当社の連結子会社である松下電池工業株式会社(社長:石田 徹、以下、松下電池工業)は、安全技術を搭載した業界初の高容量(2.9Ah※1)リチウムイオン電池の本格量産体制を確立いたしました。この安全技術開発の成功により、リチウムイオン電池の更なる高容量化を図ることが可能となりました。松下電池工業では、2006年4月に、この技術を搭載した業界最高容量電池の商品化を開始しておりましたが、このたび本格的な量産体制を確立いたしました。
リチウムイオン電池は、ノートパソコン、携帯電話やデジタルスチルカメラなどユビキタスネットワーク社会を支えるモバイル機器やデジタル機器の電源としてその需要が大きく伸びている成長商品ですが、機器の高性能化、高機能化に伴い、さらなる「高容量化」が求められています。
リチウムイオン電池は、正極と負極のそれぞれの化学反応を電気エネルギーに変換するデバイスで、正極と負極との間にセパレータと呼ばれるポリオレフィン※2製の絶縁層を設ける構造になっています。しかし、金属等の導電性異物の混入などにより電池内の正・負極間で内部短絡(ショート)が発生すると、電池が発熱したり、最悪の場合には発火に至る可能性がありました。
松下電池工業では、これまで電池内部への導電性異物の混入防止対策として、(1)電池材料内の異物対策(2)工場内のクリーン化などを実施してまいりました。また、万一、導電性異物が混入した場合の対策として、(3)強度の高いセパレータの採用、(4)熱的安定性の高い材料の採用などを実施してまいりました。
しかしながら、電池の高容量化に伴って化学反応エネルギーが増加するため、従来以上に内部短絡時の発熱・発火エネルギーも増加いたします。更なる電池の高容量化の実現には、これを防ぐための新たな安全技術の確立が不可欠となっていました。
松下電池工業では、「安全がすべてに優先する」という開発方針のもと研究開発を行ってまいりましたが、このたび、極板表面にHRL※3を形成することによりリチウムイオン電池の内部短絡時の安全性を飛躍的に向上させることに成功いたしました(参考図1参照)。ポリオレフィンよりも絶縁性と耐熱性に優れるHRLを形成することで、万一、電池内に導電性異物が混入して正・負極間で内部短絡が発生しても、わずかな発熱を起こすだけで短絡状態が終了いたします。この技術を採用することにより、より高容量化したリチウムイオン電池の商品化・量産化が可能になりました。
松下電池工業では、今後も、さらなる「高容量」と「安全」の両立を追求した高容量リチウムイオン電池の開発を行い、ユビキタスネットワーク社会の発展に貢献してまいります。
※1 | 2.9Ah :ノートパソコン用の標準サイズである18650サイズ円筒形電池。 |
※2 | ポリオレフィン :ポリエチレンやポリプロピレンといった合成樹脂の総称。 |
※3 | HRL :Heat Resistance Layerの略。絶縁性金属酸化物からなる耐熱層。 |
【関連特許】
119件(出願中含む)
以上
【お問い合わせ先】
マスコミ関係 松下電池工業(株) 経営企画グループ 広報チーム 佐藤 電話 06-6994-4706 ホームページ http://panasonic.co.jp/mbi
【参考図】
図1 HRL技術の一例 |