Panasonic Newsroom トッププレスリリース業界最小パッケージの耐圧600VのエンハンスメントモードGaNパワートランジスタを製品化

プレスリリース

2015年5月18日

高速スイッチングを実現し、産業用・民生用電力機器の省スペース化、省エネ化に貢献

業界最小パッケージ※1の耐圧600VのエンハンスメントモードGaNパワートランジスタを製品化

2015年7月よりサンプル出荷を開始

GaNパワートランジスタ

パナソニック株式会社は、耐圧600Vのエンハンスメントモード[1]の窒化ガリウム(GaN)[2]パワーチップを表面実装型パッケージ[3] DFN (dual-flat no-leads) 8x8に組み込んだ業界最小のGaNパワートランジスタ(X-GaN™)を製品化しました。本製品は200V/nsの高速スイッチングを実現し、産業用あるいは民生用の各種電力機器における省スペース化、さらに、低オン抵抗(54~154mΩ)[4]による省エネルギー化が可能となります。2015年7月より耐圧600V、定格電流10A(PGA26E19BV)、15A (PGA26E08BV)のサンプルを出荷開始します。

GaNパワートランジスタは機器の電源を制御する半導体で、次世代化合物半導体のひとつとして注目されています。当社従来開発品のTO220パッケージを用いたGaNパワートランジスタは、パッケージの高放熱特性を活かした高出力の用途に向いていましたが、サイズが大きいことが課題でした。本製品では、8mm x 8mm x 1.25mmの小さなサイズで高電力密度のスイッチングを実現。さらに寄生インダクタンス[5]が小さいため、高速スイッチング特性を引き出すことが出来ます。

本製品は、2015年5月19日~21日にドイツ ニュルンベルクで開催されるパワーエレクトロニクスの展示会「PCIM (Power Conversion Intelligent Motion) Europe 2015」に出展します。

【特長】

  1. GaNパワートランジスタ用に最適化した新開発の業界最小GaN表面実装型パッケージDFN 8x8(8mm x 8mm x 1.25mm) 当社従来品TO220(15mm x 9.9mm x 4.6mm)比:実装面積 43%
  2. 表面実装型パッケージの採用により寄生インダクタンスを低減し、200V/nsの高速スイッチングを実現
  3. 6インチSi基板上に実現した当社独自のGIT(Gate Injection Transistor)[6]により、エンハンスメントモードを実現
  1. ※1 耐圧600VのエンハンスメントモードGaNパワートランジスタの実装面積において。2015年5月18日現在、当社調べ。

【用途】

AC-DC電源(PFC、絶縁型DC-DC)、バッテリー充電システム、太陽光発電パワーコンディショナー、モーター用インバーター

【特許】

国内200件、海外180件 (出願中含む)

主な特許:当社独自GIT構造に関する特許(US8779438)、ノーマリオフ動作の特長を活かした駆動方法に関する特許(US8299737)

【備考】

この成果の一部は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の共同研究「エネルギー使用合理化技術戦略的開発」の結果得られたものです。

【製品のお問い合わせ先】 

URL:http://www.semicon.panasonic.co.jp/jp/products/powerics/ganpower/

【特長】

1. GaNパワートランジスタ用に最適化した新開発の業界最小GaN表面実装型パッケージDFN 8x8(8mm x 8mm x 1.25mm)

新開発の表面実装型パッケージDFN (dual-flat no-leads) 8x8は、面積が64mm²(TO220は148.5mm²)と大幅な省面積化を実現しており、高さも1.25mm(TO220は4.6mm)と超低プロファイルです。裏面に露出した金属ソースパッドにより、素子内に発生した熱を効果的に放熱できます。

2. 表面実装型パッケージの採用により寄生インダクタンスを低減し、200V/nsの高速スイッチングを実現

新開発の表面実装型パッケージDFN 8x8は、1nHという非常に低い寄生インダクタンス(TO220は5nH)を特長としています。その結果、GaNパワートランジスタ本来の高速スイッチング特性を引き出すことができ、200V/ns以上の高速スイッチングを実現しました。

3.6インチSi基板上に実現した当社独自のGIT(Gate Injection Transistor)[6]により、エンハンスメントモードを実現

GaNパワートランジスタが実用化されるためには、GaNの結晶成長に用いられる基板の低コスト化が必要不可欠です。本開発では6インチSiという大面積基板を用いることで、低コスト化を図りました。さらに6インチSi基板上にGaN結晶を形成した際にかかるストレスを緩和する層構造を導入することでGaNトランジスタ構造を形成しても、クラックの発生しない良好な結晶性を実現しました。機器の安全性確保のためパワートランジスタにはゲートに電圧が印加されない状態で電流が流れない、いわゆるエンハンスメントモードが強く求められますが、GaNパワートランジスタではゲートに電圧を印加しない時もGaNの特性のため電子が発生しやすいのでエンハンスメントモードの実現が困難でした。当社独自のGIT構造を採用し、p型ゲートの内部電位がゲート直下の電子を排除することによりエンハンスメントモードを実現。さらに電圧印加時には、p型ゲートより正孔を注入することで電子が生じ大きな電流を流すことができます。それにより、低オン抵抗を実現します。

【サンプル仕様】

品番 PGA26E08BV PGA26E19BV
しきい値電圧(Vth) 1.2V 1.2V
耐圧(Vds) 600V 600V
定格電流(連続) 15A 10A
オン抵抗(Rdson) 54mΩ 154mΩ
ゲート電荷量(Qg) 6.5nC 3nC

【用語の説明】

[1] エンハンスメントモード
ゲートに電圧を印加していない時に、ソース・ドレイン間に電流が流れない半導体デバイスの特性であるノーマリオフ特性を、単一のトランジスタで実現できるものをエンハンスメントモードトランジスタと呼びます。
[2] 窒化ガリウム(GaN)
Ⅲ-Ⅴ族の化合物で、電気的にはバンドギャップ(半導体中で電子の存在し得ないエネルギー範囲)の大きい半導体です。一般にこのバンドギャップが大きな材料ほど電気的な耐圧は高いといわれています。
[3] 表面実装型パッケージ
プリント基板の表面にはんだ付けのみによって実装することのできるように製造されたパッケージです。電子部品のリードをプリント基板の穴に固定するスルーホール実装に比べて、スペースを取らず、寄生インダクタンスが小さいという特長があります。
[4] オン抵抗
トランジスタをオン状態 (導通状態) にした場合の、ソース電極・ドレイン電極間抵抗のことです。
[5] 寄生インダクタンス
電子部品のパッケージには意図しないコイル動作成分が存在します。これを寄生インダクタンスと呼びます。電源周波数50/60Hzの電源では問題ありませんが、数百kHzから数MHzで動作するGaNパワー電源では高速動作の大きな障害となります。
[6]GIT(Gate Injection Transistor)
当社が独自に開発したノーマリオフ型のGaNトランジスタです。正孔注入時に、ドレイン電流が増加することを利用した新しい動作原理で低オン抵抗とエンハンスメントモードを両立することができます。

以上

RSS