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2022年9月30日

社員稼業・自主責任経営の体得について(特に一人でも部下を持つ上司の方へ)

皆さん、お疲れ様です。
 
先日、ある方から、「どうすれば、社員稼業や自主責任経営を皆に理解いただけるようになるでしょうか?」と聞かれました。
 
社員稼業の実践、あるいは自主責任経営を進める心構えとして、私は度々、旧松下住設で電子レンジ事業を立ち上げられた小川守正さんの「自主責任感とは、任務を実行する人自身が、自己の全能力を傾け、よりよき方法・手段を生み出し、それを果敢に実行し、より大きな成果をあげることを使命とする責任感である。兵士的責任感とは使命の対象が異なる」(※1)という言葉を引用して説明してきました。
 
しかし、この質問の「理解いただけるようになるでしょうか?」という問いかけを聞いてハッとしたのです。そもそも、このような説明をしたところで何となくは理解できたとしても、体得して実践するに至ることはできないからです。
 
一人ひとりが、それぞれの任務の中で、自主責任感を持って「誰にも負けない立派な仕事」を進めるようになれるには、任された仕事の中で、自分で考え抜き、壁にぶち当たった時には積極的に支援を求めて知恵や助けをもらいながらその任務を高いレベルで成功させ、お客様や周囲の人に心から喜んでいただく・・・そういう経験の積み重ねの中で体得できるものでしかないと思うのです。
 
そのためには、上司は「任せる」ということが大事なのです。「任せる」ということなくして、部下が自主責任感を体得することはありえません。一から十まで事細かに指示をして「作業」をさせているようでは、部下が自主責任感を持つことはなく、指示にしたがって任務を遂行する「兵士的責任感」しか持ちえないのです。これは私自身の反省に基づく結論でもあります。
 
以前ご紹介した林南八さんのビデオ(※2)の冒頭で、「人財とは何か?・・・社会人の4ランク」として以下のように定義しておられます。

  • 人財:どんな難題に直面しても果敢に挑戦し結果を出せる人物
  • 人材:仕事が分かっていて戦力になり得る人物
  • 人在:特に役に立たず居るだけ
  • 人罪:居ることが罪、足を引っ張るだけ(俺は聞いていない。勝手な事はするな)

この人財の定義もまた、小川さんの「自主責任感」と通じるものですね。 そして、林さんは「人財に求められることは問題解決能力、問題解決に不可欠なことは問題を顕在化する能力」(※2)であるとした上で、そのような能力をどうやって高めるのかというと、「自分の頭で考えろ、安易に聞くな、安易に教えるな」と大野耐一さんから受けた薫陶を実践されてきたとのこと。まさに「任して任さず」を、あらゆる現場ですみずみでまで実践されているのがトヨタの強さだと思うのです。
 
パナソニックでも創業以来、私たち一人ひとりが自主責任感をもつ「人財」であることを求めています。しかし、それは座学で何を学んだところでそうなるものではありません。部下を持つ上司の皆さん一人ひとりの行動で人財を作ることもできれば、人在や人罪を作るリスクもある。社会からお預かりした人を「人財」として活躍できるようにしないということは、それも「赤字」や「ムダ・滞留」と同じく大きな罪悪である。部下を持つ上司の皆さんには、そういう共通理解をもっていただきたいと切に願うのです。

※1「松下幸之助に学んだ実践経営学 自主責任経営の真髄とは」(小川守正著 PHP研究所発行)より引用
※2林南八さんご講演ビデオ(2018年12月)より引用

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