【要旨】
松下電器産業(株)照明社は、蛍光灯電極部用の無鉛ガラスを新たに開発しました。2008年9月より無鉛ガラスの量産を開始し、業界に先駆けて、2008年10月1日より自社で生産する全ての蛍光灯の電極部を無鉛ガラスに切替えます。なお、無鉛ガラスを使用し省エネ性能に優れた蛍光灯には、包装箱に「環境ラベル」を表示します。
【背景】
現在、蛍光灯の外管には無鉛ガラス(主としてソーダガラス)が使われていますが、電極部のガラスには加工性、高電気抵抗、気密性の維持が要求されるため、無鉛化が困難であり、鉛ガラスが用いられていました。蛍光灯電極部は複雑な形状をしているためガラスには加工の容易さが求められ、またフィラメントの導入線をガラス内に封着するので、高い電気抵抗と金属との馴染みが要求されます。2006年7月に発効されたRoHS指令でも、このような要因から、蛍光灯の電極部用ガラスの無鉛化は適用除外にされていました。
【電極部用ガラスの無鉛化を実現した取り組み】
このたび、当社は以下の3つの取り組みによって、新たな無鉛ガラスの開発と量産、電極部ガラス加工を可能にしました。
- ガラスの組成設計技術により、ガラスの添加成分として鉛の代わりにバリウムを使用し、鉛ガラスと同等の加工性と高電気抵抗を確保した新無鉛ガラスを開発しました。
- 自社工場に無鉛ガラスの実証設備を導入して、量産化条件を確立し、量産を可能にしました。
- 新無鉛ガラスを用いて、複雑な形状をした蛍光灯電極部の加工温度条件の適正化を行い、無鉛ガラスによる電極部の加工プロセスを確立しました。
【開発した無鉛ガラスの特長】
- 加工温度領域が低く加工性に優れているので、複雑な形状をした蛍光灯電極部ガラスの加工が容易になります。
- 電極部ガラスに必要な高電気抵抗特性を有しているので、電極部ガラス内に封着された導入線間での絶縁を維持することができます。
- 金属と馴染みやすく気密性に優れるので、電極部ガラス内への導入線の封着が容易になります。
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