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IOT/ビッグデータ時代を支える「光ディスクアーカイブ」~大容量、高速化への挑戦 

2017年8月23日

特集

IOT/ビッグデータ時代を支える「光ディスクアーカイブ」~大容量、高速化への挑戦 

IoT技術の急速な発達や、SNSの普及、デジタル映像の高画質化などに伴い、全世界規模で膨大なデータが生み出されている。この大量のデータの長期保存の必要性が高まり、社会課題にもなっている。このような中、IT産業界で、長期間、安心・安全に大量のデータ保存が可能な記憶媒体として脚光を集めているのが光ディスクだ。パナソニックは今、社会の要請に応えるため、日本独自の技術としてこれまで、30年以上もの間培った光ディスク技術を、光アーカイブ事業としてチャレンジしている。

情報ビッグバン時代の社会課題に応える光ディスク

インターネットの進化、IoTの本格化、デジタル映像の高画質化に伴い生成されるデジタルデータは、全世界規模で爆発的に膨れ上がっている。21世紀に入ってからわずか20年ほどで44ZB(ゼータバイト)になると予測。毎年、4.5ZB/年のデータが新たに創出されると見込まれる。

そのうち約3.5%~4%程度が、長期保存が必要なデータ、いわゆるアーカイブデータ。その市場は年間おおよそ約1兆円(1GBあたり5セントで換算)とパナソニックは予測している。

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人類が誕生してからの長いスパンで見た場合、全世界で生み出されるデータ量は21世紀に異常なほど伸長している。

人類の遺産となる文化的、芸術的なデータ、安全な暮らしに必要なセキュリティーや、医療に係わるデータ、さらに、AI開発に用いられるビッグデータ、ディープラーニングなどの最先端の技術で新たな付加価値につながるデータなどが、アーカイブデータとして対応が求められている。

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デジタルデータは、その使用頻度、アクセス頻度によって、大きく三つに分類される。ホットデータ、ウォームデータ、コールドデータと呼ばれ、データの保管条件に適したメディアで管理することが望ましい。長期保存を重視し、使用頻度の低いデータであるコールドデータ、すなわちアーカイブデータの保存には光ディスクが適している。

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これは、「不変性=改ざんができない」「耐久性=メディア寿命100年」、そして何より「低消費電力」という光ディスクの特性にある。データ保存に必要な電力消費量は増大し、データ保存に費やされる電力をいかに削減するのか、が環境問題の一つともなっているからだ。

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2008年の経済産業省の試算では、IT関連機器の電力使用量は、2025年には2006年比5.2倍。ワールドワイドでは9.4倍。これは全世界の総発電量15%に至ると推定されている。その大部分がデータセンターなどでの累積データの保存に使用されている。

光ディスクの進化と特長

ディスク容量

パナソニックは、30年以上培った光ディスク技術を結集し、高密度光ディスクの開発に挑戦し続けてきた。長期の大量データ保管に適した次世代型光ディスク「アーカイバルディスク」を株式会社ソニーと共同開発。2016年に300GBのアーカイバルディスクの量産を開始した。今後も1枚あたり500GB、そして1TBへの容量アップと、その量産を計画している。

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光ディスクは、信号処理技術などの技術革新により、記録密度を高める余地がまだまだ大きいメディアといえる。HDD、光ディスク、磁気テープの記録密度の伸び率を比較すると、2016年から2026年までの10年間で、HDDの場合、7%から15%の密度向上が見込まれているのに対し、光ディスクは、30%から46%の向上が見込まれている。磁気テープは30%以下だ。

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メディア寿命

メディア寿命については、業界の基準としている加速度試験を実施。ディスクを、温度30℃以上、湿度70%以上の環境下で、エラー発生率を計り、100年後もデータが確実に保存できていることを推定している。一方、ハードディスクでは数年、磁気テープで十数年の寿命といわれている。

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低消費電力

寿命の長い光ディスクは、ハードディスクや磁気テープのように劣化した媒体から新しい媒体への定期的な移し変え(マイグレーション)を必要とせず、またハードディスクのような、稼動と施設の冷却が不要であることから、長期保存における電力量の削減、ひいてはコストの削減が可能だ。HDD、磁気テープと、光ディスクで、20年間1PB(ペタバイト)のデータを保存した場合のコスト比較では、普及型HDDと、磁気テープは、ほぼ同じだけの費用がかかるのに対して、光ディスクは約半分の費用ですむと試算している。

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アーカイバルディスクと高密度化技術

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CD、DVDそしてブルーレイディスクへの記録容量の進化では、記録マークサイズの密度アップやデータ記録のためのレーザー短波長化、絞り率を高めてきた。また、ブルーレイディスクでは、両面三層ディスクの開発により、1枚当たりの容量200GB(片面100GB)を達成している。

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さらにアーカイバルディスクでは、2つの技術を新たに採用することで、1枚あたり300GBの容量を実現した。
1. 従来使用しなかった、ランドといわれる溝の部分にもデータを書き込む「ランド&グルーブ技術」。

2. 隣り合うデータスポットの間隔が、より狭くなった状態でもデータを読み込み、読み出せる技術、「クロストーク低減技術」。

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今後、記録マークの書き込みの深さによってデータ密度を上げる技術(多値記録技術)や、隣り合うデータ同士が干渉しないで書き込み、読み出しができる技術(符号干渉除去技術)を用い、さらなる大容量化を実現していく計画だ。

また、微細なレーザーを生み出しコントロールするレンズ光学技術、ディスク素材を高める化学技術など、パナソニックが30年以上培った要素技術を総動員して、新たなアーカイバルディスクの開発に取り組んでいる。

アーカイバルディスクを使用した「freeze-ray」

2016年3月、Facebookとの連携のもと、パナソニックは300GBの記憶容量を持つアーカイバルディスクを使用した記録装置、データアーカイブシステム「freeze-ray」を開発発表した。「freeze-ray」は、世界中のデータセンターにおけるコールドデータ、すなわちアクセス頻度が低いが長期間保存が必要なデータの保存とアクセスにおいて、高効率で持続可能なシステムへのニーズに応えている。

「freeze-ray」は、両面書き込みおよび、ライトワンス(1回だけ書き込みができる)の1枚300GBのアーカイバルディスクを、12枚収めたマガジン単位でデータを保存。1マガジン当たり3.6TBの容量となるマガジンを、モジュールに詰め込み、1段のモジュールで273TB。そして、標準の7段積みラックで、最大1.9PBのデータ保管容量を実現した。

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「freeze-ray」のシステムは、一つのマガジンに収められているディスクから6枚を取り出し、6台のドライブで、両面同時に記録、再生する当社独自の方式だ。つまり、一つのファイルデータを分散し、12面同時に書き込みが可能で、データ転送スピードは1秒当たり360MB。ハードディスクに比べて遜色のないレベルのスピードを実現した。

加えて、1マガジン単位で、RAID6までの記録に対応し、セキュリティー上の安全性を確保。また一つのマガジン内のデータへは、ディスクの交換なくアクセスが可能だ。
この独自方式の採用は、当初からデータセンターでのデータ保管を前提としている。Facebookとの共同開発の中で、極めて多くの知見を取り入れることができた。ユーザーの声を反映した現場発想の開発、モノづくりは、パナソニックのモットーとするところだ。

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■ 独自方式を採用したアーカイバ装置

ジュークボックスのような構造をしている。マガジンキャリアユニットが装置内を移動しながら、指定されたマガジンを取り出し、ドライブユニットまで搬送。搬送されたマガジンから、6枚のディスクが取り出され、両面同時にドライブで読み書きされる。 パナソニックの精密機構技術を応用しながら、IT機器としての高い信頼性を実現すると同時に、静電気対策など現場で求められる、細かな点にも十分配慮した設計を実現している。

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アーカイバ装置内の動き

主な納入事例

「freeze-ray」は、長期間アーカイブを意図したデータセンターを核として、社会インフラや、科学・学術分野、あるいは、放送関連、セキュリティー分野など、さまざまな分野での需要が見込まれる。それぞれの分野で、特有の用途に合わせて、ソフトウェア面でも対応できるよう、各分野、地域で専門のソフトウェア、システム開発会社とも提携を積極的に進めている。

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すでに過去数年の取り組みの中で、将来の社会のために、100年以上の期間を見据えて、貴重なデータを確実に保存したいという思い、要請を、各分野を代表する企業、研究機関から受け、それに応えるプロジェクトを開始している。
たとえば、岐阜県にある核融合研究所では、新たなエネルギー源を得るため、日夜繰り返されている膨大で貴重なデータの保存に 「freeze-ray」が採用されている。大容量、信頼性、長寿命、そしてランダムアクセスという特性に高い評価を得た。海外でも、米国の大手SNS事業者に続いて、さらに大量のデータを扱う中国データセンタープロジェクトへの採用も予定されている。

"ロゼッタストーン"に思いを込めて

多様で大量のデータを100年ものスパンで安心、安全に保存すること。それが、パナソニックの事業目標であり、社会へのお役立ちである。「freeze-ray」には、データを長く保存する象徴的なものとして、ロゼッタストーンをデザインしたロゴマークが採用されている。
光ディスクアーカイブ事業は、まだスタートしたばかりだが、30年にわたり培ってきたディスク、デバイス、および装置開発にいたる光ディスクに関するすべての技術を有する強みがある。パナソニックはグローバル競争の中で、日本がリードする産業の一つとして大きな事業に育てていきたいと考えている。

大量データの長期保存のニーズはますます増えていく。パナソニックは、そのさまざまなニーズに合わせて光ディスクをいっそう進化させていく。

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発表年月
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