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2018年2月23日
製品・サービス / プレスリリース
低損失・高速スイッチングを実現
機器の小型化を加速しGaNパワートランジスタの市場拡大
パナソニック株式会社 オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社は、しきい値電圧[1]が変動せず、連続安定駆動が可能な絶縁ゲート型(MIS型[2]) GaNパワートランジスタを開発しました。本トランジスタによりGaNパワートランジスタのさらなる高速動作が可能となり、さまざまな電力機器の小型化が実現できます。
今回、将来の超高速GaNパワーデバイスに必要とされるMIS型トランジスタの連続安定駆動を20Aという大電流動作で初めて確認しました。機器の高周波化・小型化のさらなる加速に伴い、GaNパワートランジスタの市場拡大が期待されます。
本開発品は、以下の特長を有しています。
本開発品は以下の技術によって実現しました。
次世代パワーデバイスとしてGaNが実用化されつつあります。一方で将来技術として、さらなる高速動作を目指してMIS型ゲートが検討されてきました。しかし、これまでのMIS型GaNパワートランジスタではヒステリシスが生じてしまい、大電流・高電圧での高速スイッチング動作が確認できていませんでした。
スイッチング周波数の大幅な高周波化により、周辺受動部品の小型化が可能となり、サーバ・基地局用電源といった各種電力変換回路の高効率動作と小型化を実現できます。
この成果は、内閣府 総合科学技術・イノベーション会議戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「次世代パワーエレクトロニクス」における、大阪大学及び北海道大学との共同研究の成果として得られたものです。
MIS型ゲートではゲート絶縁膜に関連する電子トラップ準位により、ゲート電圧の変化に対して、ドレイン電流特性にヒステリシスが発生することが課題でした。本開発ではデバイス構造およびプロセスを改善し、ヒステリシスを抑制しました。その結果、ゲート電圧として最大+10Vまでの連続安定駆動が可能となりました。
GaNパワーデバイスにおいてはノーマリオフ動作と大電流動作の両立が課題でした。本開発ではゲート電極直下に掘り込みを形成するゲートリセス構造の導入によりノーマリオフ動作を維持しつつ、最大20Aの大電流動作を実現しました。加えて電極間距離の伸長により730Vという高耐圧を実現しています。
GaNパワーデバイスは横型構造を有しており、寄生容量が小さいために高速スイッチングが可能です。さらに高速動作させるためにはより高いゲート電圧を印加してスイッチング動作時の電荷のやりとりを短時間で行う必要があります。本開発ではゲートに+10Vまで印加できるため、より高速なスイッチングが可能となりました。
本開発ではAlONの採用と成膜プロセスの改善により、膜中の電子トラップを大幅に低減しました。これによりドレイン電流が流れ始めるゲート電圧であるしきい値電圧が変動することなく連続スイッチングすることが可能となりました。ゲート電圧+10Vまでヒステリシスを抑制し、MIS型GaNパワートランジスタを採用した電力変換機器の安定動作が可能になると期待されます。
大電流動作に必要不可欠なゲートリセス構造導入にあたっては掘り込み形成時のプロセスダメージの低減が課題でした。本開発では掘り込み形成後の最表層を高温での結晶成長で形成することでプロセスダメージを抑制しました。この結果、ノーマリオフ動作とヒステリシスの抑制を実現しました。
パナソニックは、p型ゲートを有するGITと呼ばれる独自構造のGaNパワートランジスタを既に量産化しています。本開発のMIS型トランジスタは、GITからさらに高速動作を可能とする将来技術として開発しました。ここでは量産で培ったSi基板上のGaNパワーデバイス・プロセス技術を適用することで大電流かつ高耐圧動作を実現しました。
以上
記事の内容は発表時のものです。
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