【要旨】
パナソニック株式会社は、社会課題となっている危険ドラッグに含まれる成分を簡易的に検出することが出来る免疫反応を利用した新型抗体(モノクローナル抗体[1])を開発しました。この抗体は、危険ドラッグのような低分子化合物の機能を維持したまま高分子化する技術と、当該技術により作製した生成物(免疫原[2])を用いて免疫反応[3]させることにより開発しました。このモノクローナル抗体は将来的に簡易型の危険ドラッグ検出デバイスを実現する上で必須のものになります。これにより、空気中あるいは、壁や床などに付着している危険ドラッグをその場で簡易検出することに貢献していきます。
【効果】
これまで危険ドラッグの成分を検出する場合には、採取したサンプルを大型の測定装置のある場所まで輸送し、前処理工程をおこなった後に検出を行うため、検出結果が出るまでに多くの時間を費やしていました。これに対して今回開発した危険ドラッグに対するモノクローナル抗体を利用することにより、現場で簡易に検出できるデバイスを提供することが可能となります。これにより、その場で不審物の判定が容易に出来るようになると期待されます。
【特長】
本開発は、以下の特長を有しています。
- 危険ドラッグの主な成分を特異的に検出が可能
- 現場で簡単に危険ドラッグの成分を検出できるデバイス化に貢献
【内容】
本開発は、以下の技術により実現しています。
- (1)低分子化合物を高分子化するキャリアタンパク質[4]が結合した抗原合成技術
- (2)低分子化合物の機能を維持したまま高分子化するキャリアタンパク質との結合距離(リンカー長)最適化技術
【従来例】
従来は、現場で発見した不審物を、大型の検出用装置が設置している場所まで輸送し、その後、専門の分析者が不審物を前処理後に測定することにより危険ドラッグか否かを判定していました。そのため、結果が出るまでに長時間を有することになり、その場に当事者が居た場合でも、逃亡を許すなどの課題がありました。
【特許】
国内2件、外国1件(出願中含む)
【備考】
本技術の一部は、2016年2月発行の専門誌Monoclon Antib Immunodiagn Immunother.にて発表をしています。
【お問い合わせ先】
- パナソニック株式会社 全社CTO室 広報担当
- Email : crdpress@ml.jp.panasonic.com