プレスリリース

2008年7月11日

松下環境空調エンジニアリング株式会社
改正大気汚染防止法に貢献

高沸点水溶性溶剤回収装置を開発

CO2排出量、従来システムの60%削減


【要旨】

松下環境空調エンジニアリング(株)(社長:籠谷 実)は、樹脂加工や電池製造工程で用いられるNMP(N-メチル-2-ピロリドン)などの高沸点水溶性溶剤[1]を排ガスから回収する際、低濃度溶剤を高効率・低コストで回収・リサイクルする装置を開発しました。さらに本装置の稼動に伴い排出されるCO2の量を従来システムに比べ大幅に削減できます。

【背景】

2006年に大気汚染防止法が改正され、2010年3月までに揮発性有機化合物(以下:VOC[2])の排出量を2000年度比で30%削減することが目標となっており、低濃度溶剤でも高効率に回収できる装置が求められています。

【効果】

低濃度溶剤の回収・リサイクルが高効率・低コストで可能になり、大気汚染防止法に貢献できます。また稼動の際、製造プロセスで排出される排熱を利用していることから、新たな熱源が不要となり、CO2の排出量を従来システムに比べ60%削減できます。本システムではNMP(N-メチル-2-ピロリドン)の他、DMF(N,N-ジメチルホルムアミド)、DMAC(N,N-ジメチルアセトアミド)、DMSO(ジメチルスルホキサイド)などの高沸点水溶性溶剤4物質に対して高効率に回収処理が可能であると検証済みです。

【特長】

今回開発した高沸点水溶性溶剤回収装置の特長は以下の通りです。

  1. 200ppm[3]程度の低濃度溶剤を80〜95%の高効率、及び低コストで回収・リサイクル可能に。
  2. 加熱源を使用しない回収処理装置であるため、CO2排出量を従来システムの60%削減可能。
  3. 吸着剤を用いず、また吸着ローター等の高額交換品がない高効率な溶剤回収システムを実現。

【内容】

本開発は、以下の新技術により実現しました。

  • (1)加湿による高効率溶剤回収技術
  • (2)製造プロセス(乾燥機)等の排熱利用による回収技術

【従来例】

従来の排ガス処理は、活性炭やゼオライト[4]などの吸着剤を用いた回収装置で、吸着した溶剤を脱着するために熱源が必要であり、別途熱エネルギーを大量に必要としていました。また従来システムでは高コストのため低濃度時の回収効率が悪いという課題がありました。

【実用化】

2008年8月に実稼動工場に実プラント納入開始。

【特許】

国内2件(出願中を含む)

【展示会出展予定】

9/10〜12 ECO-MAnufacture 2008(東京ビッグサイト)


【特長の詳細説明】

  1. 200ppm[3]程度の低濃度溶剤を80〜95%の高効率、及び低コストで回収・リサイクル可能に。
     本システムでは、非充填[5]・非吸着方式による加湿して溶剤を回収し、液の状態で濃縮する当社独自技術により、従来システムでは高コストのため回収が難しかった200ppm程度の低濃度溶剤でも80〜95%の高効率・低コストで回収できるため、VOC排出量を削減でき、大気汚染防止に貢献します。
  2. 加熱源を使用しない回収処理装置であるため、CO2排出量を従来システムの60%削減可能。
     従来は原ガスに含まれる溶剤を、吸着剤を用いて除去し排気していました。吸着ローターに吸着した溶剤を脱着する際、処理後のガスの一部を電気ヒーターで加熱し、再度ローターへ送り込んで溶剤を脱着していたため、多くの熱エネルギーが必要でした。本システムでは、吸着ローターを使用しない処理装置の開発により、溶剤を脱着するための熱源が不要になり、CO2排出量を従来の60%削減できます。
  3. 吸着剤を用いず、また吸着ローター等の高額な交換品がない、高効率な溶剤回収システムを実現。
     従来システムでは吸着剤により溶剤を吸着、熱をかけて脱着をしており、吸着剤の劣化に伴う交換部品が必要でした。本システムでは、吸着ローター等の劣化要因が少ないため、高効率に溶剤を回収できるとともに、大がかりなメンテナンスが不要です。また吸着ローターやそれに伴う設置費用が不要で、ランニングコスト・イニシャルコストともに削減できます。

【高沸点水溶性溶剤回収装置のしくみ】

【内容の詳細説明】

(1)加湿による高効率回収技術
 液相濃縮器で温度を低下させた原ガスに、水噴霧して加湿し、凝縮水へ溶解して溶剤を回収することで、低濃度溶剤でも高効率に回収することができるようになりました。

(2)製造プロセス(乾燥機)等の排熱利用による溶剤回収処理技術
 加湿された原ガスは、ガス冷却機で凝縮された水分に溶解します。水溶性溶剤であるため、水分が凝縮するときに、水分に溶剤が溶解した状態で一緒に気体から液体になり、凝縮した水分とともに溶剤が回収され、凝縮後の排気ガスが排出されます。回収された溶液は、製品製造時に生じた排熱を使って液相濃縮器で濃縮され、高濃度で回収されます。これにより、従来使用していた吸着ローターを使用せず、脱着のための加熱源が不要となりCO2排出量60%削減を実現しました。また、溶剤回収までの排ガスの流れを最適に設計でき、設備の縮小化と低コスト化を実現しました。

【用語説明】

[1]高沸点水溶性溶剤
沸点が100℃以上の水溶性溶剤。ポリウレタン製造、医薬・農薬製造、自動車、電池などの製造分野で溶媒、剥離剤等として、用途が拡大している。
[2]VOC
揮発性有機化合物。大気中に放出されると、光化学反応によってオキシダントやSPM(浮遊粒子状物質)の発生に関与していると考えられている。
[3] ppm(パーツ・パー・ミリオン)
100万分のいくらであるかという割合を示す単位。100万分の1。
[4]ゼオライト
結晶中に微細孔を持つアルミナ珪酸塩の総称。
[5] 充填方式
充填材を充填した塔で排ガスと循環水を気液接触させ、排ガス成分を液側に吸収させる装置。

【高沸点水溶性溶剤回収装置テスト機】