2020年とその先に向けて

目指すのは「一体感」。2020年の先も続く「RAMSA」の挑戦

2019年9月25日

特集

目指すのは「一体感」。2020年の先も続く「RAMSA」の挑戦

劇場、ホール、スポーツ施設などに展開しているパナソニックのプロ用音響システム「RAMSA」は、2019年で誕生40周年を迎えます。現場の特性に左右されることのない「ステージとオーディエンスの距離を縮め一体感をもたらす音の提供」を目指し、オリンピックでも長野1998冬季オリンピックを初め、先進の技術で大会を支えてきました。ここでは、2020年に向けた最新の音響空間技術について紹介します。

理想的な音響を実現するための知見を凝縮

「RAMSA」が目指す「ステージとオーディエンスの一体感」を実現するためには、数万人規模のスタジアムやアリーナでも、すべての位置にいるオーディエンスに対してメインステージからの音の大小や音質の差がないよう設計していかなくてはなりません。そこで必要になるのが、スピーカーから出た後の音をコントロールする技術です。
パナソニックは40年間にわたり、機器の開発・提供にとどまらず、施工や音響調整など現場での音作りの工程にも携わり、膨大なノウハウを蓄積してきました。それらの集大成となるのが、音響シミュレーション技術をワンパッケージ化した「PASD (Panasonic Acoustic Simulation Designer)」です。

図:PASD (Panasonic Acoustic Simulation Designer)の概要

PASD (Panasonic Acoustic Simulation Designer)の概要

「PASD」で機器設置後の音響調整時間を大幅に短縮

従来、音響機器を現場に納入するまでの事前シミュレーションには限界があり、機器設置後の音響調整に多大な労力が必要でした。一方「PASD」は、事前のシミュレーションを高精度に実施でき、設置後の現場での調整時間を大幅に短縮することができます。

大規模な会場では、メインとなるスピーカーとして複数のキャビネットを縦一列に連結して配置するラインアレイスピーカーが必要になります。PASDはこのラインアレイスピーカーの構成(連結するキャビネットの個数や角度)を検討する「PaLAC(Panasonic Line Array Calculator)」、スピーカークラスタ(ラインアレイスピーカーであれば連結された状態)の配置検討に用いる「AcSim(Acoustic Simulator) II」、現場での調整のために音響測定や調整を行う「AutoFIR(Automatic FIR filter adjuster)」という3つの機能がワンパッケージになっています。

図:「PASD」のパッケージ構成

「PASD」のパッケージ構成

「PaLAC」では、設置する会場の断面図(2次元)などのデータをもとに客席エリアの形状を把握し、客席エリアからどれくらいの距離に設置できるか、キャビネットを何台連結すべきか、各キャビネット間の設置角度をどうするか等をシミュレート。前方と後方で均一な音量を出せるように、またそのための施工の仕方などを併せてコンピューター上で事前に検討できます。

次に「AcSimII」。スピーカーのクラスタ(スピーカー群)配置を決めていきます。会場のCAD図面(3次元)をインポートし、客席エリアの配置と形状を俯瞰的に確認。スピーカークラスタの向きを決めて位置を入力すると、客席エリアの音圧や音の明瞭度などの均一さを事前にシミュレーションできます。

現場にスピーカーを設置した後は、「AutoFIR」の出番。スピーカーからテスト信号を出力し、マイクで測定した結果をPC上で解析しシミュレーションと現実の差を補正するためのパラメーターを算出します。従来のように測定器の波形を見ながらDSPのパラメーターを1つずつ個々に調整する必要はありません。このパラメーターをアンプに内蔵されたDSPに転送することで、音響調整が短時間で完了します。よりアーティストが出したい音の調整のための時間を確保することができ、オーディエンスの満足度を向上させることができます。

「PASD」の利用には、特別なシステムは不要で、モバイルPCがあればOK。対応する「RAMSA」製品をお取り扱い頂いている販売店様向けにセミナー開催し受講された販売店様に「PASD」を無償で提供しています。シミュレーションの精度だけでなく取り扱いの手軽さも高評価を得ています。

図:音響調整の課題を解消する「PASD」測定イメージ

音響調整の課題を解消する「PASD」測定イメージ

極限の環境下でも信頼に応える「RAMSA」ブランド

「RAMSA」が誕生し、初めて納入されたのは1979年8月に神奈川県・江の島で開催された野外ロック・フェス。過酷な炎天下、かつ大規模な会場で高い評価を受けたことで、ブランドの信頼を獲得することができました。以降、日本の公共ホールや大劇場などへの納入実績を積み上げていきました。

写真:初採用された1979年開催のロック・フェスティバル「Japan Jam」の様子

初採用された1979年開催のロック・フェスティバル「Japan Jam」の様子

「RAMSA」は1979年からの10年で舞台やホール等で必要とされる音響技術をアナログでほぼ確立。その後、デジタル化や大規模システムへの対応、グローバル展開や汎用ネットワークへの対応など、時代に合わせて進化し続け、長野1998冬季オリンピックに納入された全天候型スピーカーを皮切りに、アテネ2004大会では「RAMSA」初のラインアレイスピーカーを開発・納入。以降、オリンピック・パラリンピックで使用される音響システムとして着実に実績を積み上げ続けています。

図:「RAMSA」 誕生から40年の歩み

「RAMSA」 誕生から40年の歩み

2020年以降も進化の道のりは続く

業界におけるライブ・エンターテインメントの国内公演数は2008年から2017年の10年間で約2倍に推移しています(2018年3月29日:一般社団法人コンサートプロモーターズ協会調べ)。プロ用音響システムが必要とされる現場・会場は、まだまだ増えていくと予測されます。パナソニックは東京2020オリンピック・パラリンピックに向け、そしてそれ以降も、「RAMSA」の技術を進化させ、表現者にはより進んだ演出の可能性を、そしてオーディエンスには新しい感動をお届けしていきます。

写真:9連結構成で設置されたラインアレイスピーカー。「PASD」活用により、どの座席でも迫力のライブサウンドを体感できる音響設計を実現。

9連結構成で設置されたラインアレイスピーカー。「PASD」活用により、どの座席でも迫力のライブサウンドを体感できる音響設計を実現。

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  • 図:2019年で誕生40周年を迎えるプロ用音響システム「RAMSA」

    2019年で誕生40周年を迎えるプロ用音響システム「RAMSA」

発表年月
発表年月