プレスリリース

2008年4月14日

世界最高(*)の発電効率と高い環境性能を実用商品化レベルで実現

発電効率、耐久性を実用商品化レベルに高めた
家庭用燃料電池コージェネレーションシステムを開発

2009年度一般発売に向けて量産体制確立


(データ容量:78KB)

【要旨】

松下電器産業株式会社 松下ホームアプライアンス社は、最高で39%(LHV)、500W〜1kWの実用域で38%(LHV)以上という世界最高(*)の発電効率と、耐用年数10年以上を想定した4万時間の運転と起動停止4千回の耐久性を実現した家庭用燃料電池(PEFC)コージェネレーションシステムを開発しました。

(*):2008年4月14日現在

【経緯】

松下グループは「地球環境との共存」に寄与することを事業ビジョンのひとつに掲げ、次世代のエネルギー供給システムとして、家庭用燃料電池コージェネレーションシステムの研究開発と早期実用化に取り組んできました。2005年度から2007年度まで大規模実証事業を推進してきましたが、今回、その結果をベースに、2008年度に行われる新たな大規模実証事業に向け、省エネ性と信頼性をさらに向上させた新しいシステムを開発しました。

【効果】

今回開発した新システムを一般的な家庭に導入して運転した場合、一次エネルギーを導入前に比べ22%(一年間運転した場合、3262kWh)削減できます。当社従来比で約1.4倍向上しました。CO2排出量は全電源・原単位による試算で12%(年間330kg-CO2) 削減できます。また、大規模実証事業の新エネルギー財団試算式(火力発電・原単位)の場合、37%(年間1175kg-CO2)削減となります。

【特長】

(1) 2005年度から実施した大規模実証事業でのシステムの使用状況を分析すると、一般的な家庭で運転した場合、発電出力は500W〜1kWの間で使われることが多いことがわかりました。今回開発したシステムはこの実用域の効率を、従来に比べ飛躍的に高めました。
  1. 750W時の発電効率で業界最高の39%を実現
  2. 500〜1kWの範囲全域で発電効率38%以上を実現
  3. 300Wの発電効率も34%を実現
(2) 4万時間の運転と起動停止4千回の耐久性を実現し、耐用年数10年以上を想定した住宅設備機器としての耐久性能を確保しました。

【内容】

本システムは、以下の技術により実現しました。

  1. 高耐久MEA・セルスタック技術
  2. 高効率で、広い範囲で安定動作が可能な燃料処理技術
  3. 全域ソフトスイッチング昇圧低損失インバータ技術

【従来例】

従来のシステムは、燃料処理機の効率が低出力側ほど低く、インバータ効率も低出力側ほど低かったため、システムの発電効率は定格時がもっとも高く、低出力になるほど効率が低くならざるを得ませんでした。

【実用化】

松下ホームアプライアンス社では、滋賀県草津市の工場内に生産設備を導入し、本年6月より生産を開始します。新たなエネルギーを創出する新規環境事業として、2009年度からの本格的な事業化に取り組んでまいります。

【開発システムの概要】

燃料種 都市ガス(13A)
燃料電池ユニット 電気
出力
形式 単相3線 AC100/200V 50Hz/60Hz
電力 1000W
出力範囲 300〜1000W
発電効率 100%出力時:38%LHV、75%出力時:39%LHV
熱回収効率 100%出力時:55%LHV、75%出力時:50%LHV
本体寸法 780(W)×400(D)×860(H)
重量 125kg
騒音値 43dB以下(起動時、停止時) 41dB以下(発電時)
貯湯ユニット 貯湯タンク容量 200L
標準能力(給湯) 41.9〜4.7kW(24号〜3号)、暖房・追炊可能
本体寸法 750(W)×486(D)×1883(H)
重量 125kg

【特許】

国内出願165件、海外出願38件

以上


【内容の詳細説明】

  1. 高耐久MEA・セルスタック技術
    • 劣化メカニズムを徹底的に解明した結果、下記の3つの原因により劣化することを突き止めました。
      (1)電解質膜の破壊
      (2)触媒の能力低下
      (3)生成した水のつまり
    • この解析に基づき、電解質膜、触媒などの材料、セパレータのガス流路、締結構造などの設計、および運転条件を見直し、40,000時間の耐久性を確立しました。
    • 40,000時間の耐久性は劣化メカニズム解析から導き出した加速試験法により予測したものです。
  2. 高効率、広範囲で安定動作が可能な燃料処理技術
    • システム信頼性のためには燃料処理機の安定制御が課題となります。
      触媒反応で水素を生成させるので、原料の都市ガス、反応に供する水蒸気や空気の流量、改質部温度、変成部温度、選択酸化部温度など非常に多くの変動因子への対応が必要となります。
    • 触媒反応も取り入れたシミュレーション技術を駆使した設計で、これらのたくさんの因子をそれぞれ、広い幅で変動させても、安定した水素生成を可能にしました。また改質部、変成部、選択酸化部を一体構成化することで熱損失を低減させ、高効率化を実現することが出来ました。
  3. 全域ソフトスイッチング昇圧低損失インバータ技術
    • インバータは以下の2つの要素から成り立っています。
      (1)昇圧コンバータ・・直流/低電圧を高電圧化
      (2)系統連携インバータ・・直流出力を交流200Vに変換し、系統に連携する
    • IHなどの白物家電インバータで培った電力制御技術を、昇圧コンバータ部に応用し、全域でソフトスイッチングを可能にした。これにより、パワートランジスターの熱ロスを大幅に低減でき、実用域、特に300〜750W出力域で高効率化することが出来ました。

【用語の説明】

(1)LHV
低位発熱量基準(Lower Heating Value)の略。燃料ガスを完全に燃焼したときの発熱量から水蒸気の凝縮潜熱を差し引いた値。
(対比:HHV=高位発熱量基準、HHV0.9×LHV)
(2)PEFC
Polymer Electrolyte Fuel Cellの略。
(3)MEA
発電反応の中心部分の部品名で、高分子電解質膜の両面に触媒電極を構成したもの。 膜電極接合体(Membrane Electrode Assemblies)の略。
(4)スタック
水素と酸素の電気化学反応で発電と同時に発熱を行う部分の部品名で、MEAと水素および酸素を供給するセパレータとの積層で構成される。