プレスリリース

2007年9月7日


世界自然保護基金(WWF)
松下電器産業株式会社
生命の海・黄海の保全をめざして

中国、韓国、日本協働の海洋生態系保全プロジェクトがスタート



【中国・北京発】 世界自然保護基金(以下WWF)と、松下電器産業株式会社(以下松下電器)は、黄海の海洋生態系の保全をめざす「黄海エコリージョン支援プロジェクト」を推進することに同意いたしました。双方は、本プロジェクトを通じて、優先保全地域における環境改善への貢献と本プロジェクトに関わる環境団体が持続可能な活動ができるよう、WWFは自然保護活動に関するノウハウの提供等による技術的支援を、松下電器はWWFのコーポレートサポーターとして資金的支援を、7年にわたり協力して行います。

 黄海は、中国と朝鮮半島に囲まれた海域です。世界最大級の大陸棚を持つことから、きわめて高い生物の多様性を誇ると同時に、古くから豊かな漁場として利用されてきました。黄海エコリージョン支援プロジェクトは、黄海、渤海および東シナ海の一部を含めた約46万平方キロの海域を「黄海エコリージョン」とし、海洋生態系と、沿岸にすむ人々の暮らしが、共に今よりも豊かになっている未来をめざします。
 WWFとKORDI(韓国海洋研究院)とKEI(韓国環境政策評価研究院)は2002年7月から、黄海の海洋生態系を支えている生きものにとって重要な生息地を、科学的知見を集めて割り出すプロジェクトに取り組んできました。2006年12月には「黄海エコリージョン優先保全地域マップ」を発表。広大な黄海エコリージョンにおいて、どこを優先的に保全すれば高い効果が得られるかを明らかにしました。このマップは、UNDP(国連開発計画)による黄海の環境保全政策にも活かされています。

 マップに示された優先保全地域において、適切な保全と効果的な管理を行い、また、広く一般の関心を確実に高めることをめざして、本日、7年に及ぶ黄海エコリージョン支援プロジェクトが正式に発足することとなりました。
 中国においては、WWF中国と、中国の沿岸および海域の利用・管理を管轄する中央官庁である中国国家海洋局(SOA)が協働する形でプロジェクトが進められることとなります。WWFとSOAの協力関係が生まれたことにより、黄海エコリージョンの周辺にあって、海洋保護区の設計と管理に関する経験や知識といった共通の関心を持つ地域とも、手を携えていく可能性が期待されています。

 韓国においては、KORDI(韓国海洋研究院)が黄海エコリージョン支援プロジェクトの主要な推進主体となります。

■黄海エコリージョン支援プロジェクトは、次のような特徴を持っています

1. 人と海とのつながりが深い「アジアの里海」とも言うべき地域であることから、人の暮らしの発展と海洋生態系の保全の両立を念頭においている
2. 日本の企業が、国際的な生物多様性保全プロジェクトを7年という長期にわたって支援する
3. 日本、中国、韓国のNGOと研究機関が協力し、それぞれの経験を相互に生かして取り組む
4. UNDP(国連開発計画)のプロジェクトとも連携することによって、地域社会だけでは解決できない問題への政策対応を視野に入れている

■黄海エコリージョン支援プロジェクトの7年間の計画は、次のような構成となっています

第1ステージ(2007.8〜2010.3)
中国および韓国の地域社会が主体となって行う普及啓発活動と、生息地保全活動を公募し、活動資金の助成と、経験や情報を交換する学びの機会の提供を行う
第2ステージ(2010.1〜2013.3)
中国・韓国でそれぞれ1カ所ずつモデル地区を設けて、国際基準の生息地管理手法を利用しつつ、3年間で地域の特性に合った保全の取り組みを、地域社会と協働で行う
第3ステージ(2013.4〜2014.9)
第1ステージの助成事業による事例と、第2ステージのモデル地区の成果事例をまとめ、中国・韓国をはじめ、世界に“アジアの里海共生モデル”を発信し、より広い地域で同様の取り組みの展開を呼びかける

■松下電器が、WWFのコーポレートサポーターとして本プロジェクトを支援します


コーポレートサポーターの
ロゴマーク

 松下電器は、本プロジェクトが、環境分野の中の生物多様性保護を目的としており、日本・中国・韓国にまたがる活動であることから、WWFの主旨に賛同して、支援を行うことを決定しました。またWWFジャパンが実施している「有明海プロジェクト」を、2000年から2005年まで支援しましたが、その保全ノウハウは本プロジェクトにも活かされます。

 かねてから松下電器は、事業ビジョンとして「ユビキタスネットワーク社会の実現」と「人類と地球環境との共存」に貢献することを掲げて事業を展開しており、企業市民活動については、「育成と共生」を行動理念に、「子ども」「環境」「福祉」の3つを重点分野として、継続性のある活動をグローバルに取り組んでいます。こうした考えに基づき、松下電器は7年間という長期にわたって本プロジェクトを支援します。

 また松下電器は、日本を含むアジア地域の企業としては初めてとなる、WWFインターナショナルの国際的な企業パートナースキームである「コーポレートサポーター」として、黄海エコリージョン支援プロジェクトを支援します。今後、コーポレートサポーターとして、黄海エコリージョン支援プロジェクトの共同推進のみならず、森林保全の観点から日本における松下グループ全体の紙のグリーン購入方針についてもWWFと意見交換を行い方針に反映させるなど、包括的な環境保全活動に協力して取り組んでいきます。

■助成団体の公募を開始します

 本日9月7日、WWFとKORDIは、第1ステージにおいて資金面の助成と情報面の支援を行う団体の公募を開始します。助成応募団体は、黄海エコリージョン優先保全地域マップが定める都市を対象に活動を行うことが条件となっています。
 応募期間は10月31日までの約2カ月間です。その後、申請書の審査を経て、12月までに黄海エコリージョン支援プロジェクト・アドバイザリーグループによって、最終的な助成先が決定されます。1年目(2008年1月〜12月)は、中国で約5ヵ所、韓国で約3ヵ所を対象にした地域社会による活動がスタートする予定です。

 2020年までに、黄海エコリージョンの海洋生態系と沿岸にすむ人々の暮らしを、共に今よりも豊かにする礎を築くこと。それが黄海エコリージョン支援プロジェクトが描く未来への展望です。

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