プレスリリース

2010年6月22日

パナソニック エコシステムズ株式会社
白金を使わず、アルカリ金属化合物を使用

ディーゼル排ガス浄化用触媒のサンプル出荷を開始

ディーゼル排ガス処理装置の低コスト・省エネを実現


ディーゼル排ガス浄化用触媒(ディーゼル排ガス浄化用触媒 データ容量:132KB)

【要旨】

パナソニック エコシステムズ株式会社 (愛知県春日井市、社長 伊藤清文)は、ディーゼルエンジン排ガス中の粒子状物質[1]を低減する新しい方式のディーゼル排ガス浄化用触媒を開発し、サンプル出荷を開始しました。ディーゼルエンジン車への規制が日米欧を中心に順次強化される中、排ガス処理装置への展開が期待されます。

【効果】

本開発では、ディーゼル排ガス浄化用として一般的に使用されている白金を使わず、アルカリ金属元素を主成分とした化合物を使用しています。また、従来の触媒よりも低い温度で同一の分解性能が得られ、同一温度においては分解速度も向上しています。これにより、本開発の触媒を搭載したディーゼルエンジン排ガス処理装置のコストダウンと省エネを実現します。

【特長】

  1. 白金を使わずに粒子状物質を分解
    アルカリ金属化合物を主成分とした新しい触媒により、粒子状物質の酸化を促進。白金を使わずに粒子状物質を直接分解します。
  2. 低温で粒子状物質を分解
    本開発の触媒は、従来の白金を使用した触媒と比較して、より低温(約20%低い温度)で同一の分解性能を発揮します(当社実験)。そのため、今回の触媒が反応する最適温度を維持するためのエネルギー消費量が従来の触媒より少なく、CO2排出量を抑え省エネに貢献します。
  3. ディーゼルエンジン排ガス処理装置のコストダウンに貢献
    ディーゼルエンジン排ガス処理装置は、炭化水素(HC)と一酸化炭素(CO)を除去するDOC[2]と、粒子状物質を除去する触媒DPF[3]から構成されています。従来の触媒の場合、二酸化窒素(NO2)の酸化作用を利用して粒子状物質を分解するため、NO2を生成するための白金がDOCで必要となります。本開発の触媒は粒子状物質を直接分解するためNO2が不要となりDOCの白金を大幅に削減、装置全体のコストダウンを実現します。

【内容】

(1)粒子状物質を直接分解することが可能なアルカリ金属化合物の触媒開発
新たに開発したアルカリ金属化合物を主成分とした触媒は、NO2を使わず粒子状物を直接分解するとともに、低温で粒子状物質を分解する性能を持ちます。

(2)触媒性能を発揮させるコーティング技術
様々な種類のDPF(コージェライト[4]製、SiC[5]製、金属製等)でも触媒が本来の性能を最大限に発揮することができるようにコーティングする技術を開発しました。

(3)触媒DPFの耐久性を高める添加物の開発
一般的にアルカリ金属を使用した触媒は耐久性が課題となりますが、最適な添加物の開発により解決しました。

【従来例】

現在主流のディーゼル排ガス処理装置は、高価な貴金属である白金を用いた触媒を使用しており、価格変動の影響を受けやすくなっています。また、粒子状物質を処理するために触媒が反応する温度を維持する必要があり、燃料を使って温度を上げていました。

【実用化】

2010年6月より、サンプル出荷を開始

【特許】

国内84件、海外7件(出願中を含む)

【お問合せ先】

パナソニック エコシステムズ(株) 経営企画室・広報 TEL:0568-81-1161
http://panasonic.co.jp/pes/


【特長の詳細説明】

1.白金を使用せずに、粒子状物質(PM)を分解
今回開発した触媒は、アルカリ金属化合物を主成分としており、300℃以上の作用温度域でアルカリ金属活性種が発生。これにより主成分が粒子状物質(主成分は炭素C)の酸化を促進し、CO2にすることで、粒子状物質を分解します(図1)。従来の触媒のように白金を使用しません。

【図1】 触媒DPFの粒子状物質分解原理

2.低温で粒子状物質を分解
本開発のアルカリ金属化合物は、白金による従来の触媒と比較して、より低い温度(約20%低温)で同等の分解処理性能を発揮することが可能です(図2当社実験)。このため、ディーゼルエンジン排ガス処理装置の温度を低く設定することができ、温度を維持するために必要となる燃料が少ない、省エネのディーゼルエンジン処理装置を実現することができます。

【図2】 触媒DPFの温度による
処理速度の特性

3.ディーゼルエンジン排ガス処理装置の低コスト化に貢献

【図3】 ディーゼルエンジン
排ガス処理装置の構成

ディーゼルエンジン排ガス処理装置は、炭化水素(HC)と一酸化炭素(CO)を除去するDOCと、粒子状物質(PM)を除去する触媒DPFから構成されています。従来の触媒の場合、二酸化窒素(NO2)を生成するために、DOCに白金が必要でした。しかし、本開発の触媒は粒子状物質を直接分解することができるためNO2が不要となりDOCの白金を大幅に削減することができ、装置全体のコストダウンに貢献します。

【用語説明】

[1] ディーゼルエンジン排ガス中の粒子状物質(PM)
ディーゼルエンジンの排ガスに含まれる、炭素(C)を主成分とする微小な物質。黒い排ガスの主成分で、大気汚染の原因となるため、規制により除去が定められている。
[2] DOC (Diesel Oxidation Converter)
ディーゼル排ガス処理装置を構成する部品の1つで、ディーゼルエンジンの排ガスに含まれる炭化水素(HC)と一酸化炭素(CO)を分解する役割を持つ。従来の白金による触媒DPFの場合は、さらにNO2を生成するために白金をDOCに添加する必要があった。
[3] 触媒DPF (Diesel Particulate Filter)
ディーゼル排ガス処理装置を構成する部品の1つで、ディーゼルエンジンの排ガスに含まれる粒子状物質を除去する役割を持つ。基材に触媒をコーティングして製造する。(図4)
【図4】 市販のDPFに当社触媒を
コーティングした触媒DPF
[4]コージェライト
エンジン排ガス処理触媒に使用されているセラミック材料の一種。比重が軽く昇温性に優れる。
[5] SiC
エンジン排ガス処理触媒に使用されているセラミック材料の一種。耐熱性に優れる。