パナソニック株式会社 オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社は、スマートフォン、タブレットなどのモバイル機器の大容量データの高速通信と薄型化に対応する「低伝送損失[1] フレキシブル多層基板材料」を製品化、2017年1月から量産を開始します。LCP(液晶ポリマー)のコア材[2] と、低温成型及び常温保存が可能な接着シート材料の組合せで、高周波用フレキシブル多層基板の製造が容易になります。
現在主流の大容量伝送用の同軸ケーブル[3] は厚みがあり、モバイル機器の薄型化が困難です。大容量伝送と薄型化を両立するために高周波用フレキシブル多層基板が注目されていますが、材料の性質上取り扱いに制約が多く、製造に特殊設備が必要となるなどの課題があります。当社では独自の樹脂設計技術により、200度以下の低温成型と常温保存ができる接着シートを開発しました。これにより、接着シートの高温成型や冷蔵保存のための専用設備が不要となります。また、LCPコア材においても独自の積層技術によりLCPと低粗度銅箔の高い接着性を実現しました。さらに、これまでコア材に用いられているポリイミドフィルムなどの素材では伝送損失が大きく、高速伝送用途では使用できませんでしたが、本材料では低伝送損失を実現。大容量、高速伝送に対応可能です。
【特長】
- 低伝送損失で、USB 3.1 Gen 2 (10Gbps)に対応。大容量データ伝送の高速化に貢献
伝送損失 : -2dB/100mm@6GHz※1
コア材 : 比誘電率 2.9@10GHz、誘電正接 0.002@10GHz
接着シート: 比誘電率 2.2@10GHz、誘電正接 0.001@10GHz - 厚み0.2mmで複数の信号線を配置した3層構成のフレキシブル多層基板を実現、モバイル機器の薄型化に貢献
トータル板厚: 0.2mm以下※1 - 低温成型と常温保存ができる基板材料で、フレキシブル多層基板の製造が容易
成型温度:180~200℃、現行の接着シート※2 300℃
常温保管:23(±5)℃、現行の接着シート※3 冷蔵保管:5℃以下
- ※1:3層構成のフレキシブル多層基板にて。LCPコア材(0.1mm)、接着シート(0.05mm)、LCPコア材(0.05mm)
- ※2:当社従来LCP接着シート
- ※3:一般の低誘電率接着シート
【用途】
高周波アンテナモジュール用基板、高速ケーブルなど
【備考】
本材料は、2017年1月18日~1月20日まで東京ビッグサイトで開催される「第18回 プリント配線板EXPO」に出展します
【商品のお問合せ先】
- オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社 電子材料事業部
- https://industrial.panasonic.com/cuif/jp/contact-us?field_contact_group=2201&field_contact_lineup=3248&ad=press20170117