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2023年8月8日

PID社 メカトロニクス事業部 津山拠点を訪問しました(7/27)

皆さん、おはようございます。

7月27日に初めてメカトロニクス事業部 津山拠点を訪問しました。

ここは、インターフェイスデバイスBUのスイッチ類の中でもライトタッチスイッチエンコーダ・ボリュームディテクタスイッチプッシュスイッチ、そしてタッチソリューションBUの商材では従来のタッチパネルに加え、様々な用途が期待される新たな透明導電フィルムFineX(ファインクロス)(写真①)の生産が始まっています。

この津山拠点で報告を伺い、デモを見せてもらってまず感心したのは、この拠点に技術部隊があるという要因もあるのですが、それぞれのBUが相当に先行的な開発をやってくれているという点です。今の事業の商品はいつかコモディティ化したり、別のソリューションに置き換えられるという危機感をもって取り組んでくれています。インターフェースデバイスBUでは、スイッチやエンコーダの枠にとらわれない新たな感覚で操作できる様々なデバイスの開発に取り組んでいます。また、タッチソリューションBUのFineXは実に7年前から開発を始めたとのこと。既存のタッチパネルは液晶ディスプレイに後から貼り付けるものでしたが、液晶パネル内に内蔵されるインセル構造への進化によって需要の先細りが見えていました。そこで、新たに様々な用途が見込める画期的な透明導電フィルムを、半導体プロセスの一部を取り入れた独自の製法を編み出したことに始まり、当初はコスト的にとても成立しないところから、コスト10分の1を目標に、まさに改善に次ぐ改善を重ねて、その目途をつけたというのだから本当にスゴいことです。

そして、現場を見せてもらっても、かなりいい取り組みが定着しつつあると感じました。

構内の施設である安全道場は単に体験型道場にするということに留まらずさらにヴァーチャルリアリティを導入して現場での災害を体験できるようにするなど、常に進化させることを考え続けている(写真②)。

その一方で、技能伝承にしっかり取り組んでおり、先輩社員が若手社員への匠の技能の伝承の仕組みを確立して常態化させています。これは津山の伝統とのこと。

大部屋活動については、私が「大部屋活動!」と口うるさく申し上げるはるか以前から、先述の透明導電フィルムの開発で原価10分の1を目標に「全員活動」としてやっていたというのも流石。それを今は大部屋活動というかたちでやって頂いています。

大部屋活動の中では当然にWIPボードを用いるわけですが、それを各工程で取り入れ、大部屋のWIPに繋ぐというところもしっかりできているし、上位の方が課題を1日1回拾いに行っており、きちんとした運用ができはじめている(写真③)。

「物と情報の流れ図」(モノ情)についても、高い天井までとどく大きなモノ情をつくって、仕掛りやLTが全体の流れの中でどうなっているのかを把握できはじめている。

つまり、この津山工場では、「改善に次ぐ改善」を強烈かつ高速に進める準備が整ったな、と感じたわけです。

ただ、準備は整ったものの、ここからトップスピードで改善のサイクルを回していただくために、二つの注文をつけさせてもらいました。

一つめは、WIPボードには、タスクではなく課題を挙げるということ。取り組み始めたWIPボードの中身を見ると、困りごとや課題ではなく、タスクが書かれている。つまり、今やるべきTo Doが書いてある。そうではなくて、タスクを進める上でつまずきそうなところ、自分には難しそうなところをWIPボードに挙げて欲しいのです。タスクを書いてしまうと、例えばそれが1週間のタスクであれば、1日目に難しいと思っていても、あと6日あったら何とかなるだろう、あと4日あったら何とかなるだろう、となってしまう。しかし、「難しい」と思った時点で助けを求めてすぐに助けてもらえば、1週間のタスクは、実は、3日で終わらせられるかもしれない。だから、つまずきそうなところ、あるいは、考えてみたが自分は難しいと感じたところを、すぐにWIPボードに挙げて周りに助けを求める。WIPボードをそのように活用することで結果としてスピードが上がるのです。

二つめは、誰にも負けない、競合を引き離すための高い目標に向けた活動にしていただきたいということ。「昨年より10%改善」というような低い目標ではなく、「5倍」とか「10倍」とか、ここまで行けばダントツ、ここまで行けば世界を変えられる・・・そういう目標をもって、ワクワクしながら進めていただきたいということです。この津山拠点では、すでに透明導電フィルムのコスト削減での成功体験があるのだから、やればできる自信があるはず。

高い目標という観点では、インターフェイスデバイスBUで金型を替えるのに、非常に精密な金型のため時間がかかっていたものを、「こういう方法で1/3が見えてきました」という話も聞かせてもらいました。これも大変に素晴らしい話。しかし、それができたとしてもそこに留まらない。仮にそれを更に1/3でできるようになれば、例えば、70%の可動率が85%まで向上できるとしましょう。すると設備生産性が21%向上するわけだから、収益性に大きく寄与する。その金額効果が現場の皆で共有できていれば、仮に切替時間を更に1/3にするための投資判断が必要な場合にも現場で即断・即決できるはずです。まさに、「改善後は改善前」の考え方で、しかも現場の即断・即決でどんどん進化することを期待するのです。

常に先を見据えて取り組む二つのBUの強みに加えて、「改善に次ぐ改善」の準備が整った津山拠点の今後の大躍進が楽しみです。

写真①:ショールームでのFineXデモに何と自主製作ビデオ(笑)
YouTubeでも公開中:『FineX』のやってみたシリーズ 曇らないメガネ

写真②:VRを導入した安全道場

写真③:大部屋のWIPボードの前で

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