パナソニックグループコミュニケーションマガジン
幸せの、チカラに。

2024.03.22
パナソニックグループのひと
今までにない発想やアイデアで
パナソニックならではの移動体験を:山崎 雄也

シリーズ:

  • 事業会社
  • 車載
  • モビリティ
  • ひと

お客様の視点を大切に
手法と創意
をUNLOCK!

ユーザー価値創造をリードするUXデザイナー

山崎 雄也

パナソニック オートモーティブシステムズ株式会社
HMIシステムズ事業部 事業企画室

やまさき・ゆうや 2005年入社。ビジネスコミュニケーション事業の分野で、主にIP電話のソフトウェア・システム開発、商品企画を担当。UXデザインを商品企画プロセスに導入。顔認証事業の商品企画および開発推進業務などを経て、2023年6月から現職。商品企画・UXデザイナーとしてこれまでの経験を生かす。

UXデザインを自ら学び
、商品企画力を強化

事業企画室のメンバーと打ち合わせ

EV化で、ユーザーが車に求める付加価値は、走行性能だけではなく、車を介して得られるサービスや車室空間で得られる体験価値へと多様化しています。私たちがこうした付加価値を提供するためには、ユーザー視点で車室内の体験や魅力を追求することが重要です。私のミッションは、商品企画の段階から、お客様が製品やサービスを通じて得る体験価値を作り込む「UXデザイン」の考え方を取り入れること。私がUXデザインの重要性に気づいたのは、過去に参画した産学連携プロジェクトでの経験がきっかけです。お客様の視点を大切にするUXデザインを自ら深く学ぶとともに、社内に広げ、商品企画や開発に生かすようになりました。

今年1月、パナソニック オートモーティブシステムズ(株)(以下、PAS)は日本最大のカスタムカーの祭典「東京オートサロン2024」に、新しい車室空間のコンセプトモデルを初めて出展しました。目指したのは、移動時間を移動の目的やお客様に合わせてマルチパーパスに使える、付加価値の高い車室空間です。パナソニックならではの技術をフル活用して、映像・音響・振動・照明・香りという体感に響く、豊かな環境を作り出しました。後席に55インチのディスプレイや3Dハイレゾリューション対応のオーディオスピーカーを組み込み、高臨場感を実現。1台はビジネスエグゼクティブ向けで、10分間でパワーナップ(仮眠)して心身をすっきりとリセットして次の仕事へ向かうユーザー像に対応。もう1台はインバウンドを含むVIPを観光やスポーツ観戦で送迎する車内に、ワクワク感が高まる空間を演出します。さまざまな価値ある体験と居心地が良い空間を作り出したいとの思いを込めて、コンセプトカーを「WELL Cabin」と名付けました。

今回の出展の狙いは、新規事業のビジネスパートナーを募り、コンセプトを表現した実車でお客様の反応を確認することでした。来場者からは、ディスプレイの迫力と空間全体が創り出す臨場感に多くの反響をいただき、既に10社以上から協業の打診をいただいています。PASとして新規事業にチャレンジする2024年のスタートにあたって、大きなインパクトを残せたと実感しています。このようにお客様の体験価値を自らで見いだし訴求することで、カーメーカー様はもちろんのこと、B2B顧客やモビリティ・サービサー*などのパートナーとの協業による新たなビジネスにも挑戦していきます。

*ハイヤーや観光の送迎など「移動サービス」を提供する MaaS(モビリティサービス:Mobility as a Service)事業者

東京オートサロン2024の会場でお客様に「WELL Cabin」を説明

ビジネスエグゼクティブ向け車室空間の演出例。空調制御にアロマオイルを使い、リラックス効果をさらに高めている。「居心地が良い空間。そんな世界観を打ち出していきたいですね」

仮説・検証を地道に繰り返し、
自ら解を創り出す

東京オートサロン2024への出展では、職種・スキル・キャリアが異なる多様なメンバーが集まり、私は事務局とコンセプト開発のリーダーを務めました。新しい価値を、新しい手法で創り出し、新しい手段で情報発信をする――。まさに手探りのチャレンジで、議論が進まない苦しい時期もありました。しかし、各々のメンバーの考えや思いを素直に共有し、出展の目的を定めて全員の目線を丁寧に合わせて乗り越えてきました。振り返れば、多様なメンバーがいるからこそ、今までにない発想やアイデアの種が生まれ、それを育てて今回の成果が出せたと感じています。

「新しい価値の創造」には、プロセスにもゴールにも、解はありません。仮説を立ててお客様に提案し、検証しながら学びを得て、さらに新しい仮説を立てる。このアプローチを地道に繰り返しながら、「自ら解を創り出す」という強い志が大切です。これこそUXデザインの取り組みであり、私のスキルが生かせたと思います。

リアシートから見た55インチディスプレイ。「よく考えたら家のテレビより大きい(笑)。来場者が驚く反応をダイレクトにみられたことは、すごくうれしかったです」

今後はWELL Cabinのコンセプトをさらに広げ、事業化とスケール化を図りたい。特に、車の機能や性能がソフトウェアでアップデートできるSDV*化が進展すると、販売後もお客様との接点が継続できます。これは大きなチャンスです。街を走る車のデータを解析し、UXをさらに改善したソフトウェアのアップデートをお客様にお届けする。こうした「UXの循環」をパナソニックグループのひとセンシング技術で実現し、家電で培った技術を掛け合わせることで、私たちにしかできない未来を創り出せる。私はそう信じて、挑戦し続けます

* Software Defined Vehicleの略

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