【要旨】 | 松下エコシステムズ(株)は、鳥取大学と共同でウイルスやアレルゲン、カビを抑制する機能性材料「スーパーアレルバスター」[1]を搭載したフィルタに、鳥インフルエンザウイルス[2]を抑制する効果があることを実証しました。 | |
【効果】 | 「スーパーアレルバスター」は、フィルターに搭載すると、鳥インフルエンザやSARS、インフルエンザなどのウイルスに対してより安全・安心な環境の実現に貢献します。同時に多くのアレルゲンを抑制するため、花粉症、気管支喘息などのアレルギー性疾患発症の低減も期待できます。 | |
【特長】 | 1. | 鳥インフルエンザウイルスに対して、10分間の接触で99.999%減少(3回の試験の平均値)させる高い抑制効果を発揮します。 |
2. | 「スーパーアレルバスター」ですでに実現していたインフルエンザウイルス、SARSウイルスに加え、鳥インフルエンザウイルスの抑制ができます。 | |
3. | 機能性材料「スーパーアレルバスター」を添着することにより効果が発揮されるので、フィルタに使用することで、各種ウイルス、アレルゲンを捕集して抑制します。(ウイルスは大気中の粉塵に付着して浮遊していると考えられ、その粉塵を集塵フィルタが捕集しています。) | |
【内容】 | 鳥インフルエンザウイルスに対する抑制効果を、以下の方法により検証しました。 | |
(1) | 「スーパーアレルバスター」を搭載したフィルタに、鳥インフルエンザウイルスを10分間接触させた後、発育鶏卵接種および赤血球凝集反応によりウイルス抑制の有無を判断しました。 | |
(2) | 検証実験および評価は、鳥取大学の伊藤壽啓教授のグループとの共同研究により実施しました。 | |
【従来例】 | これまで鳥インフルエンザウイルスに対する抑制効果を実証したものはありましたが、集塵用のフィルタに添着して使用できるものはありませんでした。 |
【お問合せ先】
松下エコシステムズ(株) 経営企画グループ 広報担当 森林 章広 〒486-8522 愛知県春日井市鷹来町字下仲田4017番地 TEL:0568-81-1161 FAX:0568-86-0091 Mail:moribayashi.akihiro@jp.panasonic.com URL:http://panasonic.co.jp/mesc/ 鳥取大学農学部 附属鳥由来感染症疫学研究センター センター長 伊藤 壽啓 〒680-8553 鳥取市湖山町南4丁目101番地 TEL:0857-31-5437
【特長の詳細説明】
1.鳥インフルエンザウイルスに対して、10分間の接触で99.999%減少させる高い抑制効果を発揮します。
「スーパーアレルバスター」を搭載したフィルタとの接触により、鳥インフルエンザウイルスの感染価が、10分間で99.999%減少しました。 |
当社が採用している抗アレルゲン、抗ウイルス、抗菌などの作用を持つ複数の材料の相乗効果により、高い抑制率が得られたと考えられます。 |
2.「スーパーアレルバスター」で実現していたインフルエンザウイルス、SARSウイルスに加え、鳥インフルエンザウイルスの抑制ができます。
当社の「スーパーアレルバスター」は、フェノール系ポリマー、低分子型ポリフェノール系材料に緑茶カテキン、酵素などの複数の抗アレルゲン、抗ウイルス、抗菌などの作用を持つ材料を複合化し成分を均一に分散・安定化させたものを、フィルタ基材に均一に添着させると、すでにインフルエンザウイルス、SARSウイルスや各種真菌・細菌、各種アレルゲンにする抑制効果が確認されていました。
今回、鳥取大学の伊藤壽啓教授のグループとの共同研究により、当社の「スーパーアレルバスター」を搭載したフィルタに、鳥インフルエンザウイルス抑制効果があることを検証しました。
「スーパーアレルバスター」を搭載したフィルタとの接触により、フェノール性OH [3]が鳥インフルエンザウイルスを取り囲んでコーディングし、抑制すると考えられます。
ウイルス抑制メカニズムの想像図 |
【試験方法】 |
「スーパーアレルバスター」を搭載したフィルタに、鳥インフルエンザウイルスを10分間接触させた後、発育鶏卵接種および赤血球凝集反応によりウイルス抑制の有無を判断しました。 |
(1)袋に試験片(「スーパーアレルバスター」を搭載したフィルタあるいは未加工のフィルタ)とウイルス液を入れて、10分間接触させる。 (2)袋の試験片から液を絞って回収する。 (3)10日齢の発育鶏卵の漿尿膜腔内に回収した液を接種する。 (4)接種発育鶏卵を37℃で2日間培養する。 (5)培養後、発育鶏卵から漿尿液を採取して鶏の赤血球と混合する。 (6)赤血球凝集の有無により、ウイルス抑制が起こったか否かを確認する。 |
3.機能性材料「スーパーアレルバスター」を添着することにより効果が発揮されるので、フィルタに使用することで、各種ウイルス、アレルゲンを抑制します。
機能性材料「スーパーアレルバスター」を添着することにより効果が発揮されるので、フィルタ以外にもさまざまな種類の部材にも添着加工できます。
今後、「スーパーアレルバスター」搭載フィルタを使用する商品を拡大するとともに、フィルタ以外の部材にも用途を拡大し、より安全・安心な環境の実現に貢献します。
【『アレルバスター・スーパーアレルバスター』搭載のフィルタの効果検証一覧】
検証年 | 対象 | 検証機関 | |
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ウイルス | 1993年 | コロナウイルス | (財)北里環境科学センター |
ポリオウイルス | (財)北里環境科学センター | ||
1994年 | コクサッキーウイルス | (財)北里環境科学センター | |
2004年 | インフルエンザウイルス | (財)北里環境科学センター | |
(財)日本食品分析センター | |||
SARSウイルス | 中国研究機関(非公表) | ||
2006年 | 鳥インフルエンザウイルス | 鳥取大学 | |
真菌 | 2004年 | クラドスポリウム | (財)日本食品分析センター |
ペニシリウム | (財)日本食品分析センター | ||
アスペルギルス | (財)日本食品分析センター | ||
細菌 | 2004年 | 大腸菌 | (財)日本食品分析センター |
黄色ブドウ球菌 | (財)日本食品分析センター | ||
白色ブドウ球菌 | 中国研究機関(非公表) | ||
アレルゲン | 2003年 | ヤケヒョウヒダニの死がい | 大阪市立工業研究所 エジンバラ大学(英国) |
ヤケヒョウヒダニのフン | 大阪市立工業研究所 エジンバラ大学(英国) |
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2004年 | ヤケヒョウヒダニの死がい | 大阪市立工業研究所 | |
ヤケヒョウヒダニのフン | |||
コナヒョウヒダニの死がい | (財)日本食品分析センター | ||
コナヒョウヒダニのフン | |||
スギ花粉 | 大阪市立工業研究所 信州大学(2005年) |
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ネコ上皮 | |||
イヌ上皮 | エジンバラ大学(英国) 信州大学(2005年) |
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カビ | エジンバラ大学(英国) | ||
小麦粉 | (財)日本食品分析センター | ||
2005年 | ヒノキ花粉 | (試験監修) 奈良県立医科大学 信州大学 |
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ブタクサ花粉 | (試験監修) 奈良県立医科大学 |
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カモガヤ花粉 | (試験監修) 奈良県立医科大学 信州大学 |
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2006年 | ハルガヤ花粉 | (試験監修) 奈良県立医科大学 |
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シラカンバ花粉 | (試験監修) 奈良県立医科大学 |
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ハンノキ花粉 | (試験監修) 奈良県立医科大学 |
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ブナ花粉 | (試験監修) 奈良県立医科大学 |
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ヨモギ花粉 | (試験監修) 奈良県立医科大学 |
【用語解説】
[1]「スーパーアレルバスター」
フェノール系ポリマーと新開発の低分子型ポリフェノール系材料などの抗アレルゲン剤に、抗ウイルス、抗菌などの作用を持つ複数の材料を複合化し、成分を均一に分散、安定化させフィルタに添着する材料。
[2]鳥インフルエンザウイルス
鳥類に鳥インフルエンザを起こす原因ウイルス。従来、人には感染しないと考えられていたが、1997年以降、高病原性鳥インフルエンザウイルス(鶏等の家禽に高い致死性を示すインフルエンザウイルス)の人への感染・死亡例が確認されている。
[3]フェノール性OH
フェノール系材料に含まれる抗ウイルス、抗アレルゲン作用部位。