パナソニック ファクトリーソリューションズ株式会社は、2006年3月、独自のフリップチップ実装技術であるESC(Epoxy Encapsulated Solder Connection:樹脂先塗り金属接合)工法に関し、長瀬産業株式会社(注)に技術供与を行ない、同時に材料の販売も開始いたしました。これでESC工法用樹脂材料の技術供与先は、ナミックス株式会社、ヘンケルジャパン株式会社、京セラケミカル株式会社に続き合計4社となりました。当社では、ESC工法技術供与先の主要材料メーカが出揃ってきたことから、ESC工法のより一層の普及が進むと見ています。
松下電器グループは長年フリップチップ技術に関する研究開発を進めてきており、多様なブラックボックス技術を所有しています。中でも「圧接方式のMBB(Micro Bump Bonding)工法」や「スタッドバンプ+導電性接着剤方式のSBB(Stud Bump Bonding)工法」は接触接合として知名度が高く、特にMBB工法に関しては市場ではNCP(Non Conductive Paste)工法とも呼ばれ、多方面で量産されています。
一方、金属接合型の工法として当社が提案するESC工法は、接合部を金とすずで形成し、樹脂硬化と金属接合を同時に行うシンプルな工程から、下記のような多くの特長があります。
(1) | 金属接合であるため接合信頼性が高い |
(2) | ESC工法専用の超短時間硬化樹脂開発により、1秒以下の短時間接合が可能 |
(3) | 環境に配慮したフラックスレス/洗浄レスの実現 (C4と比較して、物理的に、はんだの表面酸化膜を除去するためフラックスや洗浄工程が不要) |
(4) | 部品のバンプ材質や基板種類を選ばず、汎用性が高い |
最近では、コストダウン、環境保護の観点から、プロセス時間が短く、鉛や洗浄溶剤などの環境負荷物質を使用しない接合工法が望まれていることと、特に半導体パッケージ組立、FPD(フラットパネルディスプレイ)のCOF(Chip On Film)モジュール、カメラモジュールなどには高い接合信頼性が期待できることから採用が進んでいます。
また、昨年12月、当社主催のプライベートショーにて、新しく基板へのはんだプリコートを必要としないESC5工法を発表しました。ESC5工法では、熱硬化樹脂中に微小はんだ粒子を添加した専用樹脂を用い、この樹脂を基板に先塗りして、ICを加圧・加熱します。バンプと電極間に微小はんだ粒子を噛み込ませることによって金属接合させ、同時に樹脂の熱硬化を行う新たな工法です。当社では、この工法を提案することにより、はんだプリコートが不要となり、低コスト化、設計自由度の向上により用途がさらに拡大すると見ています。なおESC5専用樹脂は、技術供与先の材料メーカーが開発中で、順次ラインアップしていく予定です。
さらに、当社ではESC工法でのモノづくりを実現する設備として、フリップチップボンダーFCB3を販売しています。多種多様なフリップチップ工法に対応できるFCB3の主な特長は以下の通りです。
(1) | 高速高精度実装の実現:実装タクト1.8s(接合時間を除く)、±3μm /3σの高精度実装 |
(2) | 業界No.1の対応力:300mmウエハ対応、SEMI規格準拠、フレキシブルな工法対応 |
(3) | 環境に優しい設備:制御基板鉛フリー化 |
このように高い生産性、信頼性、汎用性をもつESC工法に関して、技術供与先の材料メーカが専用樹脂を供給することで、ユーザは安心して多岐にわたる用途でESC工法が適用可能となりました。
(注): | ナガセグループでは、封止樹脂の製品開発・製造をナガセケムテック株式会社で行なっており、長瀬産業株式会社がその総代理店でマーケティング・販売を担当しています。 |
【お問い合わせ先】
パナソニック ファクトリーソリューションズ株式会社 経営企画グループ 広報チーム 坂田 TEL:06-6905-5442 FAX:06-6905-4103 ホームページURL http://panasonic.co.jp/pfsc/
以上
補足
1.フリップチップ実装の長所小型軽量薄型の高密度実装を実現 |
2.フリップチップ工法の開発 |
3.ESC工法のプロセス
■基板に樹脂を先塗りし、チップを加圧加熱することにより、樹脂硬化と金属接合を同時に行ないます。