プレスリリース

2008年3月26日

業界トップの小型・低消費電力を高感度で実現

業界初、ワンセグ受信用のチューナと復調機能を統合したLSIを開発

2008年 3月末よりサンプル出荷開始
※2008年 3月 26日現在、当社調べ。ワンセグ用ダイバーシティ受信LSIとして


ワンセグ受信用のチューナーと復調機能を統合したLSI(データ容量:106KB)

【要旨】

松下電器産業(株)は、新開発のデジタル技術によるチューナとOFDM[1]復調機能を統合した、ワンセグ受信用の1チップLSI(品番:MN88448)を開発し、2008年 3月末よりサンプル出荷を開始します。

【効果】

本製品を使用することにより、様々な利用シーンにおいて安定かつ長時間視聴できる、ワンセグ対応携帯端末などのモバイル機器を実現できます。

【特長】

本製品は以下の特長を有しております。(*:当社従来比)

  1. 業界トップの低消費電力を実現(消費電力 3分の2*
    モバイル機器のワンセグ視聴の長時間化や、機器の仕様設計における自由度の向上が可能
  2. 新開発の高感度CMOSチューナで、高性能ダイバーシティ受信[2]を実現
    移動受信時の速度限界を25%*向上させることが可能
  3. ワンセグ受信部の実装面積を3分の1*で実現
    ワンセグ用のチューナモジュールや携帯端末のさらなる小型化と高品質化が可能

【内容】

本製品は以下の技術によって実現しました。

  1. 低電圧1. 25 V動作の周波数変換用、ダイレクト サンプリング ミキサ(DSM)[3]技術
    (本技術は、東京工業大学 荒木研究室の協力を得ています)
  2. SiGe[4]並みの低雑音指数[5]を実現するCMOS広帯域LNA(Low Noise Amplifier)技術、および、高速移動時の受信限界性能を高めた当社独自のOFDM復調技術
  3. デジタル処理を活用できるアーキテクチャを採用することにより小型・1チップ化を実現するとともに、ミキサ部の低歪み化により外付フィルタ部品を削減できる、チューナ信号処理技術

【従来例】

国内の携帯端末において、ワンセグ視聴機能を搭載した機種が増加しています。従来、ダイバーシティ受信により高い受信性能を実現するためには、2個のRF-ICと1個のOFDM復調LSIが必要でした。一方、小型化のためには、非ダイバーシティ受信を選択せざるをえませんでした。

【実用化】

サンプル出荷開始 : 2008年 3月末  サンプル価格 :(数量応談)

【照会先】

半導体社  企画グループ  広報チーム     中小路  陽紀  TEL:075-951-8151
                          E-mail:  semiconpress@ml.jp.panasonic.com

【特長の説明】(*:当社従来比)

  1. 業界トップの低消費電力を実現(消費電力 3分の2*
    モバイル機器のワンセグ視聴の長時間化や、機器の仕様設計における自由度の向上が可能

    国内の携帯端末において、ワンセグ対応機種が増えています。ワンセグ視聴に必要なチューナ部やOFDM復調部は消費電力が大きく、携帯端末の限られた電池容量で今まで以上に長時間視聴するためには、ワンセグ受信部の消費電力を下げていくことが必須となります。
    本製品は当社従来品でダイバーシティ受信した時と比べ、消費電力を3分の2に削減しました。消費電力の削減は、主にチューナ部の低電圧化による電力削減が効いており、低消費電力の面で、ワンセグ用ダイバーシティ受信LSIとして業界トップ(2008年3月26日現在)です。
  2. 新開発高感度CMOSチューナで、高性能ダイバーシティ受信を実現
    移動受信利用での速度限界を25%*向上させることが可能

    新開発のCMOSチューナにより、電波の弱いエリアやビル影や地下などでの受信感度が向上しました。さらにOFDM復調部の高性能化により、例えば時速280kmといった高速移動環境でも、より安定した受信ができるようになりました。
  3. ワンセグ受信部の実装面積を3分の1*で実現
    ワンセグ用のチューナモジュールや携帯端末のさらなる小型化と高品質化が可能

    ワンセグ対応携帯端末の小型・薄型化が進む中、ワンセグ受信部に対してもさらなる小型・薄型化が必須となっています。本製品ではダイバーシティ受信に必要であった、2個のチューナ部と1個のOFDM復調部を1チップ化するとともに、アーキテクチャの変更により一部のフィルタなどの周辺部品を削減しました。この結果、当社従来構成と比べ、ワンセグ受信部の実装面積を3分の1 にできました。

【内容の説明】

  1. 低電圧1.25V動作の周波数変換用、ダイレクト サンプリング ミキサ(DSM)技術
    チューナ部でRF(高周波)信号をIF信号[6]に周波数変換する回路(ミキサ)に、今回、DSMを採用しました。ミキサには従来、ギルバート セル回路[7]が主に使われていましたが、構成上、低電圧化が困難でした。DSMはトランジスタとコンデンサの並列構成からなるため、電源電圧を従来の2.8 V から1. 25 V に下げることが可能です。
  2. SiGe並みの低雑音指数を実現するCMOS広帯域LNA技術、および、高速移動時の受信限界性能を高めた当社独自のOFDM復調技術
    一般的にLNAのような高感度を要求される高周波デバイスでは、CMOSより雑音指数(NF)の低いSiGeの方が有利とされてきました。一方で、微細化や低消費電力化にはCMOSの方が有利です。今回、雑音指数の低い65ナノCMOSプロセスの採用と、内蔵するLNAの最適化により、SiGe並の低雑音化と広帯域化を両立しました。
    また、OFDM復調部では、変調方式など復調のための情報を含むTMCC[8]情報の復号性能を向上させることにより、高速移動時などの電波強度が変動する受信環境でも高い受信感度を実現しています。
  3. デジタル処理を活用できるアーキテクチャを採用することにより小型・1チップ化を実現するとともに、ミキサ部の低歪み化により外付フィルタ部品を削減できる、チューナ信号処理技術
    従来のギルバート セル型ミキサに替えて、DSMを用いたアーキテクチャを採用することにより、従来、アナログ回路で構成されていたフィルタを、小面積で実現できるデジタルフィルタに置換えることができました。また、DSMの低歪み化により従来LNAとミキサの間に外付されていたフィルタを不要化しました。これらのことにより、ワンセグ受信部の部品点数を削減できました。

【LSI暫定仕様】

品番 MN88448
機能 受信機能 UHF帯域の 13-62 チャネルを受信し、復調後TS出力
ISDB-T / ISDB-TSB 運用規定の1セグメント放送方式に対応
・QPSK 符号化率 1/2 , 2/3 16QAM 符号化率 1/2
-MODE 2 :
ガード比 1/4 , 1/8
時間インターリーブ長 I=2 / I=4 / I=8
-MODE 3 :
ガード比 1/4, 1/8, 1/16
時間インターリーブ長 I=1 / I=2 / I=4
CPUインタフェース I2Cバス準拠のCPUインタフェース
TSインタフェース TSシリアル出力
モニタ 簡易CNR(Carrier to Noise Ratio)モニタ
簡易BER(Bit Error Rate)モニタ
未使用ブランチ検出モニタ
プロセス 65nm CMOS
電源電圧 IO:1.85V Logic:1.2V
Analog:1.85V、(1.25V:レギュレータ出力)
消費電力 125mW(ダイバーシティ受信時 typ)
65mW(非ダイバーシティ省電力受信時 typ)
パッケージ WLCSP 70端子 3.9mm×4.1mm×0.3mm

【ワンセグ チューナ ブロックのシステム構成と、チューナと復調機能を統合したLSI】

【用語の説明】

[1] OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)
多数の搬送波を用いて変調・多重を行う伝送方式の一つです。欧州や国内の地上デジタルテレビジョン放送の伝送方式に使用されています。
[2] ダイバーシティ受信
複数のアンテナで受信した同一の無線信号について、受信した信号を合成し、ノイズを除去する技術のことです。
[3] ダイレクト サンプリング ミキサ(DSM)
RF信号をサンプリングにより周波数変換とフィルタリングの2つの動作を同時に行うミキサのことです。
[4] SiGe
元素の周期がともにIV族半導体であるSi(シリコン)とGe(ゲルマニウム)の混晶半導体のことです。Si半導体に比べて高周波特性が良好なため、RF-ICのプロセスとしてよく用いられます。
[5] 雑音指数(noise figure)
回路の入力信号のSNR(Signal to Noise Ratio)と出力信号のSNRの関係を示すものであり、回路におけるSNRの劣化量を表します。入力SNR[dB]−出力SNR[dB]で算出され、数値が小さいほど受信感度が良くなります。
[6] IF信号(Intermediate Frequency 信号)
受信機内部で、受信信号を受信周波数に関係なく、一定の周波数に変換した信号のことです。
[7] ギルバート セル回路
動作電圧が約0.6V程度のMOSトランジスタを電源とグランド間に3段縦積みにしてミキサ動作をさせる回路のことです。この構成のため、電源電圧を1.8V以下に下げることは困難でした。
[8] TMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control:伝送多重構成制御)
伝送信号の変調方式など、受信機での復調処理に不可欠な制御情報を規定する信号であり、映像や音声などの情報に多重して伝送されます。

以上