【要旨】
松下電器産業株式会社は、ブルーレイディスク(BD)規格の再生専用ディスクであるブルーレイROMディスクによる映画タイトル制作向けMPEG-4AVCエンコーダ[1]及びJava™ [2]対応オーサリングシステム[3]を開発し、業界で初めて※運用を開始しました。(※:6月22日現在、当社調べ)【効果】
本開発を用いることにより、フルハイビジョンレベル[4]の高画質でかつ双方向型インターフェースに優れたブルーレイROMタイトルの提供が可能となり、誰でも簡単に大画面で迫力ある映画コンテンツを、家庭等で楽しむことができます。【特長】
- フルハイビジョン解像度コンテンツをMPEG-4 AVCにより高画質圧縮し、ハリウッドの映画関係者が、原画と同等レベルと認める高画質をHD解像度[5]で実現
- 高圧縮画像[6]、双方向型メニュー、著作権保護方式に対応したブルーレイROM仕様[7]に準拠したタイトル作成が可能
- 対話性に優れたAVナビゲーションを可能にするJava™に対応したタイトル制作を実現
【内容】
本システムは、以下の新技術により実現しました。(1) | 動きが速い等、圧縮が困難な画像に対し、圧縮パラメータを変えることにより高速かつ高画質圧縮を可能とするMPEG-4 AVC高画質圧縮技術 |
(2) | 複数の画像、Java™、字幕等のデータを、タイトルのデータとしてひとつにまとめ、ブルーレイROM仕様への適合性を検証、さらに暗号化するブルーレイ仕様準拠データストリーム生成技術 |
(3) | Java™の開発環境をオーサリングシステムに組み込み、かつ高効率、高速応答を簡易に実現するブルーレイ対応Java™作成技術 |
【従来例】
現在広く用いられているDVDでは容量が限られるため、長時間の高画質のデータの記録は困難でした。また動画を表示させながら、対話形式での操作は困難でした。【特許】
国内出願66件、海外出願59件【備考】
本オーサリングシステムを用いたビジネスを米国において、7月1日より開始します。【お問い合わせ先】
松下電器産業株式会社 コーポレートR&D戦略室 戦略企画第二グループ 遠州久之 TEL 06-6900-9676
【特長の詳細説明】
1. フルハイビジョン解像度コンテンツを、MPEG-4 AVCにより高画質圧縮し、ハリウッドの映画関係者が、原画と同等レベルと認める高画質をHD解像度で実現
MPEG-4 AVC方式を用いて従来の圧縮方式(MPEG-2)比2倍以上の圧縮効率を実現し、ハリウッドの映画関係者を招いて行った、本エンコーダで作成したフルハイビジョンの映画コンテンツの主観画質評価にて原画と同等レベル画質との評価を得ました。
2. 高圧縮画像、双方向型メニュー、著作権保護方式に対応したブルーレイROM仕様に準拠したタイトル作成が可能
エンコーダとオーサリングシステムを組み合わせることで、ブルーレイROMの特徴であるフルハイビジョン画像の高圧縮、Java™を用いた双方向型メニュー、ブルーレイで新たに採用された著作権保護方式に対応し、ブルーレイROM仕様準拠のタイトル作成が可能になります。
3. 対話性に優れたAVナビゲーションを可能にするJava™に対応したタイトル制作を実現
Java™のプログラミング機能を活かし、ユーザの操作に応じて、特殊効果付きのポップアップメニューなど多種多彩なメニュー表示やゲームなどが可能になります。キーワードに従って個人の好みのムービーを再生するなど、オーサリング時に決められた固定的な再生シナリオだけでなく、ユーザが指定したシナリオの動的な再生が実現できます。
【内容の詳細説明】
1. 動きが速い等、圧縮が困難な画像に対し、圧縮パラメータを変えることにより高速かつ高画質圧縮を可能とするMPEG-4 AVC高画質圧縮技術
専用LSI、ソフトウェアの並列処理で構成し、高速圧縮を可能にするとともに、フレームごとに圧縮パラメータを変え画質調整する機能により、動きの早い画像など圧縮が困難な画像に対しても画質向上させ、全体画質を安定化させるMPEG-4 AVC高画質圧縮技術を開発しました。
2. 複数の画像、Java™、字幕等のデータを、タイトルのデータとしてひとつにまとめ、ブルーレイROM仕様への適合性を検証、さらに暗号化するブルーレイ仕様準拠データストリーム生成技術
ブルーレイで新たに規定された画像及びオーディオの新しい圧縮方式、対話型メニュー、Java™などのデータをブルーレイタイトルデータにまとめる多重化エンジン、データがブルーレイ仕様準拠に準拠しているかどうかを検証する適合性検証エンジン、ブルーレイ著作権保護方式に対応する暗号化エンジンを新規化開発し、これらの組み合わせによりブルーレイ仕様準拠データストリームを生成します。
3. Java™の開発環境をオーサリングシステムに組み込み、かつ高効率、高速応答を簡易に実現するブルーレイ対応Java™作成技術
ブルーレイ対応AV制御機能、アニメーションなどグラフィックス処理をライブラリ化し、再生時の応答速度、メモリ利用効率に優れたJava™対応のタイトルを簡易に作成できるブルーレイ対応Java™作成技術を開発しました。
【用語の説明】
[1] | MPEG-4 AVCエンコーダ |
MPEG-4 AVC: 2005年7月に標準化された、画像圧縮の国際標準、規格。 正式名称:ITU-T Recommendation H.264 | 14496-10。ハイビジョン対応ディスクの他、欧州のハイビジョンTV放送にも将来使われる予定です。携帯画像サイズでは日本の1seg放送で実用化されています。 エンコーダ:画像、オーディオなどを伝送、蓄積するためにデータ圧縮する機器のことです。 |
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[2] | Java™ |
Java™バイトコードと呼ばれる中間言語を使ってアプリケーションを記述する特定のハードウエアやOSに依存しないプログラムです。携帯電話やDTV受信機など組み込み機器で広く利用されています。 | |
[3] | オーサリングシステム |
画像、オーディオなどのデータをディスクで再生できる形式のデータに変換し、また、それぞれのデータをユーザが簡単に視聴できるようなメニューを生成、付加するシステムです。 | |
[4] | フルハイビジョン |
1920画素、1080ラインの解像度を有する画像のことです。 | |
[5] | HD解像度(HD:High Definition) |
1920画素、1080ライン。 | |
[6] | 高圧縮画像 |
従来方式(MPEG-2)よりも更に圧縮率の高い(圧縮後のデータ量が少ない)画像データのことです。 | |
[7] | ブルーレイROM仕様 |
再生専用ディスクであるブルーレイ ディスクの仕様。ここでは、BD-ROM A/V Basic Specifications v2.0を指しています。 |
Java™は、米国およびその他の国における米国Sun Microsystems™社の商標です。
以上