プレスリリース

2009年7月28日

世界最薄0.3mm* 超薄肉非球面ガラスレンズ搭載
小型ズームレンズユニットを開発

2009年8月発売のLUMIX DMC-ZX1、DMC-FX60に搭載
*最薄部厚み、2009年7月28日現在当社調べ


【要旨】

パナソニック株式会社は、レンズの最薄部の厚み[1]が0.3mmである、世界最薄の超薄肉非球面ガラスレンズ[2]の量産化技術を確立し、このレンズを用いて光学8倍ズームと5倍ズームのデジタルカメラ用小型ズームレンズユニットを開発しました。これらのユニットには、あわせて開発した手振れ補正機能「POWER O.I.S.」[3]を搭載して、当社が本年8月に発売するデジタルカメラLUMIX DMC-ZX1およびDMC-FX60に導入いたします。

【効果】

従来比半分以下の厚み(凹レンズの場合)の超薄肉非球面ガラスレンズを用いた本レンズユニットにより、コンパクトデジタルカメラの更なる薄型化が可能になります。今回、DMC-ZX1には、薄型20.4mmで広角25mm相当の8倍ズームレンズユニットを開発し、高倍率ズームとスリムサイズの両立を実現しました。DMC-FX60には、広角25mm相当の5倍ズームレンズユニットを開発し、同仕様の当社従来製品と比べて、2.1mmの薄型化を実現しました。

【特長】

本ズームレンズユニットは、以下の特長を有しています。
1.周辺部の歪み、フレアおよびゴースト[4]を抑え、鮮明な撮影を実現
2.手振れ補正機能を搭載しながら、独自設計により、コンパクトなサイズを実現

光学ズーム F値[5] 焦点距離[6]
(mm)
ユニット長
(mm)
搭載機種
8倍 3.3〜5.9 25〜200 20.4 DMC-ZX1
5倍 2.8〜5.9 25〜125 16.3 DMC-FX60

【内容】

本超薄肉非球面ガラスレンズおよび、これを用いた小型ズームレンズユニットは、以下の技術により実現しています。

(1) 非球面レンズの超薄肉化に不可欠な、高偏肉[7]なレンズのモールド成形を可能とする金型技術[8]
(2) 超薄肉非球面ガラスレンズの特性を活かし、小型、高性能を両立させる光学設計技術
(3) 光学式手振れ補正機構[9]を最適な薄型構造とするレンズユニット小型化技術

【従来例】

一般的に、8倍を超える高倍率のズームレンズユニットは構成するレンズ枚数が増えるため、ユニットが長くなり、スリムサイズのデジタルカメラに搭載することは困難でした。また、レンズの薄肉化は高偏肉となるため成形しにくく、さらに成形後の熱冷却プロセスの制御が複雑で、レンズの光学特性に大きな影響を与えていました。

【実用化】

本レンズユニットは本年8月発売のLUMIX DMC-ZX1、DMC-FX60に搭載します。

【特許】

国内21件(出願中を含む)


【特長の詳細説明】

1.周辺部の歪みやフレアおよびゴーストを抑え、鮮明な撮影が可能

  • 周辺部の歪み
     レンズの広角化に伴い、広角端では一般に画像周辺部で歪みが大きくなる傾向がありますが、本ズームレンズユニットは前方レンズ部に非球面レンズを効果的に配置することにより周辺部でも歪みの少ない画像を撮影できます。
  • フレアおよびゴーストの抑制
     一般的にズームレンズは特定の焦点距離においてゴーストやフレアといった様々な不要光が画像に写りこんでしまいます。LUMIX用のズームレンズユニットは様々な撮影シーンを想定した検査と対策を行うことで、フレアやゴーストの発生を最小レベルに留めています。
  • 鮮明な撮影
     撮像素子の高画素化に伴い、レンズに求められる結像性能もより高くなっています。本ズームレンズユニットは非球面レンズの最適配置により1200万画素以上のデジタルカメラに対応する高い光学性能を実現し、VENUSエンジンとの組み合わせで鮮明な画像を撮影することができます。

2.手振れ補正機能を搭載しながら、独自設計によりコンパクトなサイズを実現

 超薄肉非球面ガラスレンズの採用や小型・薄型の光学式手振れ補正機構などの徹底した薄型化設計により、コンパクトなサイズを実現しました。DMC-ZX1には、薄型20.4mmで広角25mm相当の8倍ズームレンズユニットを開発。DMC-FX60には、広角25mm相当の5倍ズームレンズユニットを開発し、同仕様の当社従来製品と比べて、2.1mmの薄型化を実現しました。

【内容の詳細説明】

(1)非球面レンズの超薄肉化に不可欠な、高偏肉なレンズのモールド成形を可能とする金型技術

 従来のガラスレンズ成形工法では非球面ガラスレンズの厚みを薄くすると最薄部と最厚部の厚みの比が大きい高偏肉なレンズとなり、形状精度バラツキが大きくなる、あるいは割れが発生するなどの課題があり、安定して量産するには、φ15mmを越える径のレンズでは1.0mm程度の厚みを必要としていました。今回、新開発の金型技術により、φ15mm、最薄部厚み0.3mmという超薄肉非球面ガラスレンズを、デジタルカメラ用レンズに要求される厳しい形状精度で、高品質に安定してモールド成形する量産化技術の開発に成功しました。

(2)超薄肉非球面ガラスレンズの特性を活かし、小型、高性能を両立させる光学設計技術

 本レンズユニットは超薄肉非球面ガラスレンズの特性を活かし、撮影時の光学全長ならびに構成するレンズ群の厚みを薄くすることで、沈胴時の小型化を実現しました。さらに非球面レンズの高い収差補正効果を利用して、ズーミングによる収差変動を最小限に抑え、広角の撮影でも周辺部の歪みが少なく、被写体を忠実に再現する光学設計により、焦点距離25mmという超広角領域とズーム比8倍/5倍の高倍率、且つ高い光学性能を実現しています。

(3)光学式手振れ補正機構を最適な薄型構造とするレンズユニット薄型化技術

 光学式手振れ補正は、手振れをジャイロで検出し、この検出信号に応じて、補正レンズ群を駆動制御することで、手振れの影響を抑えます。本手振れ補正機構は、補正レンズ群、位置センサ、アクチュエータ機構部の最適配置により薄型化を実現し、レンズユニットの小型化を図っております。

【用語説明】

[1]最薄部の厚み
レンズの最も薄い箇所の厚み。凹レンズの場合は、中心肉厚、凸レンズの場合は外周側面の幅(コバ厚)。
[2]非球面ガラスレンズ
レンズの表面形状が球面でないカーブを持つガラスレンズ。
[3]POWER O.I.S.
ジャイロの高性能化と新たな制御方式の開発により、従来の手振れ補正性能を2倍に高めた新しい光学式手振れ補正システム。
[4] フレアおよびゴースト
レンズユニットに入る強い光がレンズや鏡筒内部の表面で反射し、本来の被写体とともに画像にこの光が映り込む現象。多角形の光の像ができるものがゴースト、画面全体に膜がかかるように写るのがフレア。
[5]F値
レンズユニットの主要な数値。レンズの明るさを表す指標で、小さいほど明るい撮影が出来ることを表す。
[6]焦点距離
レンズユニットの主要な数値。小さいほど広角、大きいほど望遠の撮影ができる。
[7] 高偏肉
レンズの最薄部と最厚部の厚みの比が大きいこと。
[8] 金型技術
金型の材料、構造、保護膜などの金型関連技術。
[9] 光学式手振れ補正機構
手振れに応じてレンズ群の一部をシフトすることでブレの影響を補正する。
電子的な補正やISO感度を上げての補正に比べると、画質やシャッタースピードに影響を与えずに、大きな補正力を得ることができる。

以上