プレスリリース

2006年6月1日

業界初※1、多段中継[1]可能な屋外5GHz帯高速無線ネットワーク技術を採用

ネットワークセキュリティ技術の導入による
新たな街角見守りセンサーシステムを開発

通学路での子どもの安心安全を目指して


(※1)2006年6月1日現在、当社調べ
【要旨】
松下電器産業株式会社は、「安心・安全・快適なユビキタスネットワーク社会」を実現するため、当社のユビキタスセンサーネットワーク技術[2]と電子タグ(RFID(Radio Frequency ID))[3]技術を組み合わせた、登下校時の子どもや街の安全を見守る「街角見守りセンサーシステム」を大阪市内での実証実験を経て、今回更に高度な機能を有するシステムとしてINTEROP TOKYO 2006にて公開することになりました。
【効果】
電子タグリーダーとIPカメラ[4]などで構成される見守りセンサーを通学路や街角に設置することにより、子どもの通過時刻やその画像を、保護者などに、より確実に伝えることが可能となり、大きな安心・安全を提供します。
【特長】
本システムは以下の特長を有しています。
1. 子どものランドセルなどに電子タグを取り付けるだけで、登下校時の子どもの画像などの通過履歴を記録・通知します。
2. 屋外でもノイズが比較的少なく、高速伝送が可能な5GHz帯無線ネットワーク技術と公衆インターネット網により通学路・街中など広域エリアをカバー。低いランニングコストで運用が可能。
3. 100名程度の同時通過を、99.5%の高精度・高速で検知可能。
【内容】
本システムは以下の技術によって実現しました。
(1) 街角に複数設置された見守りセンサーを介して鮮明な画像を高速に伝送する多段中継が可能な屋外5GHz帯高速無線ネットワーク技術。
(2) ネットワーク通信のセキュリティを確保する暗号化通信技術。
(3) 密集した見守りセンサー配置でも正確な通過履歴を検知する、センサー間時刻同期技術。
【従来例】
従来の街角見守りセンサーシステム※2は、屋外画像伝送にノイズの影響が大きい既存無線ネットワーク技術(2.4GHz帯無線LAN等)を使用するため、高度な暗号や時刻同期への対応も困難で、更なるセンサー精度の向上が求められていました。
(※2) 本システムのベースとなったシステム
【特許】
国内特許 8件(出願中含む)
【備考】
本件は、幕張メッセで開催されるINTEROP TOKYO 2006(2006年6月7〜9日) の「松下電器グループブース(ホール6)」に出展します。
本システムの基本部分は、総務省の「u-Japan大賞 大賞」[5]を受賞しています。

【お問合せ先】

松下電器産業株式会社 パナソニック システムソリューションズ社 
コミュニケーションチーム  遠田(えんだ)  TEL:03-6710-3169

【特長の説明】

  1. 子どものランドセルに電子タグを装着するだけで、通学路の子どもの画像と通過履歴をWEBとメールにより見守ることができ、大きな安心・安全を提供します。
     本システムは、見守りセンサー(学校の校門、通学路、及び街中に設置)、メールサーバ(利用者にメール送信)、WEBサーバ(通過履歴や子どもの画像を閲覧)、及び管理用データベースサーバにより構成されています。
     子どもが装着した電子タグと連動して、各見守りセンサーが登下校状況を把握。子どもの通過履歴や通過画像をWEBやメールで保護者が確認することが出来ます。
     大阪市内での社会実証実験に提供したシステムは、10ヶ所の見守りセンサーで構成されています。
    第1図 実証実験システムの概要
  2. 屋外でもノイズが比較的少なく、高速伝送が可能な5GHz帯無線ネットワーク技術と公衆インターネット網により通学路・街中など広域エリアをカバー。低いランニングコストで運用が可能。
     屋外でも確実な高速伝送が可能な5GHz帯高速無線アクセス装置により、広域エリアに密集して設置された見守りセンサーを無線ネットワークで接続。また、各サーバが設置された管理センターとは、光接続回線やADSL回線などの公衆のインターネット網により接続。
     さらに、見守りセンサーと管理センター間は全てVPN(Virtual Private Network)[6]による論理接続を行っており、通信データは暗号化されて伝送されるため、盗聴・覗き見・改ざんを防ぐ、安全なネットワークが構築可能です。
     さらに1〜2回線の公衆インターネット網を利用しているため、非常にローコストな運用が可能となっています。
  3. 100名程度の同時通過を、99.5%の高精度・高速で検知可能。
     登下校時の子どもの通過情報(時刻・画像)を検出するため、子どもの持つランドセルに電子タグを入れた電子タグケースを装着しています。電子タグの検出率を高めるため、通過検知用と被写体検知用の2種類の電子タグによるハイブリッド構成とすることで、大阪市内での実証実験では見守り率として99.5%を達成しました。
     (※見守り率=電子タグ検出ログ/登下校子ども数)
     見守りセンサーの通過検知を行うには、道路幅を考慮し遠方や遮蔽物先から約15mの距離で集団登校する子どもを検知することを目標に、電池を内蔵した426MHz帯の電波を発信するアクティブ電子タグを採用しています。
     また、通過した子どもだけの静止画撮影を目的とした被写体まで約3mの距離の子どもを検知することを目標に、950MHz帯の電波を受信して電磁誘導発電による返信電波を検知するパッシブ電子タグを採用しています。パッシブ電子タグの屋外への設置と電波伝送実験のために、総務省関東総合通信局に無線局の申請を行い、既存無線局との干渉回避を条件に実験局免許を取得しました。
     大阪市内での実証実験では、上記2つの目的に対してアクティブタイプならびにパッシブタイプを併用する技術を用いたハイブリッド電子タグを用いることに加えて、受信感度特性を考慮した個別検知エリア設計やコリジョン回避設計により、99.5%以上の見守り率を達成しました。ランドセルに取り付けたタグケースの脱落や取り付け忘れなどを除けばほぼ100%の検出率を実現しました。
    第2図 ハイブリッド電子タグケースの構成

【内容の詳細説明】

  1. 街角に複数設置された見守りセンサーを介してより鮮明な画像を、より高速に伝送する多段中継が可能な5GHz帯高速無線ネットワーク技術。
     大阪市内での実証実験では、屋外での無線局設置のため、5GHz帯無線アクセスシステムの包括登録を申請し、総務省近畿総合通信局より2006年1月10日に無線局登録(近括基第1号、近括移第1号)を取得し、各見守りセンサーの無線局を設置しました。
     実証実験で構築した無線アクセス回線は第3図に示す構成であり、各センサー間の状況と回線速度の代表値を第1表と第2表に示します。
    第3図 実証実験でのネットワーク接続構成
    第1表 無線アクセス回線状況 第2表 無線アクセスセンサー間の回線速度
    ※RSSI 用語説明[7]参照 ※1、2表のノード:見守りセンサーをさす
  2. ネットワーク通信のセキュリティを確保する暗号通信技術。
     大阪市内での実証実験において、見守りセンサーと管理センター間の通信セキュリティを確保するためにIPSec[8]技術を採用しました。また将来多数の見守りセンサーを多角的に扱うことを可能にするため、各機器にグローバルなIPアドレスを複数付与できるIPv6[9]技術を採用しました。
     IPv6を用いたサービスを行うには、バックボーンや通信機器がIPv6に対応している必要があります。大阪市内での実証実験では、IPv6が流れない公衆インターネット網を利用するために、IPv6の通信パケットをIPv4でカプセル化した上でIPSecによる「IPv6 over IPv4トンネル[10]」を張り、見守りセンサーとセンター間で暗号化された安心できるネットワーク通信が可能となりました。第4図にIPv6 over IPv4トンネル概念図を示します
    ※ノード:見守りセンサーをさす
    第4図 IPv6 over IPv4トンネルの概念図
    第3表 TCP/IPネットワーク性能
    ※ノード:見守りセンサーをさす
     大阪市内での実証実験では、10台の見守りセンサーが無線アクセス回線で接続されており、見守りセンサーの起点となるセンサー5(ノード5)とセンサー8(ノード8)から、各センサーに対してIPv4とIPv6によるTCP/IPのスループットを測定した結果を第3表に示します。
     センサーによってスループットが大きく異なるのはそれぞれの無線回線品質の影響のためです。IPv4と比較しても大きな差は無く、電子タグの検出データや画像を伝送するために必要な目標値である、1Mbps前後のスループットが確保する事ができました。
  3. 密集した見守りセンサー配置でも正確な通過履歴を検知する、センサー間時刻同期技術。
     無線ネットワーク経由でのセンターと見守りセンサー間で独自の時刻同期方式を採用しています。各見守りセンサーが持つ時計のズレを登下校時刻の前に都度修正することで、常に正確な通過時刻を提供することが可能です。広域・密集した見守りセンサーに対して高精度な通過記録を実現しました。
     子どもの登下校が始まる前の早朝と夕方に全見守りセンサーが持つ時計のズレをセンターの時計に合わせる処理を毎日自動的に行い、子どもが通過した正確な時刻を常に情報提供できるように時刻管理しています。具体的には無線ネットワークを経由した独自メンテナンス回線によるNTP(Network Time Protocol)[11]時刻同期処理を行っています。
     時刻を正確に管理することで、見守りセンサーを通過した時刻から子どもがどのように移動したのか正確に把握することができます。また、過去の履歴から通学時の異常を検出することも可能となります。

【用語の説明】

[1]
多段中継
複数の中継器を経由して伝送するネットワーク
[2]
ユビキタスセンサーネットワーク
人やモノの状況や周辺状況を認識しその動的な情報を発信するために高度なセンシングや映像認識とネットワークが結びついたもの。分散配置された様々センサーが自律的にネットワークを形成し、そのネットワークを通じてセンサーから収集された情報が連携することで、様々な分野やサービスに活用できる。医療・健康、防犯・セキュリティ、防災、農産物等の各種生産現場、環境リスクへの対応等、幅広い社会・経済活動への寄与と安全・安心な社会を実現するための鍵として期待されている。このような背景のもとで、総務省では2004年3月に「ユビキタスセンサーネットワーク技術に関する調査研究会」を設置している。
[3]
電子タグ/RFID
微小な無線チップにより、人やモノを識別・管理する仕組みで、流通業界でバーコードに代わる商品識別・管理技術として研究が進められてきたが、それに留まらず社会のIT化を推進する上での基盤技術として注目が高まっている。耐環境性に優れた数cm程度の大きさのタグにデータを記憶し、電波や電磁波で読み取り器と交信する。
[4]
IPカメラ
IP(インターネットプロトコル)のインターフェースを装備したカメラ
[5]
u-Japan大賞
総務省が、ICTサービス・システム事例を蓄積し、ユビキタスネット社会における活用モデルとして広く普及啓発を図ることを目的に「u-Japanベストプラクティス」の事例を募集。その中で優秀な事例を「電波の日・情報通信月間中央記念式典」で表彰する賞の名称。
[6]
VPN
公衆回線を、あたかも専用回線であるかのように利用できるサービス。
[7]
RSSI(Received Signal Strength Indicator)
受信した信号の強度を表示する信号のこと。
[8]
IPSec
インターネットで暗号通信を行うための規格。IPパケットを暗号化して送受信するため、TCPやUDP(User Detagram Protocol)など上位のプロトコルを利用するアプリケーションソフトはIPSecを意識する必要はない。現在インターネットで使われているIPv4では、オプションとして使用することができるが、次世代の IPv6では標準で実装される。
[9]
IPv6
現行のインターネットプロトコルIPv4をベースに、管理できるアドレス空間の増大、セキュリティ機能の追加、優先度に応じたデータの送信などの改良を施した次世代インターネットプロトコル。
[10]
トンネル(トンネリング)
インターネットなどの公衆回線網上に、ある2点間を結ぶ閉じられた仮想的な直結通信回線を確立すること。ネットワーク上に外部から遮断された見えない通り道を作るように見えることからトンネルと呼ばれるようになった。
[11]
NTP
コンピュータの内部時計を、ネットワークを介して正しく調整するプロトコル。