2024年10月10日
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パナソニック株式会社 オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社は、人の眠気を検知・予測し、覚醒状態を維持させるための眠気制御技術を開発しました。
カメラ画像から測定した、瞬目(瞬き)、表情などをAI処理することにより、初期段階の浅い眠気※1を非接触で高精度に検知します。また、人の放熱量や照度といった車室内環境の計測データを用いて、以後の眠気推移の予測に成功。さらに人の温熱快適性のモニタリングを併用することで、目的地まで快適に覚醒状態を維持させる眠気制御が可能となります。
本技術により、ドライバーの眠気を検知するドライバーモニタリングシステム、車室内環境から以後の眠気推移を予測する眠気予測システム、快適にドライバーの覚醒状態を維持させるための眠気制御システムを実現します。これらを通じて、居眠り運転の抑制に貢献します。
本開発技術は以下の特長を有しています。
従来の眠気検知システムは、眠気推移の予測は困難でした。また、従来の覚醒刺激システムはアラート音や振動などを用いており、使用者の快適性を損なうものでした。
一般・業務用車両やオフィス・教育機関向けの人・環境モニタリングシステム、眠気予測システム、覚醒状態を維持させるための眠気制御システム
2017年10月サンプル対応開始
22件
人は眠気が生じると、「眠そうな表情」「瞬きの仕方」といったさまざまな兆候が現れます。これらを計測することで、眠気を検知できます。
当社は、監視カメラなどの開発で培った画像認識技術を活用し、カメラ画像から瞬目、表情などを非接触で高精度に検出する技術を新たに開発しました。さらに、これまでに収集した眠気と瞬目、表情などに関するさまざまな計測結果をデータベース化し、その中から瞬目、表情などに関する約1800のパラメータと眠気の関係を生理学的見地に基づき分析。また、公益財団法人 大原記念労働科学研究所と共同で行った眠気表情の分析結果に基づき、眠気レベルを推定する独自AIを開発しました。
これにより、無自覚の浅い眠気まで検知するとともに、検知した眠気のレベルを分類することが可能になります。
目の輪郭を抽出(写真)し、瞼の開口度から瞬きの時間変化をモニタリング(グラフ)。
一般的に、寒く明るい環境であれば人は眠くなりにくく、暖かく薄暗い環境では眠くなりやすいことから、眠気は温度や明るさ等の車室内環境に依存すると言われています。しかし、同じ温度環境下でも厚着の人や薄着の人がいるなど、人の眠くなりやすさを周囲温度のみから推定することは困難でした。
当社は、着衣の状態にかかわらず、人体からの放熱量が、所定時間経過後の眠気と関係性があることを、千葉大学との共同研究で明らかにしました。また、独自の赤外線アレイセンサ「Grid-EYE(グリッドアイ)」[2]を用いて、人の体からの放熱量を非接触で計測する技術も開発しました。あわせて、環境センサで計測した周囲の明るさと、時間経過が眠気に与える影響も明らかにしました。
これらにより、非接触で計測した人の体からの放熱量や周囲の明るさから、現在の眠気がどのように推移するかを予測することが可能になりました。
予測した眠気レベルに応じて温度や風量を制御すると覚醒状態を維持しやすくなりますが、気温が低くなりすぎると人は寒いと感じて、温熱快適性が損なわれます。当社は、これまでにルームエアコンの開発などで培った温熱環境と生理学の知見を応用し、奈良女子大学との共同研究で、風流などの影響が大きい車室内などの環境でも適用可能な温冷感推定技術※2を開発しました。赤外線アレイセンサ「Grid-EYE」で人の温熱快適性を常時モニタリングしながら、空調など最適な手段を選択することで、快適に覚醒状態を維持※3させることが可能になります。
表情から評定した眠気レベルの値。1.全く眠くなさそう、2.やや眠そう、3.眠そう、4.かなり眠そう、5.非常に眠そう、の5段階に分類される。
出典:北島洋樹,沼田仲穂,山本恵一,五井美博:「自動車運転時の眠気の予測方法についての研究(第1報,眠気表情の評定法と眠気変動の予測に有効な指標について)」
日本機械学会論文集(C編)63巻,613号, PP93-100, 1997
赤外線アレイセンサは、人や物体が放射する10um帯の赤外線を検知する画素を二次元に配置したセンサで、二次元温度分布を測定できる。当社の赤外線アレイセンサ「Grid-EYE」は64画素のセンサであるが、高解像度アルゴリズムを搭載してさらに最適な角度とスピードでスイングさせることで、約7800画素相当の鮮明な熱画像が得られる。
以上
記事の内容は発表時のものです。
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