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パナソニックの「車載用 高精度角度センサ」~車載モータの動きを正確に把握する

2017年6月20日

特集

パナソニックの「車載用 高精度角度センサ」~車載モータの動きを正確に把握する

自動車の電動化が進み、自動運転やADAS(先進安全運転支援システム)に注目が集まる中、自動車に搭載されるモータには、より高精度な制御技術が求められている。今回、車載向けにパナソニックが開発した角度センサ「A3MR」を紹介する。

「A3MR(エーキューブエムアール)」とは

パナソニックが2017年3月に発表した「車載用高精度 角度センサ」は、車載用モータの回転角度を高精度に検出するセンサデバイスで、愛称「A3MR(エーキューブエムアール)」と名づけられた。
「A3MR」には、
""Anisotropic(異方性の意味、AMR素子のこと)"
"Absolute(絶対角度を測定可能)"
"Accurate(高精度)"
の意味がこめられている。

「A3MR」は、AMR素子とホール素子のハイブリッド方式によって、
(1) 小型・軽量で高精度の360°角度検出が可能
(2) 磁界強度や温度変化に強く、安価で設計自由度が高い
との評価を得ている。

センサ特性

従来品では難しかった小型化と高精度化を両立した「A3MR」は、磁石と組み合わせて使うことでモータのシャフトの回転量を高精度に検出できる。磁界強度の変動耐性にも優れ、モータ軸から離れた位置でのセンサ配置においても高精度なモータ制御を可能とする「サイドシャフト検出」や、軸の太いモータなどにおいて多極磁石を用いる場合など高い磁界強度においても高いノイズ耐性を実現した。また、温度変化にも強く、モータの軸が貫通するような設計への対応を可能とした。

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サイドシャフト検出

(1) 小型・軽量で高精度の360°検出

電流方向とフリー層の磁化方向の角度差を検出するAMR薄膜を用いたセンサでは、通常、180°周期までの抵抗変化を計測するが(GMRやTMRは360°周期)、「A3MR」は集積回路にホール素子を組み合わせ、またAMR素子の180°周期を360°に換算するアルゴリズムを搭載することで、AMR薄膜を用いたセンサでの360°検出を実現した。

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(2) 磁界強度変動や温度変化に強い

自動車の電動化(電気自動車、ハイブリッド自動車など)が進み、車内での磁界の影響が大きくなりつつある昨今、磁界強度変化や温度変化に影響を受けず、同じ抵抗値を示すセンサが求められている。「A3MR」は、検出用マグネットの磁界を強くすることで外乱磁界の影響の抑制を可能にし、またAMRで磁気抵抗膜の抵抗値そのものを検出することで、大きな磁界において高い精度保持を実現した。
また、磁石の温度変化の影響を抑えるために、磁石が温度変化しても磁界強度変動が少ない(磁気飽和しやすい)磁気抵抗薄膜を開発。従来は、使用する全ての温度範囲で高い角度精度を維持するためにシステム全体での温度補正が必要とされていたが、「A3MR」は、200℃以下の環境において、高い検出精度を実現している。

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[動画] 「車載用高精度 角度センサ」の角度精度比較デモ

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「車載用高精度 角度センサ」のデモ画面

パナソニックのセンシングデバイス

パナソニックは、温度・湿度、電流、位置、距離・動きなど、各種センシングニーズに応えるデバイスを開発・生産し、車載・産業・ICT用途へ販売している。今後の電子部品業界(自動車、産業、ICTの3分野)へのニーズを、以下、紹介する。

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(1) 自動車分野

「自動車の横滑り防止」や「横転時における側面エアバッグ」、「自動運転」など『自動車の安全性』ニーズが高く、また「EV/FCVなどのエコ自動車」や「車内の快適空間」など車の『環境対応、快適性』が求められている。日本や欧米において、自動車に関する規制厳格化も背景に、今後は厳しいレギュレーションをクリアしていくことが必須となる。

(2) 産業分野

「製造ロボット」や「インフラ管理」など、『単独作業、または、インフラ個別向け作業』が主流になると予測。「倉庫内を自由に動き回る自走ロボット」や「ビルの統合的なエネルギマネジメント」、「インフラの劣化具合を診断し警告を促すシステム」など、『工場の無人化、生活空間の快適性、インフラの保全』への要求も高まりつつある。具体的には、「機器の熱対策」や「高度なセンシング」、「長期にわたる安全性の保証」などが求められている。

(3) ICT分野

情報端末「スマホ」や「タブレット」などの『モバイル機器』が活用される社会において、今後は「スマートウォッチ」や「スマートグラス」など、身につけるモノものそのものが情報通信機能を兼ね備えた『ウェアラブル機器』の活用が進むと予測。ウェアラブル機器においては、「長時間身につけても低温火傷しないための温度制御」や「電磁波規制のクリア」、「超小型回路設計」などが重要テーマで、更なる改善が求められている。

角度センサ「A3MR」は、どんな用途に適しているのか?

ADAS(先進運転支援システム)や自動運転の進化に伴い、走る、曲がる、止まる、の自動制御化へのニーズが高まってきている。特に、車載用途においてはセンサ精度と高い安全性との両立が求められる中、電動パワーステアリング(EPS:Electric Power Steering)では自動駐車やレーンキープ時における、車の進行方向の制御の高精度化が実現した。また、エンジンのスタート時などのアシストに使うISG(Integrated starter generator)モータではモータの回転ムラを抑え、燃費向上の効果がみられた。

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また、産業用途においても、建機、農機の自動化、工場のロボット化などにより、モータの高精度制御と高い安全性を両立させるニーズが高まってきている。「A3MR」は、車載用途のセンサに要求されるISO26262(機能安全)にも対応するだけでなく、現在主流のレゾルバからの設計変更が不要での代替対応が可能だ。車載以外にも、シフトバイワイヤ用モータや、産業用ロボットや建機への展開も想定しており、2025年には400億円の事業規模を見込む。

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パナソニックは、これからも自動車や各種機器の高性能化・小型軽量化などの進展によって、お客様の設計・開発にかかる開発費用やリソース、リードタイムなどの負担軽減にむけたソリューションを提案していく。

安全・安心、快適なモビリティー社会の実現に貢献したい

「角度センサは、車載ユーザ様での評価を進めていただいています。ユーザ様は、センサ単体の性能ではなくパナソニックのセンシングソリューションとしてのシステム提案に期待いただいています。私たちは、ユーザ様と話し合い、ユーザ様のシステムを十分に理解し、いかに真のお困りごとを把握していくかが鍵だと考えています。ユーザ様に満足いただけるコストや仕様に仕上げるには、高いハードルが多々ありますが、このセンサが安全・安心、快適なモビリティー社会に貢献できると信じています。2019年の市場投入を目指し、将来的にはインダストリアル事業の柱事業になるよう、世界No.1のデバイスとして大きく育てていきます」。

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角度センサの可能性について語る 尾中 和弘さん、藤浦 英明さん
(パナソニック AIS社 デバイスソリューション事業部)

発表年月
発表年月