パナソニック株式会社とパナソニック システムネットワークス株式会社が共同で提案を行っていたPLC技術が、この度、IEEE P1901委員会(注1)において、ドラフト2.0の一つの技術方式として承認されました。
この技術は、2008年12月にIEEE P1901委員会でPLC標準規格のベースライン技術方式の一つとして承認されていたものです。今回ドラフト2.0として承認されたことにより、今後、IEEE P1901委員会での最終審議を経て、ドラフトの内容が一般公開される予定です。
なお、今回の承認では、両社がCEPCA(注2)とともに提案した他方式のPLCとの共存技術もドラフト2.0技術として承認されています。日本発の高速電力線通信技術の、IEEEによる世界的な標準化がいよいよ近づいてきました。
今回ドラフト2.0の一つの技術方式として承認された提案技術は、高速電力線通信「HD-PLC」(注3)を採用する商品で使用している、パナソニックの独自技術のWavelet OFDM方式(注4)です。
同技術は、高効率の伝送方式により環境に配慮した低消費電力の実現を特長としています。
また、同方式を搭載した「HD-PLC」採用機器は、電源コンセントに接続することで、パソコンやAV機器から白物家電まで相互に接続されたホームネットワークの展開が可能となります。
さらに、今回ドラフト2.0の一つの技術方式として承認された技術には、家庭内だけでなく、ビル内や工場、さらには、スマートグリッドなど、大規模なネットワークにも対応できる技術も含まれています。 IEEE P1901委員会では、宅内だけでなく、屋外、輸送機などさまざまな分野での応用を想定したPLC技術の標準規格を策定していることから、今後、同技術の広い分野への応用が期待されます。
パナソニック(株)とパナソニック システムネットワークス(株)は、今回提案した日本発のPLC技術が、IEEE P1901のドラフト2.0の一つの技術方式に承認されたことで、今後は同技術が世界的な標準規格となり、スマートグリッドなどの地球環境に配慮したエコ活動につながるIT業界の発展に大きく貢献できるものと期待しています。
両社は、今後も既存の「HD-PLC」採用商品との接続性の確保と、他方式との共存を図り、PLC技術の開発を行うことで、ユーザーの利便性を追及していきます。
また、HD-PLCアライアンス(注5)などの団体を通じてIEEE P1901標準対応商品間の相互接続性の確保に努め、引き続きユーザーが安心して使用できるPLCエコ商品を提供していきます。
注1. | IEEE P1901委員会: これまで、イーサネットLANや無線LANに代表される多くの世界的な標準規格化を成功させ、世界の通信業界の発展への大きな貢献で、世界的に認識されている規格策定機関である米国電気電子学会(IEEE: Institute of Electrical and Electronics Engineers)傘下の標準化委員会で、1901作業部会として、2005年6月にプロジェクトが発足。同部会では、宅内、屋外、共存に加え、輸送機用の通信方式を策定中です。 |
注2. | CEPCA: Consumer Electronics Powerline Communication Alliance の略称。高速電力線通信を利用したホームネットワークの相互接続仕様を確立するための標準化団体。2005年6月に設立。(ホームページ: http://www.cepca.org/ ) |
注3. | 「HD-PLC」: 「HD-PLC」は、パナソニック(株)が提唱する高速電力線通信方式の名称であり、パナソニック(株)の日本及びその他の国での登録商標もしくは商標です。 |
注4. | Wavelet OFDM方式: 周波数利用効率が非常に高い直交周波数分割多重=OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)を採用し、各サブキャリアの直交化にWavelet変換を適用して、高効率な高速データ通信を実現するパナソニックの独自技術です。Wavelet OFDMは、周波数領域および時間領域に直交性を備えた結果、冗長信号なしに各サブキャリアのサイドローブレベルを低減しています。 |
注5. | HD-PLCアライアンス: 高速電力線通信「HD-PLC」の普及拡大・通信互換性確保を目的として、2007年9月25日に設立されたものです。 (ホームページ: http://www.hd-plc.org/ ) |