレートブランドは、一部地域・商品を除いて全事業分野で「パナソニック」に一本化することを基本とする。
- 数多くあるサブブランド・商品名・技術名称などは、グループ全体で整合をとりながら、必要に応じて継続活用する。
3.経営体質強化に向けて・・・2011年度の取組み「攻める」「変える」「入り交じる」
[1]新興国市場
- BRICs+V、MINTS+Bで、2011年度6,150億円の販売をめざす。
- 特に、倍販をめざすインドでは、大増販プロジェクト2年目として、商品ラインアップの強化やマーケティング体制の拡充、BtoB向けショウルームの開設など取り組みを加速、2011年度販売1,000億円を必達し、2012年度2,000億円につなげる。
- BtoB分野の取り組み事例として、溶接システム分野では、中国・インドのユーザー調査をもとに開発したボリュームゾーンのインバータ付アーク溶接機などお客様起点の新製品を投入。販売・サービス網の拡充強化などとあわせて新興国販売の2桁成長をめざす。
●スマートフォン向けデバイス
- 急拡大するスマートフォン市場において、関連デバイス事業を加速。特に高密度基板「ALIVH」については、100億円規模の投資による海外工場の増産体制の構築や、欧州メーカーとのアライアンスの拡大など積極的に展開。
- 有機EL照明を将来、LED照明と市場を分け合う可能性のある次世代照明デバイスと判断し、「パナソニック出光OLED(オーレッド)照明株式会社」を4月12日に設立、事業化・市場開拓を加速する。
- 日本では、東日本大震災の復興に向け、パネルの買い入れも合わせて供給に注力。
- 欧米では、電力・ガス会社との連携やシステム提案力の強化、M&A含めた新たなビジネスモデルの構築などに取り組む。
- 全体で2011年度1,500億円規模の売上をめざす。
- 工場の環境課題の解決に「工場まるごと」で提案。三洋が保有していた「ろ過膜」技術を活かした水浄化や、工場全体の創エネ・省エネをコンサルティングから行う「省エネ支援サービス」などの展開により、2011年度370億円の売上をめざす。
経営革新を下支えする全社横断的なイノベーション活動を「グループ経営革新本部(6部会1委員会)」のもとに集約し、グループ全体の変革加速を図る。個別事業についても思い切った改革を行う。
- 「Vプロダクト部会」でコンシューマー分野においてグローバルに勝つV商品を創出。生活研究をもとに、こだわりとわりきりを明確にしたV商品で、2012年度の売上1兆円以上、海外比率60%以上をめざす。
- 「環境革新部会」で省エネ・循環型商品づくりを強化し、2012年度の商品によるCO2削減貢献量4,830万トンを実現する。
- グループ経営革新本部傘下に、「経営体質強化部会」を新設、固定費の削減に取り組み、損益分岐点を今後2年間で4%引き下げをめざす。また資金の創出に取り組み、2012年度にはネット資金をプラスへと良化させる。
薄型テレビ
- パネル事業では液晶の外部調達やプラズマ第3工場設備の中国移管などによる資産の軽量化と、インチサイズの集中化による生産効率の向上を図る。
- セット事業については、海外生産体制を強化しつつ、メリハリの効いた機種展開を進め、収益力の改善に集中。
- システムLSIを中心としたビジネスモデルから転換すべく、開発リソースのシフト・成長分野の新規顧客開拓の強化・最適地生産の加速などに取り組む。
全員で新たなグループカルチャーを創造していく。「経営理念の共有」と「多様性の発揮」を図り、それらがグループの成長に直結するよう追求していく。
4.再編後の姿
- 新たな成長戦略の実践と、そのための最適な体制への構造改革により、グループの姿を大きく変革。
- 2012年度には、3つの事業分野それぞれが3兆円を超える規模で拮抗する姿をめざす。グローバルに強い競争力が発揮できる姿を追求した結果として人員はグローバル35万人規模になると想定。
- 新体制のスタートに向けて、重複事業の集約・統合、または外部譲渡の検討も進めていく。また、本社などの共通機能の統合・整理、経営体質強化に向けた各事業個別の構造改革もあわせて、拠点再編や人員の再配置を進める。
- 構造改革費用は、2011年度1,100億円規模、2012年度500億円規模を見込む。
- 2011年度は白物家電統合・販売会社統合などによる販売減などのディスシナジーを予想するものの、合理化・構造改革効果が上回り、営業利益を60億円押し上げると見込む。
- 2012年度にはシナジーによるソーラー・リチウム電池・LED・空調機器などの増販効果・合理化がディスシナジーを上回り、600億円の営業利益プラス要因となると見込む。
- GT12における2012年度の目標「売上10兆円、営業利益率5%以上」に対し、営業利益率については為替の影響を差し引いても、これらシナジー効果を加え、5%以上の達成をめざし、営業利益額でも当初めざした5,000億円という水準に挑戦する。売上については、円高の進行、およびGT12策定以降に取り組んできた「Transformationプロジェクト」での検討を踏まえ、9.4兆円を実行目標として、達成をめざす。
以上
◎ご参考・・・事業方針発表会 概況
日時 | : | 2011年4月28日 15:00〜16:40 |
場所 | : | パナソニック(株) 人材開発カンパニー/大阪府枚方市菊丘南町2番10号 |
参加者 | : | 本会場約600名 中継会場約37,000名(国内 307会場、海外 12会場) |
本プレスリリースには、パナソニックグループの「将来予想に関する記述(forward-looking statements)」(米国1933年証券法第27条Aおよび米国1934年証券取引法第21条Eに規定される意味を有する)に該当する情報が記載されています。本プレスリリースにおける記述のうち、過去または現在の事実に関するもの以外は、かかる将来予想に関する記述に該当します。これら将来予想に関する記述は、現在入手可能な情報に鑑みてなされたパナソニックグループの仮定および判断に基づくものであり、これには既知または未知のリスクおよび不確実性ならびにその他の要因が内在しており、それらの要因による影響を受ける恐れがあります。かかるリスク、不確実性およびその他の要因は、かかる将来予想に関する記述に明示的または黙示的に示されるパナソニックグループの将来における業績、経営結果、財務内容に関してこれらと大幅に異なる結果をもたらすおそれがあります。パナソニックグループは、本プレスリリースの日付後において、将来予想に関する記述を更新して公表する義務を負うものではありません。投資家の皆様におかれましては、1934年米国証券取引法に基づく今後の米国証券取引委員会への届出等において当社の行う開示をご参照下さい。
なお、上記のリスク、不確実性およびその他の要因の例としては、次のものが挙げられますが、これらに限られるものではありません。かかるリスク、不確実性およびその他の要因は、当社の有価証券報告書等にも記載されていますのでご参照ください。
● | 米国、欧州、日本、中国その他のアジア諸国の経済情勢、特に個人消費および企業による設備投資の動向 |
● | 多岐にわたる製品・地域市場におけるエレクトロニクス機器および部品に対する産業界や消費者の需要の変動 |
● | 為替相場の変動 (特に円、米ドル、ユーロ、人民元、アジア諸国の各通貨ならびにパナソニックグループが事業を行っている地域の通貨またはパナソニックグループの資産および負債が表記されている通貨) |
● | 資金調達環境の変化等により、パナソニックグループの資金調達コストが増加する可能性 |
● | 急速な技術革新および変わりやすい消費者嗜好に対応し、新製品を価格・技術競争の激しい市場へ遅滞なくかつ低コストで投入するパナソニックグループの能力 |
● | 他企業との提携またはM&A(パナソニック電工および三洋電機の完全子会社化後の事業再編を含む)で期待どおりの成果を上げられない可能性 |
● | パナソニックグループが他企業と提携・協調する事業の動向 |
● | 多岐にわたる製品分野および地域において競争力を維持するパナソニックグループの能力 |
● | 製品やサービスに関する何らかの欠陥・瑕疵等により費用負担が生じる可能性 |
● | 第三者の特許その他の知的財産権を使用する上での制約 |
● | 諸外国による現在および将来の貿易・通商規制、労働・生産体制への何らかの規制等(直接・間接を問わない) |
● | パナソニックグループが保有する有価証券およびその他資産の時価や有形固定資産、のれんなどの長期性資産および繰延税金資産等の評価の変動、その他会計上の方針や規制の変更・強化 |
● | 地震等自然災害の発生、感染症の世界的流行その他パナソニックグループの事業活動に混乱を与える可能性のある要素 |
● | 東日本大震災が、パナソニックグループの部品調達・生産・流通や、個人消費および企業の設備投資を含む国内外の経済情勢に与える影響、その他パナソニックグループに直接または間接に与える影響 |