パナソニック(株)とパナソニック システムネットワークス(株)は、両社が共同で開発し米国電気電子学会(IEEE SA)に対して、世界的な標準化へ向けた提案をしてきた、日本発のPLC(電力線通信)である「HD-PLC」(注1)方式のLSIを設計するための技術と特許のライセンス供与をこのほど開始しました。
今後は、複数の会社より「HD-PLC」LSIや対応機器が供給されることでPLC技術の普及拡大を目指します。
両社が、これまでIEEEに対して提案したPLC技術(パナソニックの独自技術のWavelet OFDM方式(注2))が、IEEE P1901(注3)の1つの技術方式として、このほどIEEE 標準化委員会のスポンサー審査で承認されました。「HD-PLC」技術は、2010年1月にドラフト仕様として一般公開されたもので、今回の審査では、両社がCEPCA(注4)とともに提案した他方式のPLCとの共存技術も同様に承認されています。今後、IEEE標準化委員会での手続きを経て、2010年の年末までには、両社が提案する日本発のPLC技術がIEEEの世界的な標準になる予定です。
これを受け、IEEEの世界的標準となる予定の「HD-PLC」方式のPLC技術の普及拡大を図るために、IEEE対応のLSIを設計するための「HD-PLC」技術と特許の他社へのライセンス供与を開始したものです。具体的には、IEEE対応「HD-PLC」のLSIを設計するための回路、LSIの機能を実現するソフトウエアに関する技術・特許のほか、国内で85%以上(注5)のシェアを持つ「HD-PLC」製品群で採用しているPLCモジュール等の技術も国内外のメーカーを対象にライセンス化して供与します。これにより、両社は、今後2015年までにグローバルで累計5,000万個の「HD-PLC」製品群が販売されると予測しています。
両社は、「HD-PLC」方式のPLC技術の普及拡大によってユビキタスネットワーク社会を実現し、電力の見える化や電力需給の調整などを実現するスマートグリッドでの活用など地球環境に配慮したエコ活動に大きく貢献できるものと期待しています。
また、両社は、今後も従来の「HD-PLC」採用商品との接続性の確保と、他方式との共存を図るために、PLC技術の開発を継続して行うことで、ユーザーの利便性を追及していきます。
注1. | 「HD-PLC」:「HD-PLC」は、パナソニック(株)が提唱する高速電力線通信方式の名称であり、パナソニック(株)の日本及びその他の国での登録商標もしくは商標です。 |
注2. | WaveletOFDM方式:周波数利用効率が非常に高い直交周波数分割多重=OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)を採用し、各サブキャリアの直交化にWavelet変換を適用して、高効率な高速データ通信を実現するパナソニックの独自技術です。Wavelet OFDMは、周波数領域および時間領域に直交性を備えた結果、冗長信号なしに各サブキャリアのサイドローブレベルを低減しています。 |
注3. | IEEE P1901委員会:これまで、イーサネットLANや無線LANに代表される多くの世界的な標準規格化を成功させ、世界の通信業界の発展への大きな貢献で、世界的に認識されている規格策定機関である米国電気電子学会(IEEE:Institute of Electrical and Electronics Engineers)傘下の標準化委員会で、1901作業部会として、2005年6月にプロジェクトが発足。同部会では、宅内、屋外、共存に加え、輸送機用の通信方式を策定中です。 |
注4. | CEPCA:Consumer Electronics Powerline Communication Alliance の略称。高速電力線通信を利用したホームネットワークの相互接続仕様を確立するための標準化団体。2005年6月に設立。(ホームページ:http://www.cepca.org/) |
注5. | 国内で85%以上:2009年度実績(当社調べ) |
【お問い合わせ先】
パナソニック システムネットワークス(株)
標準化推進室荒巻、宮崎 電話:092-477-1671
広報室荒田 電話:092-477-1800
関連ホームページURL:http://panasonic.co.jp/sn/psn/