2018年3月22日

車載ECUや産業ロボットの高精度化と静電気放電対策に対応

業界最高の耐静電気放電(ESD)性能の
「小形・高精度薄膜チップ抵抗器」を製品化

小形・高精度薄膜チップ抵抗器

パナソニック株式会社 オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社は、業界最高※1の耐静電気放電(以下ESD)[1] 性能を実現した「小形・高精度薄膜チップ抵抗器」を製品化、2018年6月から量産を開始します。車載ECU、産業ロボットなどの電源ユニットや制御回路のESD対策と高精度化に貢献します。

近年、加速する車の電装化に伴い、ECUのESD対策のニーズが高まっています。また環境対応車の燃費改善や自動運転化を背景に、ECUの小型化・高精度化が進んでいます。そのため、ECU搭載向けとして、小形・高精度で耐ESD性能に優れた抵抗器が要求されています。当社は独自の薄膜形成技術により、小形・高精度でありながら業界最高※1の耐ESD性を実現した薄膜チップ抵抗器を製品化しました。

<特長>

  1. 小形・高精度薄膜チップ抵抗器として業界最高※1の耐ESD性能を実現、制御回路の静電気対策や高精度な制御に対応
    ESD耐性:HBM[2] 1kV※2当社従来品※3比2.5倍以上
    抵抗温度係数(T.C.R.):±5×10-6/℃抵抗値許容差:±0.05%
  2. 車載用途に適した耐熱衝撃性を実現、長期間での使用に対応
    熱衝撃耐性:-55℃⇔155℃、1000サイクル※4当社従来品※3同等
  3. 優れた耐硫化性能の実現で、制御回路の高信頼性化に貢献
    硫化ガス耐性:1000h※5
  • ※1: 2018年3月22日現在 1005サイズの高精度(抵抗温度係数:±5×10-6/℃以下、抵抗値許容差:±0.05%以下)薄膜チップ抵抗器において(当社調べ)
  • ※2:1005サイズの薄膜チップ抵抗器、準拠規格AEC-Q200 class 1Cにおいて
  • ※3:当社従来品(1005サイズの薄膜チップ抵抗器 ERA2Aシリーズ)
  • ※4:当社標準の試験条件(温度条件:-55℃_30分⇔155℃_30分)において
  • ※5:当社試験法規格(H2S濃度:3ppm/温度:40℃/相対湿度:90%RH~95%RH)において

【用途】

車載:エンジンECU、HEV/EVインバーター、アンチロック・ブレーキシステム(Anti-lock Brake System)、TCU(Telematics. Communication Unit)の制御回路や電源回路
産業:産業ロボット、精密工作機械、FA制御機器、計測機器、サーバーの制御回路

【商品の詳細情報】

https://industrial.panasonic.com/jp/products-resistors/chip-resistors/high-precision-chip-resistors/anti-esd-type?ad=press20180322

【特長の詳細説明】

1. 小形・高精度薄膜チップ抵抗器として業界最高の耐ESD性能を実現、制御回路の静電気対策や高精度な制御に対応

ECUの小型化や、自動運転技術によるセンサの高精度化により、小形・高精度なチップ抵抗器が求められています。また、車の電装化に伴い、瞬間的に印加されるESDが機器の誤作動や故障の原因となるため、ESD対策を施した設計が必要になっています。従来の小形・薄膜チップ抵抗器は、抵抗膜の構造上、ESDなどの瞬間的な過電圧によって局所的に高負荷が発生し、壊れやすいという課題がありました。今回当社独自の薄膜形成技術により、過電圧による局所的な電圧負荷を低減し、小形・高精度で業界最高の耐ESD性能を実現した薄膜チップ抵抗器を開発しました。増幅回路や制御回路の入出力信号の高精度制御に対応するとともに、薄膜抵抗器の実装工程で必要だったESD対策に考慮した設備や、取り扱い上の制約を緩和することが可能です。

2. 車載用途に適した耐熱衝撃性を実現、長期間での使用に対応

温度差の大きな環境下では、チップ抵抗器と実装基板の線膨張係数の違いによる熱応力が繰返し加わることではんだフィレット[3] に亀裂が発生し、抵抗値変動を引き起こします。そのため、長期間での使用は難しいという課題がありました。本製品は、電極の内部に緩衝層を設けた当社独自の電極構造の採用により、はんだフィレットに生じる亀裂の進行を抑え、車載用途に対応した熱衝撃耐性を実現しました。温度変動が激しい環境での動作が要求される機電一体モジュールなどに適しており、長期間での使用に対応します。

3.優れた耐硫化性能の実現で、制御回路の高信頼性化に貢献

空気中には自動車の排気ガスや温泉の硫黄ガスなど、さまざまな形で硫黄成分が存在しています。チップ抵抗器が硫黄成分にさらされると電極の硫化を引き起こし、抵抗値が変動する可能性があります。近年、車載や産業機器の各種制御回路の長期信頼性や安全性を高めるために、耐硫化への要求が高まっています。今回、硫化耐性に優れる電極材料の選定と当社独自工法の採用により、高い耐硫化性能を有する抵抗器を実現、制御回路の高信頼性化に貢献します。また、硫化耐性が要求される産業ロボットにも適しています。

【基本仕様】

シリーズ名 ERA2Vシリーズ ERA3Vシリーズ ERA6Vシリーズ
チップサイズ[ミリ]
チップサイズ[インチ]
1005
0402
1608
0603
2012
0805
定格電力[W] 0.063 0.1 0.125
素子最高電圧[V] 25 75 100
抵抗値範囲[Ω] 47~100k 47~330k 47~1M
抵抗値許容差[%] ±0.05、±0.1
抵抗温度係数(T.C.R.)
[×10-6/℃]
±5、±10、±15、±25
カテゴリ温度範囲[℃] -55~155
  • ※ 1005サイズの薄膜チップ抵抗器に加え、1608サイズ、2012サイズをラインアップします
  • ※ 抵抗値許容差と抵抗温度係数(T.C.R.)のラインアップは抵抗値範囲により異なります

【用語説明】

[1] 静電気放電(ESD:Electro-Static Discharge)
物質同士の摩擦や剥離によって蓄えられた電荷(静電気)が、導電物質と接触することにより一気に放電する現象。電子部品や電子回路を破壊する場合があります。
[2] ヒューマンボディモデル(HBM)
ESD(静電気放電)モデルには、CDM(Charged Device Model、帯電デバイスモデル)、MM(Machine Model、マシンモデル)、そしてHBM(Human Body Model、人体モデル)があります。HBMは電子部品の評価に最も一般的なモデルで、人体や帯電物から電子部品への放電モデルとして使われます。
[3] はんだフィレット
電子部品を実装する際、熱で溶かしたはんだで電子部品の電極をプリント基板の銅パターンに接合するはんだ付け実装を行います。はんだ付け実装後、電子部品の電極とプリント基板の銅パターン間を接合する三角状のはんだ部分を「はんだフィレット」と呼びます。

以上