世界のここにもパナソニック ソリューション編

ロシアの芸術・伝統・文化を魅力的に伝える ミュージアムソリューション

2014年6月 6日

特集

ロシアの芸術・伝統・文化を魅力的に伝える ミュージアムソリューション

バレエ、絵画、クラシック音楽など芸術が盛んなロシアでは、展示会場やギャラリーなどのミュージアムがモスクワでは500以上、サンクトペテルブルグでは200以上あり、ロシア人に余暇の過ごし方を聞くと「ミュージアムに行く」という答えが必ず上位に入ってきます。小学校の校外学習や幼稚園のクラスでもミュージアムに行く機会が多く、家族でも子ども連れで展覧会を見に行ったり、劇場に行くなど、身近な存在です。今回は、こうしたミュージアムの魅力を支えるパナソニックのソリューションに焦点をあてたいと思います。現地ライターのNaokoがお届けします。

  • モスクワ・サンクトペテルブルグのミュージアムソリューションの紹介映像はこちらをご覧下さい。
 
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    宮殿広場から撮影したエルミタージュ美術館の外観。建物自体がロマノフ王朝の歴代皇帝(女帝)の宮殿であり、世界遺産にも登録されている。
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    LEDクリア電球がもたらす省エネ効果と、電球の光について語る、エナジー部責任者のVladimir Smirnov氏。

エルミタージュ美術館に導入された「LEDクリア電球」

ロシアの北都サンクトペテルブルグにある世界四大美術館のひとつエルミタージュ美術館。年間300万人もの人が訪れる、まさにロシアを代表する美術館です。この美術館の紋章の間にパナソニックのLEDクリア電球が採用されています。

多くのLED電球が光を拡散させるために半透明のガラスでできているのに対して、LEDクリア電球は従来の白熱電球と同じように、透明のガラスで作られており、白熱電球のような暖かい光を出すことからヨーロッパでは「ノスタルジッククリア」と呼ばれています。「従来の白熱電球に似た光を出し、消費電力は低い。美術館では数万個もの電球があるため、電球ひとつひとつの消費電力の低さは美術館の経営にとっても重要な意味を持ちます」と語るのは同美術館エナジー部責任者のVladimir Smirnov氏。美術館には各部屋にその部屋の展示物やインテリアが効果的かつ自然に見えるように、展示物の内容やレイアウトだけでなく、部屋の照明のことも考える学芸員のチームがあり、その専門家たちにパナソニックのLEDクリア電球が高評価を得ているそうです。

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クトゥーゾフの回廊にLEDクリア電球が採用されたシャンデリアがある。透明ガラスで出来ている電球は、シャンデリアの光の透明感を際立たせる。白いアーチ形天井に映るシャンデリアのガラスの影も照明の効果のひとつ。このような効果も考慮して電球が選ばれている。

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    シャンデリアの電球を白熱電球からLEDクリア電球に交換する現場を見学させていただいた。美術館専属の電気工の方々が手作業で電球を交換していく。
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    「紋章の間」のシャンデリアにLEDクリア電球が採用されている。照明が明るくなることで、部屋の空間がより広く、天井がより高く感じられるようになったそうだ。

また紋章の間では電球は一日中点灯し続けるので、消耗が早くなってしまいます。このLEDクリア電球は寿命が大変長く、一度交換すると25年交換する必要がないと言われており、とても重宝されています。このLEDクリア電球は白熱電球と同じサイズの取り付け口が使用できるため、これまで使用していた白熱電球の代替品として簡単に付け替えることが可能です。

 
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    エカテリーナ宮殿は、1717年にエカテリーナ1世によって建築された、ロシア帝国時代のロココ建築の宮殿。
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    TSBS部・責任者のMikhail Maksimov氏氏は、文化財の保護と来場者の安全、そして作品の雰囲気を守ることが重要である、と話す。

エカテリーナ宮殿の文化財を守る セキュリティーシステム

サンクトペテルブルグから車で1時間程度離れたところにあるツァールスコエ・セロー(皇帝の村の意)には、かつて皇帝一家の避暑地であり、皇帝の夏の宮殿でもあったエカテリーナ宮殿があります。この宮殿には貴重な文化財を守るためパナソニックのセキュリティーシステムが採用されています。

エカテリーナ宮殿のセキュリティーの総括をしているTSBS部・責任者のMikhail Maksimov氏は「文化的・歴史的に重要な文化財と来場者の安全をいかに守るかを真剣に考えた結果、パナソニックのセキュリティーシステムを選択しました」とおっしゃいます。歴代の皇帝一家が夏の住まいとして使っていた宮殿。その豪華なインテリアにはただただ圧倒されます。部屋の各所にフレスコ画や黄金の装飾が施されているため、「セキュリティーカメラで重要視しているのは小型で目立たないこと」であり、「カメラにはつきもののケーブル類をいかに隠すか」が最大の課題といいます。文化財の保護と訪問者の安全確保以外にも、鑑賞者が中世の宮殿の雰囲気を感じられるようにとの配慮も大切なのです。

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    鏡の間に設置されているセキュリティーカメラ。豪華な装飾の施された宮殿の雰囲気を壊さないように、また、屋内を見渡せるような場所に設置されている。

宮殿の建物だけでなく、広大な庭園もエカテリーナ宮殿の一部です。庭園には遊歩道や池の他、いくつもの展示スペースがあり、そこにも彫刻などが展示されています。敷地は広く監視の目が行き届きにくいため、セキュリティーカメラが欠かせません。展示施設の一つ「グロット」(洞窟)と呼ばれる離れにはパナソニックのIPカメラが設置されています。「このカメラは、アナログのカメラのものに比べて映像の処理が簡単で、LANケーブル1本で接続可能です。監視システムのある宮殿から離れた場所にある展示施設なので、設置のしやすさは重要な要素の1つです。全てをパナソニックのセキュリティーカメラとシステムで統一することによりスムーズな管理室のモニターでの画像処理が実現します。いずれは外部・内部のアナログカメラも少しずつIP化していく計画です」。

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    エカテリーナ宮殿の敷地内にある、グロットと呼ばれる展示施設。ここにセキュリティーカメラが設置されている。
 

パナソニックのテクノロジーとAscreen社の コンテンツアイデアがミュージアムをより魅力的にする。

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    Ascreen社のマルチメディアテクノロジーセンターでは、プロジェクターとスクリーン、ディスプレイを使用したマルチメディアパネルを組み合わせた機材の使用方法を見学可能。

パナソニックはプロジェクターやディスプレイなどの機器を製造していますが、その機材を使う施設は、コンテンツを誰かに見せるという目的で機材を使います。サンクトペテルブルグのAscreen社は会議場施設やミュージアムなどの各種施設へのマルチメディアコンテンツ提供と機材設置を業務としている会社です。自社製作(CG映像、3D映像など)のコンテンツを提供するためにパナソニックの機材を選択し、各種施設に納入・設置しているのです。Ascreen社のショールーム「マルチメディアテクノロジーセンター」を訪問させていただきました。そこには様々なプロジェクターやスクリーン、ディスプレイを使用したマルチメディアパネルなどが展示され、ミュージアムや文化教育施設などの運営者が実験的なコンテンツや機材の使用法の新たな可能性を体験することができるスペースになっています。

「百聞は一見にしかず」の言葉通り、Ascreen社のジェネラルマネージャーMikhail Sergeev氏の説明を聞きながら映像を体感すると、様々な表現方法に驚かされるばかり。インパクトのある映像を投影するための機材としてパナソニック製品を選択した理由をSergeev氏にお聞きしました。「ガラスケースの中に展示品を置いているだけでは、見る人に魅力が伝わりにくくなってきています。高機能なデジタル機材を利用して展示品を魅力的に見せるためには、展示している空間自体を作品化する必要があります。特に若い人たちはインタラクティブ機能を使って情報を得ることに慣れているため、ミュージアムとしても能動的に情報に触れることができる仕組みが重要だと考えています。空間を最大限活用するためには、省スペースで大きな力を発揮する製品が求められており、プロジェクターの光度の高さと製品自体がコンパクトなパナソニックの製品を選択しています」。現代ではミュージアムに求められるものが変化しており、展示品をただ見せるだけではなく、展示物を効果的に見せる工夫や、体感できることが重要ということなのです。それがミュージアムの新しい表現方法に繋がっています。

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    最近ロシアでも人気の現代アート「プロジェクションマッピング」。マッピングとは映像などのCGを建物や空間に投影する手法のこと。こちらは「インドアマッピング」と呼ばれる手法。
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    左の画像の「インドアマッピング」は、3つのプロジェクターが3方向の壁面に映像を投影する仕組みとなっている。

パナソニックのテクノロジーとAscreen社のコンテンツが導入されているWater Museum

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    Water Museumの入っている施設Water Worldの担当者Viktor Kozlov氏に、導入したソリューションについて話を伺った。

Water Museumはサンクトペテルブルグの浄水施設「Water Canal 」に併設される形で2003年に作られた幼稚園児・小学生向けの教育啓蒙施設「Water World」の一部です。館内に入ると奥に3面の大スクリーンがあり、そこに投影されている映像は色鮮やかで迫力があり、「水は限りある大切な資源である」というメッセージが印象に残ります。Water Museumの入っている施設Water Worldの担当者Viktor Kozlov氏は、「実際にこのミュージアムができてから、サンクトペテルブルグの水の使用量が大きく減った」とおっしゃっていました。Ascreen社のようなパートナーと組んで機材を提供することで、Ascreen社にとってもパナソニックにとっても、そしてミュージアムにとってもメリットのある関係を築くことができるのです。

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    大きな3面のスクリーンで繰り広げられる迫力ある映像に釘づけの子どもたち。「洪水が怖いと思った」「パネルで絵を動かしたのが面白かった」と口々に感じたことを話してくれた。
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    左の図の映像はここから投影されている。通常ガラスを通して投影すると輝度が落ちてしまうが、パナソニック製のプロジェクターは輝度が落ちないため、採用された。
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    中央の球体が地球で、自転をしているような映像を合計7台のプロジェクターで投影している。周りのドーナツ型は上半分と下半分の2つの映像を組み合わせて投影している。
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    こちらが左の図の球体とドーナツ型のスクリーンに映像を投影するためのプロジェクター。円型にぴったりと映像を合せることができる。
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    「Water World」のもう一つの施設「子どもエコロジーセンター」にはサンクトペテルブルグ近辺の川の様子を見ることのできる3D映像がある。この3D映像もまたAscreen社によるものである。
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    左の図の遠近感のある水面下の映像と前面に泳ぎ出てくる魚の映像は圧巻だ。別々の場所から数台の光度の高いプロジェクターで奥行のある3D映像を投影している。
 
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    ユダヤ人の昔の生活や文化、第二次世界大戦当時の映像作品などが展示されているユダヤ博物館の外観。独特な宗教生活を知ることもできる。

ユダヤ博物館のソリューション導入の きっかけになったアフターケアの存在

ここからはモスクワの博物館の様子をお伝えします。ロシアにはユダヤ人が多く住んでおり、政財界要人にはユダヤ人が多数います。こちらの博物館はそうしたユダヤ人だけでなく、すべての来場者に興味を持ってもらえるように、あらゆる技術や演出を取り入れています。「今までにない、全く新しいミュージアムを作りたかった」とロシアユダヤ人コミュニティーのAlexander Boroda会長の言葉の通り、インタラクティブな演出で訪れた人々を飽きさせません。
また総務・技術局局次長のIlya Pokrovskiy氏によると「パナソニックは機材を導入する際に既存の機材との入れ替えを行ってくれること、また一度取り換えると長持ちするため長期間交換する必要がないことをとても高く評価しています」といいます。また「クオリティーや使いやすさはもちろん、故障の際に迅速に対応してくれる、修理が必要な時に代替機を貸してくれるなどのアフターケアが充実していること。またモデルの種類が多く、いろいろな場所に設置することが可能で、組み合わせの選択肢が広いことも魅力的です」と話してくれました。

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    「街と郊外」という名の展示。第二次世界大戦時の資料映像を壁面のスクリーンに投影している。カフェをイメージしたテーブルには当時のメニューやチラシなどが上部のプロジェクターから投影され、メニューに触れると、メニュー表が開く仕組みとなっている。
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    「家」という名の展示。ユダヤの祝日に家庭でどのような儀式が行われるのかを映像で見ることができる。パナソニックのプラズマディスプレイの黒が効果的に使用されており、テーブルと映像内の人物以外の背景は真黒で、人々が浮かび上がるように作られている。
 
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    プロジェクターを使用する映像作品について語るビエンナーレのディレクター、 Andrei Martynov氏。
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    ビエンナーレのキュレーター(仕掛け人)の一人を務めたアーティストの小川真由子氏。

ビエンナーレで起きた、 機材とアーティストの化学反応

2013年で第5回目を迎えた現代美術展覧会ビエンナーレ。毎回世界中からアーティストが集まって作品を展示するコンテンポラリーアートのフェスティバルです。第5回ビエンナーレのディレクターAndrei Martynov氏とキュレーター(仕掛け人)の一人を務めたアーティストの小川真由子氏に話を聞きました。

「ビエンナーレには回を追うごとに参加者が増加しており、アーティストの表現方法も多様化しています。かつては映像を使ったアート作品は珍しいものでしたが、現在はデジタル化の影響もあり一般的になりました」と話すのはMartynov氏。そのような映像アーティストの要望に応えるためパナソニックに機材の提供を依頼したそうです。依頼に際しては、日本人アーティストの小川氏がイニシアチブを取ったそうですが、そこでプロジェクターとアート作品の間に思いがけない化学反応が生まれました。小川氏のチームはアーチ型の天井に映像を投影しようとしていたのですが、プロジェクターからの映像は歪んでしまいイメージ通りに投影できませんでした。そこに居合わせた機材設置サポートの技術者から、投影方法について提案がありました。その通りにしてみると、丸い天井に湾曲することなく映像を投影することができ、プロジェクターの新しい使い方を発見したといいます。小川氏曰く「アーティストはプロジェクターの機能を全て知っているわけではないため、技術者の方にいろいろな使い方を教えていただき、それを作品に活かすことができるのではないか」と考えたそうです。プロジェクターなどの機材は作品を映し出すための道具ですが、技術者とアーティストが協力することでよりよい使用方法が導き出され、投影される作品自体に影響を与える存在となっていくのかもしれません。

 
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    社会や人の生活を豊かにすることが目標であると語る、パナソニックロシアのソリューションマーケティング局事業開発部担当のGerman Gavrilov氏。
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    ミュージアムで過ごす時間が充実することは心の余裕にもつながり、社会全体の豊かに繋がっていく。

パナソニックのソリューションは生活に 根付いたミュージアム文化を支える存在に

「パナソニックは社会や人の生活をより豊かにし、日常生活や余暇の過ごし方を多様化し、充実させることを目標としています」と、パナソニックロシアのソリューションマーケティング局事業開発部担当のGerman氏は言います。世界中のアーティストが新たな表現の手法を模索する時代、またミュージアムの展示方法や運営方法において、常に新しいテクノロジーが求められています。そこでパナソニックはロシア人の生活に根付いたミュージアム文化に、最新のテクノロジーを提供するだけでなく、ミュージアムごとに抱える課題を深く理解し、その課題を解決するためのソリューションを提供しているのです。
今回の取材を通して、ロシア国内のミュージアムは進化の過渡期にあると感じました。従来のミュージアムの展示品もインタラクティブパネルや3D映像などを使用することで、これまでとは全く違う魅力が感じられるということが分かりました。従来の展示手法では見落としていたり、理解することが難しいと感じてしまうこともありましたが、映像を使用し、パネルを自ら触って展示品の情報を得ることで、受け取る情報量が大きく増えます。また、展示物以外のミュージアムの設備にも、ソリューションが密接に関係し、ロシアのミュージアム文化を下支えしていることを知りました。今後もミュージアムとパナソニックのソリューションが融合し、ロシアの人々にとって豊かな時間と知識をあたえてくれる場所で有り続けるでしょう。

(ライターNaoko)

 

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