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2023年8月8日

PID社 デバイスソリューション事業部 山口拠点を訪問しました(7/28)

写真:工程の状況はきめ細かく見える化

先に投稿した津山工場の訪問の翌日に、デバイスソリューション事業部の山口工場も初めて訪問しました。

この山口拠点で生産している導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサについては、私自身初めて詳しく知る機会を得ました。ここでは詳しくは申し上げませんが、このコンデンサはクルマの電動化の領域で、特にインバータの制御系や、バッテリマネジメントの用途に最適なデバイスで、しかも、当社は大容量化・大電流化で競合を引き離していると同時に、独自の製法によって特性のバラつきを低く抑えており、現時点で高い競争優位性があると知り、頼もしい限りです。

さて、ここからが本題。

山口拠点に行く前に、PID社長の坂本さんから「製造DXについては、山口が大変よくやっているので楽しみにしてください」と言われていたので、今回の山口訪問はワクワクしながら訪問させていただきました。

山口拠点の設立は1969年で、50年以上前から一貫してアルミ電解コンデンサの生産を継続しています。多くの古い設備も使いながら最新のハイブリッド電解コンデンサの需要拡大に応えるために、2016年から、生産の合間を縫って各ライン、各工程の全設備376台全てにPLC(プログラマブルロジックコントローラ)を設置し、1秒単位の稼働状況と1個片の品質データがサーバに上がる仕組みを構築されました(写真①)。「リアルタイムの生産状況・品質状況の見える化で生産性改善に繋ぐ!」という固い決意に基づき、7年間の長きにわたって旧来の設備へのレトロフィットも含めて地道に努力されたということですから、大したものです。

そして、現場では、設備から上がるデータに基づき、生産性向上に向けてMTBF(平均故障間隔)とMTTR(平均修理時間)を重点指標として、それぞれの最大化・最小化に取り組んでいます。そのために現場では、ウェアラブルデバイスを導入して、異常があれば即座に現場の責任者に通知される仕組みも確立しています。異常が「見に行けばわかる」のと「即座に通知される」とでは、当然、対応のスピードに大きな差が出ます。未だに「見に行けばわかる」仕組みしか導入していない拠点は、山口拠点に倣って「即座に通知される」仕組みを導入していただきたいと思います。

そんな、頼もしい製造DXの取り組みを進めていただいている山口拠点ですが、さらなる進化の加速に向けて3つほど注文をしました。

一つ目は、製造DXという観点では、まだまだ進化の余地があるということ。確かに稼働と品質、各工程での検査結果等から次のアクションを決めていくのは素晴らしいのですが、製造上のバラつきは、加工条件と環境条件によって発生します。よって、稼働状況や品質検査結果のみならず、例えば、その時の温湿度や、加工するモーターの負荷(=加工条件)などのデータをきちんと取って、それと品質検査結果との相関関係の分析をして、その相関関係のあたりをつけることでバラつきを少なくすることが可能だと思うのです。製造DXで先行する他社のみならず、当社の中でもそのような取り組みを進めつつある拠点もあります。

二つ目は、仕掛待ちのような状況が発生しているならば、既に着手し始めてはいるものの、モノと情報の流れをきちんと整理して、工程間の情報について、どういう課題があるから仕掛待ちが発生しているのかを究明すること。それによって部門間連携の仕方も変えるきっかけになります。着手されているなら、モノと情報の流れの整理、そして、そこでの課題出しを加速することで、LT短縮、ひいてはCCC(キャッシュコンバージョンサイクル)の短縮に繋がると考えます。

三つ目は、起きている現象はよく共有されているが、現象が起きている原因となっている課題、さらにはより高い目標の達成を阻害する課題とその真因をつまびらかにしてつぶしていくということをやって頂くと、もっと改善のスピードが上がるのではないかと思いました。そこで役立つのがWIPボード。現象を共有するのではなくて、課題を共有する。課題をつまびらかにして、それに皆で知恵を集めてチャレンジしていく。是非、一人一人が課題と感じたこと、ここが課題になるなと感じたこと、あるいは、ここで詰まっています、というようなことを皆で共有する習慣をつけてれば、この山口拠点は、今までも進化してきたけれども、それ以上のスピードで進化していけるのではないかと感じます。

このような取り組みを通じて山口拠点の皆さんがますます活き活きと活躍し、ハイブリッドアルミ電解の領域で世界に類を見ないレベルで勝ち続ける道を歩むことを期待しています。

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